| 筆記用具 06/7/16 |
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| 今回、「封筒のあて名の筆記用具について」 、新規明白な証拠として |
| <第3次再審請求において提出するもの> |
| 楢崎意見書 (楢崎埼玉大学名誉教授作成、2006年2月16日付) |
| 横田・青木調査報告書 (横田・青木両弁護士作成、2006年4月5日付) |
| <第2次再審において提出したが無視されたもの> |
| MS元鑑識課員鑑定書 (2004年9月21日付) |
| 齋藤実験報告書 (2004年9月2日付) |
| MS鑑識課員撮影報告書 (弁護人作成、2004年7月20日付) |
| KO博士第2意見書 (KO理学博士作成、2004年10月18日付) |
| 橋本要撮影報告書 (弁護人作成、2004年8月9日付) |
| 奥田第2鑑定 (元大阪府警科捜研研究員、2004年9月15日付) |
| <第2次再審において提出したが、島田決定で不適法とされたもの> |
| 齋藤第2鑑定 (2000年3月28日付) |
| KO第1意見書 (2000年12月17日付) |
| 齋藤第3・柳田鑑定 (2001年4月20日付) |
| 齋藤第5鑑定 (2003年9月22日付) |
| 齋藤第5鑑定補遺 (2003年11月5日付) |
| の13通の鑑定書・意見書・報告書が提出された。 |
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| 楢崎意見書 |
| 楢崎鑑定人は、埼玉大学名誉教授、(社) 埼玉県環境検査研究協会技術顧問の化学者。 |
| 脅迫状封筒の 「少時様」 が書かれた筆記用具 (インク) を明らかにした。 |
| 二重封筒に、2種類の万年筆インクで 「少時」、ボールペンインクで 「様」 と書き、ニンヒドリン・アセトン溶液処理と過酸化水素水処理を全面におこなう実験を実施。その結果、「様」 字は流れたが、「少時」 は流れなかった。 |
| この実験結果を化学的に考察し、「様」 文字が流れ、「少時」 文字が流れなかったのは 「様」 と 「少時」 が別の筆記用具で書かれたためであることを明らかにした。 |
| ボールペンインクは油に顔料を分散させたものであり、アセトンに溶解する。ボールペンインクで封筒に書かれた文字は流れる。 |
| それに対して、万年筆インクは水溶性染料を水に溶解したものであり、万年筆インクで封筒に文字を書くと、封筒 (紙) の主成分であるセルロースの水酸基に吸着して染め付ける。万年筆インクで書かれた文字をアセトンに浸しても溶解せず、文字は流れない。 |
| 染料は堅牢度に欠け、時間が経つにつれ変色したり、退色する。だから、今では 「少時」 の文字は読み取れなくなっているといってもいい状態になっている。 |
| 顔料は水にも油にも不溶性の色素であり、堅牢度は染料に勝る。たとえば、有機顛料の一つであるフタロシアニン・ブルーは光や薬品に対して極めて堅牢。顔料を油に分散させて、塗料や印刷インク、油性ボールペンインクとして用いる。 |
| 「楢崎意見書」 は、脅迫状封筒のインクの溶解状態から 「少時」 と 「様」 は別の筆記用具であるとする齋藤一連鑑定、その他元鑑識課員の鑑定の結論を化学的に裏付けた。 |
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| 横田・青木調査報告書 |
| この報告書は、事件当時の埼玉県警鑑識課で、指紋検出にあたった担当者の証言である。以下、「3請求書」 から・・・・・ |
| ・・・・・「横田・青木調査報告書」 は、埼玉県警察本部刑事部鑑識課警察技師斎藤義見外2名作成の本件封筒・脅迫状・身分証明書の昭和38年5月13日付 「指紋検出および対照結果報告書」 の作成者のひとりである警察主事 (当時) Tと面談し、上記指紋検査の状況について聴取した結果を弁護団宛報告したものである。 |
| 上記面談は、2006年4月4日上記Tの自宅においてなされた。 |
| Tは、在職当時30年間鑑識を担当していたが、本件発生のころは10年目であり、指紋検査業務に携わっていた。本件脅迫状等の指紋検査に関しては検査に先だっての撮影、指紋検査、検査後の写真撮影を行っている。 |
| 上記面談のさいに本件指紋検査の状況について説明を求めた。Tは、ボールペンで書かれたものはアセトン溶液に溶けることを認識しており、本件の指紋検査のさい、最初アセトン溶液検体を浸けたところ、にじみが出たことを記憶していた。封筒の指紋検査のさいの溶液浸潤の状況については、記憶に基づき以下のとおり述べた。 |
| 「本件封筒の指紋検査にさいには、バットに深さ5センチメートルくらいまでニンヒドリン・アセトン溶液を入れ、これに封筒を一旦浸け、ピンセットで出した、紙全部を液に浸けるのでまんべんなく溶液がかかる、バットは写真の現像などに使うのと同じもので、長方形の平たい容器である」。 |
| 斎藤第2鑑定作成のさい行われた指紋検査の実験においても、前記の 「楢崎意見書」 作成のさいの実験においても、バットを使用している。 |
| 第2次再審請求段階において、再審請求審および異議審は、封筒表の 「少時」 字と 「様」 字との間で、溶解の程度や色調が異なるのは、両者に対するアセトン溶液のかかり具合の相違に 由来するとして、筆記用具を異にするという弁護側の論証を退けている。 |
| そこで、上記二実験において行われたようなバットの溶液への浸潤が本件封筒指紋検査のさいになされたか否かを調査することとなったものである。 |
| 調査の結果、今般本件封筒の指紋検査に直接関与した鑑識課の担当者が封筒全部をバットにまんべんなく浸潤させて、ピンセットでこれを取り出したことが確認されたのである。(3請求書)・・・・・ |
| ・・・・・つまり、アセトン溶液のかかり具合なんてことは裁判官の空想、空理空論でしかないということだ。 |
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| 第2次再審で提出した鑑定書・意見書・報告書 |
| その他の第2次再審請求で提出された鑑定書・意見書・報告書については、ほとんど紹介済みのものであり省略する。<補充書> のところを参照。 |
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| 山口・鈴木鑑定 |
| 第2次再審異議審段階、2000年9月26日に提出した山口・鈴木東京大学教授による 「3次元スキャナを用いた足跡石膏型の計測に基づく鑑定書」 (9月20日付) と 「補足意見書」 (12月25日付) である。 |
| 3次元スキャナを用いて、東京高裁に保管されている足跡石膏や地下タビを計測・撮影し鑑定。本来は立体の形状のものである足跡石膏や地下タビを、文字通り立体分析した。 |
| 異議審で東京高裁高橋裁判長は、山口・鈴木鑑定人から直接説明を聞きたいと連絡してきた。11月8日、山口・鈴木鑑定人は東京高裁に行き、1時間半にわたって鑑定内容の説明を行った。 |
| しかし、2002年1月23日、高橋裁判長は異議申し立てを棄却。山口・鈴木鑑定に対しては、「3次元空間での形状の厳密な意味での同一性を決め手にするのが合理的かつ実際的か疑問」 などと難くせをつけた。 |
| 以上は、<足跡2/3次元> に述べてあるので参照されたい。 |
| 第3次再審請求における新証拠として提出するにあたっては・・・・・ |
| 「・・・(山口・鈴木鑑定は) ・・・本件第2次再審請求異議審において弁護人より裁判所に提出したが、裁判所において新証拠として扱われず、異議申し立ての趣旨の理解に資する参考資料にとどまったのであるから、本第3次再審請求審においては新証拠としての意義を有している。」 (3次請求書) |
| 「・・・第2次再審意義審申立棄却決定や同特別抗告申立棄却決定は参考意見として山口・鈴木鑑定に言及しているが、これたは、あくまで、新証拠としての重要性を無視してなされた参考意見に過ぎず、そのためもあって、 |
| 同鑑定に対する真摯かつ適正な考察がなされたとはいえず、第3次再審においては、新証拠として、その重要な意義に相応しい的確な考察がなされなければならないことを付言する。」 (3次請求書) |
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