荒神様
・・・・・ここから先は、すべて警察が考えついたストーリーに基づいて、石川さんの 「自白」 が作り上げられている。
撮影時期不明
2005年5月
 祭 り
荒神様・・・蚕の神を祀っているという。この地方は養蚕が盛んで、荒神様は人々に親しまれていた。
5月1日は、この荒神様の祭りであった。石川さんは、この祭りの行われている境内の横の道を通ったことになっている。
1883年6月
2005年5月
横の道といっても、写真のようにフェンス一枚で境内と道が仕切られているようなものである。石川さんは、工事用のトラックが止まっている道を手前からトラックの方へと歩いていったことになっている。
撮影時期不明
この日の祭りには、常時20~30人、多い時で50~60人の人出があった。石川さんの知り合いも来ているはずであるが、石川さんを見た人はいない。
また、YNさんもここを通ったと推定されている。寺尾判決に至っては、「荒神様のお祭りを見物しようとして平素の通学路と違う加佐志街道を通ることも十分考えられる」 とさえいっている。
この祭りにはYNさんの近所の人も参加している。しかし、彼女を見たものは誰もいないのである。
 レコード
境内から南東方向を望むと、「殺害現場」 とされた、かつては雑木林であったところが住宅地になっている。中央の一番高いマンションの向かいあたりがONさんの畑があったところで、約500mの距離がある。
境内から南東方向 (2005年5月)
祭りでは、流行歌のレコードを流していた。例年は、おはやしをやるのだが、神社の持ち主が前日の市議選に立候補し人出不足になっていたのだ。
500m先の畑で、ONさんはこのレコードの音を聞いている。しかし、すぐ横を通ったはずの石川さんは、聞かなかったと言っている。
検察官の調べで 「レコードがかかって流行歌等歌っていたのではないか」 との問いに対して、「それは聞きませんでした」 と答えているのだ。
寺尾判決は、「・・・被告人がそこを通った際にたまたまレコードがかかっていないこともあり得るし、レコードがかかっていても被告人が気にとめなかったこともないとはいえない」 という。
が、「自白」 からしても、事件前のことである。気が動転しているというわけでもないのだ。レコードの音が聞こえなかったはずはない。聞いてないとするならば、石川さんは、実際にはここを通らなかったということなのである。