【
HOME
】[
1
][ 2 ][
3
][
4
][
5
][
6
]
新連載 「乳幼児と絵本」シリーズ(2)
「あかし保育絵本士」養成講座プログラムの改定(2025)からたどる諸課題
佐々木宏子
「あかし保育絵本士」の養成講座は、「明石市政策局 プロジェクト推進室 本のまち担当」により2018年度から開始されました。「基礎コース」(全7回/定員25名)と2019年度より増設された「応用コース」(全3回/定員15名)に分かれ、2020年度のみがコロナ感染症のためいずれのコースも中止されました。2021年度から再開されましたが、コロナ禍の余波もあり時間割は5回に圧縮されました。そして7期目を迎えた2025年度からはプログラム内容が大きく改訂されました。2018年度のプログラム、圧縮された2021年度のプログラム、さらに大幅な改定が行われた2025年度のプログラムは以下に掲載されていますのでご参照ください。
集団保育において絵本を読みあうことの意味を問い続ける講座ですが、この6期の間の受講生の問題提起は、講師である私にも大きな学びの連続でした。本シリーズでは、まず、6年間の間に生じた数々の課題が、いかにして2025年度の改定内容に結びついたのかをたどりながら、集団保育と絵本の問題点を明確にしていきたいと思います。
単発的な講演や講座であるならばいざ知らず、このような連続講座は、基本的には受講生から疑問や課題を引き出し、討論しながら講座内容を次年度に引きつぎ、積み上げていかなければ意味はありません。それゆえ、基礎コースとは言うものの毎年講座内容は変化・深化していきます。昨年の「基礎」は、今年の基礎にはなりえません。最初の6期は、プログラムの表題は同じですが、私は具体的な内容・エピソード(画像や映像も含めて)等には毎年、新しいものを加えていきました。受講生の問題提起や討論などの成果や結果は、次年度にその修正が積み重なり新たな「基礎」となります。その年年の積み上げが2025年度のプログラムに大改定となって現れたと考えます。
しばらくは、改定の柱となった講座内容のテーマが、受講生のどのような疑問・課題が議論に発展し、基礎コースの内容として再構成されたかを述べてみます。具体的な資料としては、
〇事前質問:任意提出7回(2021年度からは5回/各回のテーマを反映して)
〇課題:必須提出7回(2021年度からは5回/各回のテーマを反映して)
であり、受講生の人数分だけ相当数の提出レポートが対象になりました。
今回は基礎コースのデータのみを対象とします。いずれ機会があれば応用コースのデータ分析もまとめてみたいと考えています。
2018年度の受講生(保育者)、は本講座でどのようなことを知りたいと望んでいたのか※
「あかし保育絵本士」の講座に応募してきた保育者に、まず、「なぜこの講座を受けたいのか」の「動機」を尋ねたところ、大きく三つの傾向が見られました。
(1)「選書と読み方」が主たる動機/7名。具体例の一部(原文のまま、以下同)
①絵本を読むのが好きで、子どもたちにも読む機会を多く持つようにしている中で、改めてどんな絵本を選べばいいのか知りたい。又、ただ読んで終わりにしてしまわないためにはどうしたらいいか学びたいと応募しました。
②子ども達が喜んだり、遊びの中で広がりを見せたりするような選書の仕方や絵本の読み方等を学びたい。
③保育者としてどのような絵本を選んだらよいか、どのような読み方をすると子供たちの共感を得られるか学びたい。
(2)ごくシンプルで一般的な動機/7名。具体例の一部
①絵本のことをもっと知りたかったので、日々の保育に役立てたいので。
②以前から絵本は好きで、もう少し深い部分を学びたかった。
③絵本の必要性や、子どもの何に影響を与えているのかを学びたいです。
(3)独自の動機/11名。具体例の一部
①絵本から感じ取る思いは子どもそれぞれで、正解も不正解もない。自由な思いを絵本から感じて欲しいと思い、日々、絵本の時間を大切に思って保育をしている。明石市でこのような取組があることをうれしく思います。ぜひ参加したいです。
②子どもと関わる中で、絵本の読み聞かせがみんな大好きであったこともあり、朝の会では、毎日2冊を必ず読み聞かせをしています。人の声で読み、子どもたちの感情や反応が伝わり、コミュニケーションの一つとしても大切な「絵本」。保育の中で言葉や感情、想像力など大きな繋がりとなっていくと思うので、この機会に学び、保育の中に取り入れていきたいと思い志望しました。
③現在、6歳、4歳、2歳の子どもを育児中です。絵本の持つ力、楽しい触れ合いの時間を作ってくれる素晴らしさにいつも助けられてきました。特に3歳以下の子どもにとっては、現実とファンタジーの境界線があいまいな分、良い絵本は子どもの世界を広げ深めてくれるものだと感じています。そんな心に残る絵本を集団保育の場所でも実践できる保育士になりたいと考え応募しました。
④絵本の選択の難しさを感じたり、子どもたちの言葉の不足、物語・昔話の認知の低さ等を年々感じています。対象年齢についても疑問に思う部分がある為、そのあたりも含め、学ぶことが出来たらと思いました。
※ 第22回 絵本学会大会 研究発表資料(20190906)(帝京大学八王子キャンパス)より
講師:佐々木宏子(鳴門教育大学名誉教授)
村中李依 (ノートルダム清心女子大学教授)
徳永満里(おさなご保育園理事長)
講師:佐々木宏子(鳴門教育大学名誉教授)
徳永満里(おさなご保育園理事長)
佐々木晃(鳴門教育大学教授)
松本崇史(おおとりの森こども園 園長)
【
HOME
】[
1
][ 2 ][
3
][
4
][
5
][
6
]
Copyright(C)2025 Sasaki Hiroko All Rights Reserved