パッション
(2004・米)
監督・脚本:メル・ギブソン 脚本:ベネディクト・フィッツジェラルド
My commandment to you after I am gone is this: Love one another. As I have loved you, so love one another.
自分の運命を悟ったのかキリスト(ジム・カヴィーゼル)
は
最後の晩餐で使徒たちにこう言った。
one another 「お互いに」
もちろん each other も「お互いに」
日本語じゃどちらも同じ意味だけれど、
each other は「二人の間でのお互いに」
それに対して、
「三人以上のお互いに」が、one another 。
だから、この場合 love each other と
置き換えることはできません。
恋人同士なら、each other って言わなきゃ
マジ・ヤバイ。
commandment「掟、戒律」
【訳】 これからの新しい戒めを与えよう。
互いを愛せよ。私があなた方を愛したように。互いに愛し合いなさい。
誰もが抱く何よりも重要な疑問がある。なぜイエスは張り付けられなければならなかったのか。なぜイエスはあれほど苦しまなければならなかったのか。それが私たちとどんな関係があるのか。そして、誰がイエスを死に追いやったのか。 紀元前1世紀のエルサレム。十二使徒のひとりであるユダ(ルカ・リオネッロ)の裏切りによって捕らえられたイエス・キリストは、
自らを救世主であり神の子と認めたとして大司祭カイアファ(マッティア・スブラジア)の怒りを買う。 ローマ帝国総督ピラト(フリスト・ナーモフ・ショポフ)の手にゆだねられた彼だが、ピラトは民衆の怒りに抗えず、イエスを救うことはできなかった。神を冒涜した罪で十字架の刑に処されることになったイエス・キリストの
最後の12時間と復活を描き世界各地で空前の大ヒットを記録した。 メル・ギブソンが12年もの構想歳月
を費やし、約30億円という私財を投じて完成させた渾身の衝撃作。
アラム語の特訓、
10時間にもおよぶ全身のメイクアップ、凍りつく寒さの中で演じたジム・カヴィーゼル。
まさに苦行。
ひどい拷問の合間にはさまれる回想シーンに現れる彼の穏やかな表情に一瞬、癒された。
イタリアバロックの代表的画家、カラヴァッジョをイメージしたという映像は、残酷なシーンの中にすら美しさを感じる。それにしても、なんたる犠牲。
ところで、宗教絵画(キリスト教)には常に残酷さが強調されて
描かれているものが数多くある。
ヘラルト・ダヴィッド「カンビュセスの裁判」は生きながらにして
皮をはがれ、
「聖アポロニア」は拷問として、歯を抜かれ、
また、ニコラス・プッサンの「聖エラスムスの殉教」では、船乗り達
の守護聖人である聖エラスムスが、腸を、巻き上げ機でずるずる
引きずり出されている姿が描かれている。
(それぞれ、歯や腸の守り神になっているけれど、彼らは実在じゃない。
映画『セント・エルモス・ファイア』のタイトルにもなったこの火は
エラスムスの名に由来するそうだ。)
そして、その頂点がキリストが十字架に磔にされる姿というわけ。
でも、なぜ、そんな絵ばかり?
それは、これが布教の武器だからなんだと。
残酷さが強調されることによってキリスト教の神性は高まるばかり。
人の罪を一身に背負い、磔にされたキリストの苦悩は私たち
一人一人の痛みと同じ。そうして共有した痛みを分かちあった仲?
としてキリストや殉教者たちの存在感は増す。
実際、映画を見て、懺悔するものが増えたという話だけれど、
そういう意味において、メル・ギブソンは一番残酷なシーンを忠実に、
リアルに映像で見せたことで、キリスト教を改めて、世界に
知らしめた伝道者となったのかも。
とすると、聖書を書いたヨハネは最大のシナリオ作家かな〜。
でも、彼を取り巻く権力構図はその後、終わることのない
宗教紛争の火種でもあるんだけれど。
Love one another.「汝の隣人を愛せよ」はいったいどこへ?
パッションの意味は「キリストの受難」
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パッション [DVD] /東宝
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ポスター/トライエックス
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CD:サントラ 輸入版/¥1,853
*
The Passion of Jesus Christ: Fifty Reasons Why He Came to Die/
John Piper (著)/Good News Pub
目を背けないでほしい。その瞬間(とき)がくるまで―― The Passion of Jesus Christ はお好き?
*かつのじょうさん(F) むっちゃいい
描写が残酷すぎると問題視している教会関係者もいるようですが、私にはこの上なく美しく、神々しい尊厳に満ちたイエス像に思えました。
俳優があまりにアメリカ人の顔してますが、アラム語・ラテン語の
脚本をつくるなど誠意があるし、ただまじめなのではなくて、悪魔や、
ユダの死のシーンなど、遊び心もあって面白いです。やはり映画なんだから、多少はエンターティメント性がないとね。キリストの生き様にも感動するし、一方でいろんな立場の人々にも考え及ぶ、いい作品です。
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