さやまの会 №96   23/10/17
 事実調べに向け正念場 ~再審開始向け闘い抜こう~
全国から約1000人の狭山を闘う仲間が日比谷野外音楽堂に結集した。徳島県からは部落解放同盟、地方共闘会議、市民の会から8人が参加した。
開会挨拶で西島部落解放同盟中央本部委員長は「当初20万筆の目標で開始した署名は現在51万筆余りの個人署名と2344団体の団体署名を集めた。大野裁判長は12月で退官予定だ。
在任中に東京高等裁判所に11人の鑑定人尋問と万年筆の鑑定を行わせる。逮捕されて60年の節目に全力で事実調べ再審開始を勝ちとり次のステージへと続けていきたい」とまさに狭山の正念場であることを訴えた。
石川早智子さんは「いま、皆さんの50万筆を超える署名にあるように世論は大きく動いている。マスコミは狭山を大きく取り上げている。徳島新聞では『狭山60年』として5月19日から23日まで連日紙面に取り上げてくれている。
沢山の仲間から励ましをいただいている。皆さんの闘いに私たちも感動している。石川一雄は元気に闘っている。最後まで皆様の力添えを願いたい」と最大のヤマ場のより一層の支援をと訴えた。
石川一雄さんは、「この60年間は、涙、涙だった。しかし、皆さんの前では涙を流したことはない。元気で勝利するまで闘う。なにとぞえん罪が晴れるまでご支援をお願いしたい」と訴えた。
弁護団の中北弁護士から「事件発生・不当逮捕から60年。弁護団は総力を挙げて11人の証人尋問と鑑定人尋問の実現に向けて全力で闘う。狭山再審の実現を勝ち取っていきたい」と弁護団の決意を述べた。
部落解放同盟の片岡中央執行副委員長からの基調提案では、60年の狭山の闘いは大きな意義があった。①日本の被差別民衆に大きな勇気と希望を与えた。②労働組合にとって狭山の闘いから人権問題に取り組むようになった。
③解放同盟にとって狭山の闘いをとおして、教育を奪われた石川さんを二度と出さないように、教育や就労の闘いに取り組み生活を安定させたことなど大きな意義があった。しかし、狭山の闘いは勝たなければならない。最終ラウンドのゴングは鳴った。事実調べ、再審開始に向けた闘いをお願いする」と訴えた。
その後、集会アピールが行われ、霞ヶ関周辺をデモ行進し集会を終えた。
この集会に先立ち、東京高検、東京高裁に要請行動を行った。
徳島からは10団体の署名を国保労組の仲間が東京高栽・東京高検に手渡し再審開始などを訴えた。
 狭山現地調査 ~再審開始を誓い合う~
今年も悪天候に見舞われたものの、22回目の狭山現地調査を6月3日、12人が参加し行うことができました。
2日午後10に藍住町文化ホール前駐車場を出発。悪天候のため東名・新東名・中央各自動車道が通行止めになり国道等を利用して約18時間の行程で3日、午後4時頃に埼玉県狭山市に到着。
石川一雄さん、早智子さんがいつもの笑顔で出迎えてくれました。悪天候を大変心配していたそうで途中何度も連絡をいただきました。
早速、富士見集会所で部落解放同盟中央本部の安田さんから狭山事件の経過と現状の説明を受けました。「昨年9月に。東京高裁に11人の鑑定人の尋問を要求している。7月に皆さんから頂いた51万人の署名を提出する。7月が最終協議の場となる。第3次再審請求は最終の段階にきている」との説明を受けました。
その後、狭山現地事務所の万年筆発見現場である復元された「鴨居」の調査を行いました。3回目の家宅捜査で見つかった被害者のものとされる万年筆についても2回の徹底した家宅捜査で発見されなかったものが、3回目の簡単な家宅捜査で発見できたのは明らかに不自然です。誰かが万年筆をデッチあげたのだと確信しました。
まして当時捜査をしていた捜査官が「捜査をしたが何もなかった。万年筆が発見されてびっくりしている」と述べています。裁判官が現地を「自白」にそって調べてもらえば石川さんの無実がわかってもらえると思います。
石川一雄さんは、部落差別によって教育を奪われ、小学校にもほとんど通うことができませんでした。そのため、十分に文字を書くことさえできませんでした。犯人が書いたとされる「脅迫状」も書くことができません。現在、文字を書くことができるのは、獄中で看守の助けにより必死に文字を奪い返したからです。
石川一雄さんは「悪天候を心配していた。第3次再審は勝つと信じている。警察から『自白しなければ兄を逮捕する』と言われ、兄を逮捕するなら私を逮捕してくれとウソの自白をしてしまった。私には本当の自由がない。闘い続ける」と述べ、現地調査団に「吾が無実 叫び続けて60年 動かせ司法 満座の声で」と書した集合写真をいただきました。
早智子さんからは「私は、仲間の皆さんが苦労して来てくれたことがうれしい」と感謝を述べられました。
再審でえん罪が確定した事件は、事実調べや証人調べが行われています。是非とも裁判所に事実調べ・証人尋問を行わせるためにも世論に訴え、来春早々には再審開始を勝ち取ることを誓い合いました。
 徳島から再審開始を訴える
5月23日に狭山事件の再審開始を求める県内集会が徳島駅前で街宣行動として開催され、多くの会員が参加した。
 第56回三者協議 ~署名活動から世論を届けよう~
8月10日に、三者協議が行われ、弁護団は検察官が提出した意見書に対する反論と事実調べの必要性を明らかにした意見書を順次提出していくことを伝えるとともにスコップ関連で証拠開示を求めている資料の存否について検察官が明らかにするよう裁判所の職権発動を求めました。
検察官は、弁護団が求めている11人の専門家の鑑定人尋問、インク鑑定の実施もすべて必要ないと主張しており、弁護団の反論意見書が提出されれば再反論を検討するとしており、東京高裁はそれらを受けて事実調べの判断をすることになります。
次回の三者協議は11月上旬に行われる予定です。
 狭山県内集会
日時 10月27日(金) 午後6時~
場所 労働福祉会館別館5階

*会員のみなさんの参加をお願いします。