Dr.パルナサスの鏡
(2009・英加) 監督・脚本:
テリー・ギリアム
脚本:チャールズ・マッケオン
Things are going to pick up.
As sure as eggs is eggs.
娘ヴァレンティナ(リリー・コール)の16歳の誕生日まで
後2日。本来ならめでたい日。でも、
その日は、悪魔のMr.ニック
(トム・
ウェイツ)に大事な一人娘を差し出さなければならない日なのだ。
苦悩するパルナサス博士(クリストファー・
プラマー)に、Mr.ニックはある提案をする。
as sure as eggs is eggs
「確実だ」
as sure as 〜 「〜と同じぐらい確かだ」という比喩表現の中の
一つ。卵が卵以外の何物でも
ないように、後には当然ながら「本当に確実」な事柄が続きます。たとえば、
as sure as God made little green apples
「神が青リンゴをあまり作らなかったのと同じぐらい確か(←そうなの?)」
だとか、fate「運命」や death「死」、
the Sun rises in the East「
太陽が東から昇る」というような事象だけでなく、
I'm standing here「今、自分がここに立っている」という目の前で
確実に起こっていることも比喩表現として使えます。
場合によってはいろいろそのときの状況に合わせて、使いまわせそうですね。
ところで、eggs is eggs は、本来なら、eggs are eggs
と言うべきで、文法的には間違っていますが、通常は
is が使われます。これは、数学の x = x
から来ているらしいです。だから複数だろうとなんであろうと
「イコール」を意味する is が使われるのでしょう。エッグスとエックスは発音も似ているし。
pick up
「好転する」 病気が回復したり、景気が上向いたりすること。
追い風が吹いて、勢いが出てくるときに使える表現。本当に、
「風が強くなってきた」ときにも使えます。
【訳】風向きが変わるかもしれん。繁盛間違いなしだ。
悪魔に娘を手渡すと取引きをした博士の前に記憶をなくした青年トニー
が現れる。彼に恋する娘。彼は救世主なのか、それとも悪魔の
手先なのか?
トニー役を演じているのは、
撮影半ばで惜しくも急死した
ヒース・レジャー。
博士の見世物小屋の売り物である心の中の欲望を映し出す鏡。
その鏡の向こうの世界のヒースの役を、ジョニー
・デップ、ジュード・
ロウ、コリン・ファレルが
代わって演じている。 現代社会の中でまるで異世界のように浮き上がる
見世物小屋の猥雑さ。そして、鏡の向こうに繰り広げられる
人々の果てしない欲望の世界。虚構と現実が二重、三重に
はりめぐらされた、めくるめくファンタスティックな世界はこの上なく
すばらしくもあり、物哀しい。毒気とユーモラスもピリリとスパイシーな
ギリアムワールドをたっぷり堪能。
どの役者も役柄にぴたりとはまり、言うことなし。
ラストの娘を想う年老いた博士の姿が切なすぎ。
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Script シナリオを読もう(英)
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Dr.パルナサスの鏡[Blu-ray][DVD]/ジェネオンユニバーサル
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オリジナル・サウンドトラックDr.パルナサスの鏡[
Original recording]/ジェネオンユニバーサル
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Lions Gate Films: The Princess Bride, Dogma, the Imaginarium of Doctor Parnassus, Precious: Based on the Novel "Push" by Sapphire, Sicko LLC Books (ペーパーバック)
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