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感覚的・情緒的・模倣的段階:絵本へのシンプルな反応。
「えー!」と驚いたり、「ほゃ〜」とほほ笑んだり。「なんでやねん」と突っ込みを入れたり、「お化けこわー」と怖そうな表情を見せたりする。食べる場面で「あ〜ん」と口を一緒に開ける。「ぴょーん」や「もこもこ」に動作をつけて一緒に身体を動かす、など。ポインティングも。
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| 2) |
絵本の内容と自分の経験を結び付けようとする段階:既存の体験や知識と結び付け
理解・確認をしようとする。
虹の絵を見て、「見たことある。この間の日曜日に車に乗っていた時」など。一見、内容とは関係ないように見えるが本人には大切なこと。一斉集団読みを定番とする保育者は、収拾がつかないと嘆くが、これは幼い子と読みあう場合の大切なやり取り。「リンゴ」「バナナ」などの命名も。
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絵本の内容をごっこ遊びや活動として行動に移し深く読み込む段階:一人、もしくは数人、またはクラス全体でごっこ遊びとして外在化させて、お互いの解釈を表現し合う。
大人が読後に読書会をもち楽しむのと似ていて、読解力を深める行為にも通じるものがある。私は、このことを「幼児は遊びを通して読書する」と命名している。
この時、前述の受講生が述べたように「環境を工夫する」ことが重要で、遊びの流れが深まり発展するかどうかは、この環境の準備があるかないかで、劇的に異なってくる。身の回りに「目標支援型環境」が豊かに準備されていると発展しやすい。
ホットケーキを作ろうとするとき、市販のフライパンやボール、ままごとセットなどはあるか? お寿司屋さんをしようとするとき、様々な形の折り紙はあるか? 『せんろはつづく』(鈴木まもる文・絵/金の社)を遊びで繰り広げようとするとき、部屋いっぱいに広げるほどの模造紙は準備できているか? 駅や自動改札機のための大小のブロックはあるか? 新幹線や車の種類は? icocaの厚紙はあるか? 空き箱の種類は? 色紙の準備は? 遊びは言葉だけでは発展しない。
思わぬものが驚きの見立てになったり、「ひもが欲しい」と言われて子ども達自身が電車になることもある。
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| 4) |
絵本内容の再構成の段階:一冊の絵本内容をもとに新しい意味・物語を創り出す。
絵本を元に自分たちで続きを作る、違う展開や結末を考える。
遊びや劇などとして再構成をする、など。この事例は家族の中で物語が共有されて代々引き継がれることもあるが、集団保育の場合、「シリーズ12」で述べたような『どろにんげん』や「私のワンピース」などのような事例として現れる。
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記録を取り始めた保育者や家庭保育で、子ども達が絵本を読み始めたころによく見られる事例としては、1)や 2)があります。ベテランの保育者から見ると他愛もないエピソードに見えますが、新米の保育者や両親にとっては十分に感動的です。