| 証拠開示 10/7/15 |
|
| 2010年5月13日、狭山事件においては実に22年ぶりに証拠開示が行われた。再審開始に向け大きな一歩が切り開かれた。 |
| 昨年12月16日の東京高裁門野裁判長による8項目の開示勧告をうけ、東京高検は5項目36点を開示した。 |
| しかし、肝心の雑木林のルミノール検査はまたしても 「不見当」 とされた。もっとも、これまで 「不存在」 (存在しない) と突っぱねていたのを、「不見当」 (探したが見つからない) に変更せざるを得なかった。 |
| 遅ればせながら、一覧を紹介する。 |
|
| ①「殺害現場」 とされる雑木林内の血痕反応検査の実施とその結果にたいする捜査書類一式・・・存在しないとするならその理由の説明を求める。 |
| ・・・「不見当」 (探したが見つからない) |
| ②捜査官が、「殺害現場」 のすぐ近くで 「犯行時間帯」 に農作業をしていたONさんから第3回目の事情聴取をしたときの捜査報告書もしくは供述調書 |
| ・・・ONさん関係の捜査報告書1通 |
| ③ONさんを捜査段階で取り調べた捜査官の取り調べメモ (手控え)、取調べ小票、調書案、備忘録など |
| ・・・ONさん関係の捜査報告書2通 (1通は上記と重複) |
| ④司法警察員作成の1963年7月4日付け実況見分調書に記載の現場8mmフィルム |
| ・・・「不見当」 (探したが見つからない) |
| ⑤石川さんが製菓会社に勤務当時の借用書、筆跡鑑定などのために収集した石川さんの筆跡が存在する書類や石川さんが逮捕・拘留中に書かされた脅迫状と同内容の文書など、石川さんの筆跡が存在する文書 |
| ・・・6点の筆跡関係資料 |
| ⑥石川さんの取調べについての調査官の取り調べメモ (手控え)、取調べ小票、調書案、備忘録など |
| ・・・捜査報告書等19通、取調べ録音テープ9本 |
| ⑦1963年5月16日付け五十嵐鑑定人作成の鑑定書添付の写真 |
| ⑧1963年5月4日付け司法警察員作成の実況見分調書添付の現場写真以外の被害者の死体に関する写真 |
| ・・・「不見当」 (探したが見つからない) |
|
|
|
| 弁護団はこれらを詳細に検討して新証拠として提出してくれるだろう。しかし、隠されている証拠は2~3mもある。さらに証拠開示を迫っていかなければならない。 |
|
| 2009年12月提出の新鑑定・新証拠 (「解放新聞」 2459号・・・10/3/1) |
| 弁護団は12月16日の三者協議を前後して新証拠、鑑定書や意見書を東京高裁に連続して提出している。 |
| こうした闘いが三者協議における門野裁判長の証拠開示勧告に結びついたと言える。東京高検をして開示せざるを得ないところまで追い詰めた。 |
| 解放新聞 (3月1日) を参考に紹介する。 |
|
| 12月9日提出 |
| ①2009年9月28日付 齋藤保作成・・・第6鑑定 (2009年4月10日付) 補遺 |
| YNさんが事件当日に書いたペン習字浄書と当用日記の現物を検討分析。これらが書かれた万年筆によって、脅迫状の 「N江さく」 「時」 「様」 の訂正線が書かれたものではない。 |
| ②2009年10月30日付 川窪克実作成鑑定書 (第2次) |
| ペン習字浄書と当用日記、受験生合格手帳がいずれもライトブルーインクで書かれていることを示した。 |
| ③2009年10月17日付 弁護人作成 調査報告書 |
| 警察に押収されたYNさんのものとされる教科書、ノートを調査。インクの種類が変わった形跡はない。②と併せて考えると、鴨居から発見された万年筆はYNさんのものではない。 |
| ④2009年10月18日付 大橋晴夫作成 意見書 |
| スコップに付着した土壌の中には、「死体を埋めた穴付近の土壌」 と類似性の高い土はない。 |
| ⑤2009年12月9日付 再審請求補充書 |
| 赤根鑑定を補充する内容で運動力学の観点から殺害方法に関する寺尾判決を含む裁判所の誤りを指摘。 |
| 2009年7月25日付、「渡邊・松井鑑定書」 (殺害態様実験に基づく鑑定書 7月31日提出) 並びに①③④から石川さんの無実は明らか。 |
| ⑥2009年11月27日付 指宿信・成城大学教授作成 鑑定意見書 |
| 証拠開示に関する意見書 |
| 2009年12月9日付 反論書 |
| 証拠開示に関する検察官意見書に対する弁護団反論書 |
| 2009年12月9日付 意見書 |
| 指宿鑑定意見書についての弁護団意見書 |
|
| 12月15日提出 |
| ⑦2009年12月15日付 事実取調請求書 |
| 弁護団が事実調べを求めたもの |
| ⑧2009年12月15日付 開示勧告申立書 |
| 弁護団が東京高裁に証拠開示勧告を求めたもの |
|
| 12月16日提出 |
| ⑨2009年12月10日付 小矢野哲夫・大阪大学大学院教授作成 鑑定書 |
| 脅迫状を書いた人物と石川さんとは、漢字を書く能力、文章構成能力に大きな隔たりがあり別人。 |
| 「りぼん」 を補助手段に用いて脅迫状の文面を起草することは不可能。 |
| ⑩2009年12月12日付 遠藤織枝・立教大学教授作成 鑑定書 |
| 脅迫状と石川さんの上申書、脅迫状の写し、供述調書の図面、関宛ての手紙を比較検討。 |
| 「つ」 を 「ツ」 と書く共通点があるが、石川さんとおそらく同世代の脅迫状の書き手の教育環境の影響がある。1941年~46年の教科書は、促音については 「ツ」 「ッ」 「つ」 「っ」 が混用されている。 |
| 助詞の 「は」 と 「わ」 の混用については、脅迫状の書き手は稚拙を装うため故意に 「わ」 で表記している。 |
| 漢字の使用、筆勢や終筆のあり方で根本的に異なっている。文章の書き方全般に差が著しい。 |
| 文法的用法、仮定表現、命令表現、補助動詞の使用の差、文章構成方などで共通点は見られない。埋めることのできない根本的・本質的な差がある。 |
| 石川さんと脅迫状の書き手は異なる。 |
|
| 12月25日提出 |
| ⑪2009年12月25日付 事実調請求補充書 |
| ⑦を補充したもの。 |
|
|
|
|