| 2022 22/8/9 |
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| 8月29日 事実取調請求書提出 |
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| 2022年で大きな動きがあった。事実取調請求書を提出した。これまでの新証拠の鑑定書などを作成した11鑑定人の証人尋問と万年筆インクの鑑定を裁判所に求めるものである。 |
| 裁判所をして、事実調べに入るのか否かを求めるものである。いよいよ第3次再審請求の正念場にさしかかったと言わねばならない。 |
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| 2022年の動き |
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| 1月27日 第49回三者協議 |
| この間、弁護団はスコップ関連とYNさんの目隠しに使われていたタオルに関する証拠開示を求めてきた。しかし、検察は1月25日付で、開示の必要性はないという意見書を出してきた。 |
| 弁護団は、検察意見書に反論するとともに、証拠開示の必要性を含めた補充書を提出するとした。 |
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| 4月8日 再審請求追加申立書提出 |
| 4月8日、弁護団は再審請求追加申立書を提出した。これまでは、刑事訴訟法435条6号 (有罪の言い渡しを受けたものに対して無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したとき)
に基づいて新証拠を提出してきた。 |
| 今回は、刑訴法435条2号 ( 「原判決の証拠となった証言が確定判決により虚偽であったことが証明されたとき」 を再審請求の理由と定めたもの)
に基づいて提出した。 |
| 2010年5月に開示された35点の証拠の中に、石川さんの取り調べを録音したテープ15本があった。それによって、石川さんは死体の状況など知らないことや、自白が警察官の誘導によって作られたことが明らかになった。 |
| ところが、2審では警官らは、石川さんがスラスラ自白した、そのとおり調書に書いたなどと証言している。明らかに偽証である。今回の追加申立書は、これが再審理由にあたるとして提出された。 |
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| 4月26日 第50回三者協議 |
| 検察は、弁護団の求めるスコップ関連の証拠開示について、「不見当」 をくりかえした。 |
| タオル関連の証拠開示について、裁判所は、客観的な証拠はなるべく開示してほしいという姿勢は踏襲するとして、タオルについても客観的なものは出してほしいと開示を促した。 |
| 刑訴法435条2号の再審理由追加申立について、裁判所は検察に答弁書の提出を求め、検察は提出するとした。 |
| 弁護団は、今後、下山第2鑑定 (万年筆インク) 、赤根鑑定 (死体関係) に対する検察官意見書への反論意見書、補充書などを6月中に提出する予定と伝えた。 |
| 検察は、総括的な意見書を7月末をめどに提出すると述べた。 |
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| 8月29日 事実取調請求書提出 |
| 8月29日、弁護団は新証拠9点、再審請求理由補充書とあわせて事実取調請求書を提出した。 |
| 新証拠は、スコップについての元科捜研技官による補充書2通 (土砂および油脂について)、死体処理についての法医学者の鑑定書2通、下山第2鑑定に関わる意見書など、検察官提出の意見書の誤りを明らかにした専門家の意見書などである。 |
| また、取調録音テープを起こしたものをコンピュータを用いてテキストマイニングによって分析した立命館大学教授の鑑定書も提出された。言語情報科学の専門家として、取り調べのやりとりをデータ分析し、殺害方法についての自白が真実ではないことを明らかにした。 |
| これで、新証拠は255点になった。 |
| 事実取調請求書は、これまでの新証拠の鑑定書などを作成した鑑定人の証人尋問と万年筆インクの鑑定を裁判所に求めるものである。 |
| 具体的には、脅迫状の筆跡・識字能力、指紋の不存在、足跡、スコップ、血液型、目撃証言、犯人の音声、万年筆、自白、殺害方法、死体処理について鑑定書や意見書をを作成した科学者、専門家11人の証人尋問を求めたのである。 |
| このサイトでは、既にそのほとんどを紹介してある。また、サイト内に於いてさんざん検討しているものもある。その箇所を参照していただきたい。 |
| 11人の鑑定人は次の通りである。 |
| 取り調べ録音の分析と文部省が1955年に行った国民の読み書き能力調査から、石川さんが当時は非識字者であり、脅迫状は書けなかったと鑑定した長年にわたり識字教育の研究・実践にかかわってきた鑑定人、 |
| また、コンピュータによる筆者異同鑑別鑑定を行った鑑定人、指紋検出実験に基づいて、脅迫状や封筒に石川さんの指紋が検出されなかったことは、石川さんが脅迫状に触っていないことを表すと鑑定した元警察鑑識課員、足跡を3次元スキャナーで鑑定し、石川さん宅から押収された地下足袋とは一致しないことを明らかにした鑑定人、 |
| 法医学から、血液型の鑑定を行った警察医の鑑定の不備を明らかにし、犯人の血液型がB型とは断じることができないことを明らかにした鑑定人、スコップについての警察側の鑑定の問題を指摘した元科捜研技官、 |
| 心理学者として、目撃証言 (U証言) は信用できないとした鑑定人、また、声が似ているとした YNさんの姉らの証言は信用できないとした鑑定人、更に、万年筆を探す心理学的実験を行った前記の二人の鑑定人 |
| 蛍光X線分析でインクを鑑定し、万年筆はYNさんのものとは言えないことを明らかにした鑑定人、言語情報科学から取調べの録音テープをコンピュータで分析した鑑定人、法医学から殺害方法や死体の処理方法が自白と矛盾していることを明らかにした鑑定人の11人である。 |
| また、弁護団は下山第2鑑定結果について裁判所による鑑定を請求、第3者の鑑定によって山下第2鑑定の正しさを明らかにするというものである。 |
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| 9月1日 第51回三者協議 |
| 検察は、前回協議で裁判所が開示の検討を促したスコップ、タオル関係の証拠開示について、まだ検討中と答えた。 |
| 弁護団は、8月29日提出の新証拠について説明、検察は今後、反論を含めて検討するとした。検察はまた、事実取調請求書についても意見書を提出するとした。弁護団は、検察が7月29日付で提出した意見書について反論を検討していると述べた。次回三者協議は11月下旬。 |
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| 三者協議の後、裁判所内の司法記者クラブで弁護団と石川さんが記者会見を行った。 |
| 弁護団は、有罪判決の構造、第3次再審における証拠開示と新証拠提出の経過、事実取調請求書の概要、主な鑑定人尋問の内容、万年筆インクについての鑑定請求について説明した。 |
| 石川さんは、「鑑定人尋問やインクの鑑定を行えば私の無実は明らかになる。ぜひ、東京高裁は事実調べを行ってほしい」 と述べた。 |
| 狭山事件の再審を求める市民の会 (鎌田慧事務局長) は、東京高裁に対する事実調べを求める緊急署名を呼びかけている。 |
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| 11月24日 第52回三者協議 |
| 8月29日の証人尋問とインク鑑定の申請提出をうけ行われた緊急署名が10万筆を超え、10月28日に東京高裁に提出された。 |
| 11月7日、弁護団が要求してきたタオル関係の証拠開示について、検察は 「不見当」(見当たらない) という意見書を提出してきた。弁護団は、11月15日、反論の意見書を提出、改めて開示を要求した。 |
| そして、11月24日、第52回三者協議。 |
| 検察は、タオル関係の証拠開示には 「不見当」 としてきた。さらに、スコップ関係の資料については 「開示に応じる必要はない」 と回答してきた。 |
| 弁護団は、7月29日付の検察官意見書に対する反論、血液型に関する法医学者や元科捜研技官の意見書を年内に提出すると伝えた。 |
| 検察は、弁護団提出の新証拠や補充書に対する反論の一部を年内に、その他の反論や事実取調請求書に対する意見書を2023年2月末までに提出する予定と述べた。 |
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| 12月9日 検察意見書 |
| 12月9日、検察側は、2022年8月29日に弁護団が提出した言語情報科学の専門家による鑑定に対する反論の意見書を提出した。 |
| これは、取調録音テープを起こしたものをコンピュータを用いてテキストマイニングによって分析し、殺害方法についての自白が真実ではないことを明らかにした鑑定に対する反論である。 |
| 弁護団は、この意見書に対する反論をするとしている。 |
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| 12月23日 新証拠提出 |
| 2019年12月、弁護団は、血液鑑定が当時の厚生省が定めた検査基準も満たさない不適切なもので、検査結果は妥当ではないとする鉄堅・医学博士の意見書(鉄意見書)を提出していた。 |
| これに対し検察は、2022年7月29日、法医学者の意見書などの反証・反論の意見書を提出していた。 |
| 弁護団は、この意見書に対し、鑑定人の意見書と、警察の科学捜査で血液鑑定やDNA鑑定に従事してきた元科捜研技官の意見書を提出した。これで、第3次再審請求で出された新証拠は257点になった。 |
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| 検察は証拠開示に応じようとせず、一方で、反論反証をくり返し、いたずらに時間を浪費する妨害を続けている。 |
| 昨年も書いたが、再審請求における証拠開示の法制化、事実調べ、再審開始決定への検察抗告の禁止を盛り込んだ再審法の改正が必要である。 |
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