足 跡 04/10/8 |
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<脅迫状および封筒の筆跡、地下タビ・足跡、血液型、手拭い・タオル、スコップ、KU証言、犯人の音声> |
確定判決である寺尾判決において、「自白を離れて客観的に存在する証拠」 として、挙げられているものである。 |
これらが、本当に 「自白を離れて客観的に存在する証拠」 と言えるのかどうか検討していく・・・<脅迫状・封筒> については既に見てきた。 |
ここからは残りのものについて見ていく。足跡~スコップ~音声・・・と続く。 |
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鑑定変更 |
石川さんを犯人とする有力な証拠の1つとして 「足跡」 があげられてきた。これは、佐野屋の近くで発見された足跡と、石川さんの家から押収された地下タビが一致するという、埼玉県警鑑識の関根・岸田技師の作成した鑑定によるものである。 |
1963年5月3日、佐野屋の近くではおよそ20個の足跡が発見された。証拠としては、そのうち3個の足跡石膏 (左1・右2) が明らかにされている。そして、5月4日には関根技師の鑑定報告書に基づいて 「10文ないし10文半の職人タビ」 と記者会見で発表された。 |
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朝日新聞 (1963年5月4日) |
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5月23日、石川さんが逮捕され、5足の地下タビが押収された。いずれも石川さんの兄のものであり、9文7分であった。このころ、石川さんはゴム長靴を常用していて、地下タビはもっていなかった。しかも石川さんの足は10文半であった。 |
しかし、なんとなんと、6月18日作製の関根・岸田鑑定書では、現場足跡は9文7分であり、石川さん宅から押収した地下タビと大きさ・模様が一致すると、5月4日の報告書があっさりと変更されたのだ。 |
(・・・・・9文半→22.5cm 9文7分→23cm 9文8分→23.5cm
10文→24cm 10文3分→24.5cm 10文半→25cm・・・・・) |
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現場足跡石膏と石川さん宅からの押収地下タビ |
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東京高裁・2審において弁護団はこの大きさの違いを明らかにした。部分によっては16mmもの違いがあるのだ。 |
ところが、これを無視できなくなった寺尾裁判長は、 |
「昭和48年12月更新弁論における弁論要旨に添付された資料によって弁護人の測定方法を見ると、まず3号足跡と地下足袋の写真撮影に当たり、寸法の割り出しのため同時に定規や三角定規が並べて撮影されているのであるが、これらはセルロイドかプラスチック製のものと思われる。 |
しかし、かかる定規の目盛りが正確に刻まれていないことは往々にしてあることであり、この目盛りを基準にして各部分の長さの測定をしているのは、方法においてすでに誤っているといわざるを得ない。」 という。 |
なんと、「定規の目盛りが正確に刻まれていないことは往々にしてある」 という訳のわからぬ屁理屈で弁護団の主張を退けたのだ。 |
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井野鑑定 |
弁護団は最高裁での上告審において、井野東大助教授の足跡鑑定を提出した。 |
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鑑定では、まず、警察が石川さんに家から押収した地下タビをはかせて (非常にきつかった) 作った足跡14個と警官がはいて作った足跡16個の、合わせて30個の足跡と現場足跡の長さを比較した。 |
その結果、(下の図) 平均してABで8mm、CDで6.5mmの差があり、現場足跡は99%の確率で9文7分の押収地下タビではないことが分かった。 |
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①現場足跡 ②9文7分 ③10文
④10文3分 ⑤10文半 |
①に最も近いのは④。 |
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次に、9文7分・10文・10文3分・10文半の4種類の地下タビによる実験を行い、上の右図のように、現場足跡に最も近いのは10文3分のものということが分かった。つまり、石川さん宅から押収したものではないのである。 |
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