ビヨンド the シー 〜夢見るように歌えば〜
(2004・米) 監督・脚本:ケヴィン・スペイシー 脚本:ルイス・コリック
Once I set my mind on achieving something, That's it.
ボビー・ダーリン(ケヴィン・スペイシー)は語ります。自分の生き方を。
set one's mind on... 「心に決める」
心に固く決め揺るぎがないこと。意思の強さを表す表現です。
That's it.「それで決まりだ」 それ以上も以下もないと「断言」するときの表現で、相手に口を挟ませる余地すら与えません。
achieve「成し遂げる」
【訳】
一度目標を決めたら、必ず達成させます。
ボビー・ダーリンと聞いても、あまりピンとこないと思うけれど「マック・ザ・ナイフ」はきっとどこかで耳にしたことがあるはず。この名曲で59年ボビーはグラミー賞の最優秀レコードを獲得した。
その翌年、スインギーな歌い方に一転したのが、この映画のタイトルでもある「ビヨンド・ザ・シー」。シャンソンの名曲「ラ・メール」を英語版にしたものだ。この頃、映画出演を果たし、共演した女優サンドラ・ディ(ケイト・ボスワース)と結婚に至る。まさに幸福の絶頂にあった。心臓を病み、15歳までしか生きられないと医者に言われた少年ボビーが母(ブレンダ・ブレッシン)の教えに夢と希望を抱きエンターテイナーとしての道を歩み続ける。
フランク・シナトラを継ぐ男と言わしめたショー・ビジネス界の天才。37歳で夭逝したボビーに、なんと、映画界の一流「クセもの」ケヴィン・スペイシーがなりきって20曲のナンバーをスイングしながら熱唱するのだ。これがまた、にくいほどうまい。(写真を見たら本人に顔までそっくり)
だが、映画化にこぎつけるには苦難の道があった。ボビーの音楽の使用権を持つ、マネージャーだったスティーブ・ブラウナー(映画ではジョン・グッドマンが演じている)。彼はケヴィンが歌うことを許さず、本人の吹き替えを使えと言っていたのだ。そんな彼をケヴィンは口説き落とす。彼の熱意にほだされたブラウナーは製作に献身的に参加した。ワーナーブラザーズから映画化権を得るのに5年。そこから資金を集め、人々の協力をあおぎ10年以上かけて、やっとできたケヴィン・スペイシー製作、監督、主演の渾身の作品。ゴージャスなショーとボビーの短くも華やかな人生を堪能あれ。
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