特 徴                                 04/5/20
専門的な鑑定を紹介する前に、素人でも分かる特徴について数点。
少時 少時 となっているのは、塗りつぶしてあるところ
なお、「4月29日」 は長い間 「4月28日」 と考えられていた。詳細は後述。
 脅迫状
      少時      このかみにツツんでこい
 子供の命がほ知かたら 4 29 日 の夜12時に、
                 五月2日
金二十万円女の人がもッて 前 の門のところにいろ。
                さのヤ
友だちが車出いくからその人にわたせ。
時が一分出もをくれたら子供の命がないとおもい。ー
刑札には名知たら子供は死。
もし車出いッた友だちが時かんどおりぶじにか江て気名かッたら
子供わ西武園の池の中に死出いるからそこ江いッてみろ。
もし車出いッた友だちが時かんどおりぶじにかえッて気たら
子供わ1時かんごに車出ぶじにとどける。
くりか江す 刑札にはなすな。 
気んじょの人にもはなすな
   子 供 死出死まう。
もし金をとりにいツて、ちがう人がいたら
そのままかえてきて、こどもわころしてヤる。
まず、脅迫状には、当て字が使われている。しかし、漢字としては正しく書かれている。上申書では、書・間・年・造・昭・右 がまちがっている。
脅迫状では 「時」 は正しいが、上申書では 「晴」 になっている。
脅迫状では、句読点がかなり正確にうたれている。これは、文章をきちんと書ける人物ということ。
上申書には、句読点がうたれていない。ただ1ヶ所ある読点はまちがったところにうたれている。これは非識字者 (文字がよく分からない人) にみられる傾向。識字学級を長年やってきたから自信をもって言える。
また、「くりか江す 刑札にはなすな」 からの3行は大きな文字になっている。文章の中で強調したい表現の方法を知っている人物だということになる。
あと、前述のように、流れるような字体と 「カギ字」 の違い、横に水平に書かれている脅迫状と次第に右下がりになる上申書という違いがある。
 上申書

       上申書

   狭山市入間川2908
   石川一夫 24才
   はたくしわほん年の五月一日のことにツいて申し上ます
   五月一日わにさの六造といツしよにきんじよの水村しげ
   さんのんちエやねをなしにあさの8晴ごろからごご4晴
   ごろまでしごとをしましたのでこの日わどこエもエでません。
   でした そしてゆうはんをたべてごご9晴ごろねてしまい
   ました
 昭和38年5月21日   狭山けいさツしよちようどの
 右 石川一夫 
 漢字使用率    05/3/24
・・・・・後の <トマト・りぼん> のページからだが、ここにまとめておいた方がよいと思われる部分をもってきた。
脅迫状を見たことのある人は、一度はやったかもしれないことだが・・・
脅迫状には281文字書かれている (ただし、29などの数字は2字と数えた)。そのうち漢字は79字 (漢数字も漢字に数えた)。28%の漢字の使用率である。
一方、石川さんの上申書では、全体が178字、漢字が43字。漢字使用率は、24%である。脅迫状と大差がないように見える。しかし、住所や名前、年月日などの漢字を使うことがあたり前の部分を除いた本文だけを見てみると、全体130、漢字17、使用率は13%と半減する。
では、文章のレベルが違うのかといえば・・・
ボクが脅迫状を書いたとしたら、漢字が33字増え当て字の漢字が17字減る。また、ひらがなが少し減り、全体で266字になる。ただし、ボクの書き癖があり、「友だち」 は 「友だち」 のまま。「頃」 なんかもひらがなで書く。
そうすると脅迫状で、266字中漢字が95字、36%だ。上申書本文をボクが書くと、115字中漢字が41字、ぴったり36%。自分が平均的な国語力の持ち主かどうかは分らないが、少なくともボクにとっては、脅迫状も上申書も文章のレベルは違わない。
ところで、脅迫状では漢字の間違いは 0 である。にもかかわらず、上申書では、全体で漢字43字中10字が間違っている。4字に1字は間違っているのだ。さらに、これには含めていないが、「一雄」 が難しいので 「一夫」 で代用している。明らかにレベルが違う。
石川さんを逮捕し、脅迫状を書いたと 「自白」 させたものの、実際には捜査本部は困ったにちがいない。とても、脅迫状が書けるレベルではなかったからだ。そこで登場したのが、「りぼん」 である。
・・・続きは <トマト・りぼん> 
次に、専門的な鑑定を紹介する。
少時
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