実況見分調書 04/7/19 |
|
山狩り |
5月2日、死体が発見されることになった農道の北側の畑でごぼうまきをしていた人は、農道の土が掘り返され、平らになでてあるのに気づいた。 |
3日になり事件を知り、何度かその場所に行ったが、犬かネコでも埋めたのだろうと自分に言い聞かせ、警察には届けなかった。 |
|
|
|
そして、4日。山狩りの消防団員がその場所を見つけた。30cmほど掘ると紺色の衣類が現れ、捜査本部に報告。さらに、機動隊員がほり、うつぶせになった死体を発見した。 |
|
|
|
また、ここから20mほど離れたところにある芋穴からビニールふろしきと棍棒1本が発見された。 |
|
実況見分調書 (大野警部補) |
現場の土質は黒色の、やわらかい土で、機動隊員が発見し引き続いて発掘しはじめた穴を更に掘り下げるに、古い茶の木の葉やビニールの汚れた紙片等が土にまじって掘り出されが、被疑者が死体を遺棄する際掘った元穴の形状は縦が1.6m、横が0.885m、深さ0.86mであった。 |
前記穴を次第に掘るに黒革製短靴の、かかとの部分が現れ、漸次人体背部の脛、腿、上体、後頭部等が現れ、両腕を後手にして手首を手拭いでしばられた若い女性の死体と判明した。 |
|
|
|
死体は穴の底に頭部を南方に向けうつぶせとなり、死体の右側頭部に接して人頭大の玉石1個を発見し、両足は黒革製短靴をはいたまま、おおむねまっすぐに伸ばしていた。死体には太い荒縄がたぐったように身体の上部においてあった。 |
|
|
|
(玉石1個・縦20cm・横16cm・高さ13cm・目方6.6㎏・・・押収品目録) |
|
|
|
貯蔵所の穴の入口は縦0.75m、横0.65m、深さ3mであって底に横穴があり、横穴はいずれも高さ0.90m、奥行約4・7メートル・・・ |
|
|
|
棍棒は長さ0.94m、中央の太さ周囲11センチで、全長の約3分の1位さけた方に土が付着した状態は、この棒を一度泥土に差し込み抜きだしたような状態であった。 |
ビニールの風呂敷はよじれた外側に土が付着しているが、穴に落ちてから雨水がかかり乾いたような状態で、物件をしばるために使用したように認められ、この風呂敷は縦66センチ、横65センチ、ビニールの白地に赤で鶴亀松竹梅宝船の帆に寿の模様があって、宝船の下側隅およびその対角がそれぞれ不正三角形に切りとられている。 |
|
|
|
補 足 |
この調書 (5月4日) の時点では、まだ警察の作意を疑うことはできない。とりあえず、客観的な事実として考えることにする。 |
ただし、2審段階で、死体の埋没の方向などをめぐって、犯人にでっちあげられた石川さんの 「自白」 に合わせて、後日の改ざんの可能性が指摘されたことがある。 |
ここでは、上記の引用以外のことも併せて補足しておく。 |
発見された死体の上の土には古い茶の木の葉やビニールの汚れた紙片等があった。うつぶせにされた顔の下にはビニール布 ( 「丸京青果」 の荷札がついていたという報道がある) があった。 |
首は木綿の細引紐で 「ひこつくし様」 に後でしめられていた。「月島食品工業」 のタオルで目隠しをされ、「五十子米穀店」 の手拭いで後手に縛られていた。 |
両足も木綿細引紐で 「ひこつくし様」 にしめられ、これに長い荒縄が結びつけられ、死体の上にたぐったようにおいてあった。また、この紐のはしに、白ビニール風呂敷の二つの角の部分が結ばれたまま切れていた。 |
|
|
|
なお、この切れた部分は、芋穴で発見されたビニール風呂敷の切れた部分と一致する。また、「ひこつくし様」 というのは紐の結び方で、カウボーイが使う投げ縄の結び方である。 |
|
|
|
両足とも靴下をはいており、「比較的きれい」 だった。着ていた上衣、スカートは、ボタン2個が脱落、バンドぎわが破れていたほかは損傷がなかった。ズロースが膝上までずりおろされていた。 |
頭の上には玉石があった。
(縦20cm・横16cm・高さ13cm・
目方6.6㎏) |
 |
|
また、棍棒とビニール風呂敷が発見された芋穴のふたはあいたままだった。 |
|
五十嵐鑑定 |
死体はYNさんの自宅に運ばれて、そこで埼玉県警の五十嵐警察医によって解剖された。その鑑定結果は、以下のようになっている。 |
①死因は窒息。②頸部扼圧 (扼殺)。③死後2~3日と一応推定。④生存中の最後の食事から最低3時間経過と推定。⑤膣内の精液の血液型はB型。 |
そして、「死亡直前に暴力的性交が遂行されたものと鑑定」 している。また、「処女膜の陳旧性亀裂3条」 があり、陳旧性 (時間がたった) 損傷があったことも明らかされている。 |
|
矛 盾 |
このような状況と、石川さんの 「自白」 の間には数々の矛盾がある。具体的には後述するが、幾つかを紹介する。 |
古い茶の木の葉や玉石や棍棒は、なんのためにあったのか。「自白」 にはでてこない。 |
また、「ひこつくし様」 の結び方を石川さんは知らなかった。 |
さらに、後に 「自白」 では、一時死体を芋穴に逆さ吊りしたことになっているが、これは、荒縄が何のためにあるのか説明がつかないために、警察が考えついたフィクションである。 |
|
|
|
「自白」 では雨の中で死体を埋めたことになっているが、濡れておらず、むしろ室内での犯行を伺わせる。 |
また、控訴審で上田鑑定が明らかにしたように、五十嵐鑑定には多くの点で疑問がある・・・後述。 |
|
|
|