ヴェニスの商人
(2004・米 伊 英 ルクセンブルグ) 監督・脚本:マイケル・ラドフォード
原作: ウィリアム・シェイクスピア
Go with me to a notary, seal me there Your single bond and in a merry sport, If you repay me not on such a day, in such a place, such sum or sums as are express'd in the condition, let the forfeit be nominated for an equal pound of your fair flesh, to be cut off and taken In what part of your body pleaseth me.
友人(というか愛する)バッサーニオ(ジョセフ・ファインズ)のためなら何事も惜しまないアントニオ(ジェレミー・アイアンズ)。彼から、金を貸してといわれたら断れない。日ごろ、misbeliever「異端者」だの cut-throat dog「人食い犬」だのとののしって高利貸しであるユダヤ人、シャイロック(アル・パチーノ)から金を借りることにしたアントニオにシャイロックはある条件を出した。
flesh「肉」
肌、ぜい肉、肉体に果肉、果ては人類までさすこの言葉。この肉に血を加えた flesh and blood は「血を分けた肉親」という意味や、血の通った「肉体」の他、「人情」や「人間性」まで表します。
<例>
I'm your father. I've been with you your whole life.Treated you like you're my own flesh and blood.
父親だ。今までお前を育ててきた。分身のように。『ハンナ DVD』
notary 「公証人」 seal 「封印 押印する」
bond 「担保」 sport 「娯楽 楽しみ」
express「表明する」 forfeit「没収」
nominated for...「指名される」
【訳】
今から公証人のところへ行こう。それに判をついてくれ。ほんのおふざけだ。これこれの月日にこれこれの場所においてこれこれの金を返せない場合、違約金の代わりとして、あんたの体の肉をきっちリ1ポンド頂く。体から好きな箇所を取らせてもらう。
貿易都市として栄えた16世紀末の美しきヴェニスを舞台に繰り広げられる鮮やかな人間模様。差別、宗教、愛、友情、裏切り、復讐とさまざまな問題をはらみつつ、
緊張感あふれる裁判シーンになだれ込む。圧巻は、やはり、アル・パチーノの渾身の演技。絶対的な善であるカトリックの前で無気力にただ、立ちすくむしかない哀れな、ユダヤ人高利貸しの哀しみをリアルに表現していた。
「芝居は時代を映す鏡」とシェイクスピアがいうように、現代の私たちから見れば、この話、美しい産相続人の娘ポーシャを得るために、絶対的に服従をしてくれそうな友人アントニオを利用して、高利貸しに借金までさせ、自分は放蕩三昧な美青年バサーニオの身勝手とキリスト教徒の狡猾さがすごい話だ・・・なんて思ってしまったけれど、当時の人々の心にはどのように映っていたんでしょうね。シニカルで辛辣。スリリングな展開はお見事でした。
監督・脚本は、詩情溢れるヒューマンドラマの名作『イル・ポスティーノ』のマイケル・ラドフォード。この映画のためにヴェニスに移り住んだほどだとか。
ポーシャを演じた新人のリン・コリンズのしたたかなスーパーウーマンぶりも花を添えます。
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DVD/ポニーキャニオン
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CD:サントラ/ユニバーサルクラシック
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原作本/¥380〜/シェイクスピア著
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原作本(英語)/¥525〜/William Shakespeare著
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