加同協ニュース №29     03/6/9
5月16日 2003年度 加同協総会 報告
5月16日、加茂名中学校体育館において、約110人の参加で2003年度総会が行われました。今回は結成以来のあゆみを振り返りながら、加同協の進むべき道を探っていくということで 「~みんなで語り合おう加同協のあした~」 をテーマとして行いました。
会長挨拶
加同協に今まで携わってきたが、創設当初のことを知っている方が少なくなってきた。創設当時のことを、格別に講師さんを呼ばずに、初めての方にとってもわかりやすく、説明できる総会を考えている。
地域教育力推進指定事業を2年間、人権の町づくりネットワークの指定事業を3年間と活動しているわけであるが、講演会や先進地視察なども含めて、やっていきたい。法が期限切れになってからの加同協の名前について、今年一年かけて考えていく必要もある。
議事
①部会報告
・就学前部会 (1幼稚園 6保育所・保育園で構成)・・・総会資料参照
本年度の活動について
 目標構想図についての話し合い
 名称問題
 加同協の学校連携のあり方について深めていく等。
・小学校部会 (加茂名小学校・加茂名南小学校)・・・・・総会資料参照
両学校での中での摺り合わせ(人権教育の年間計画など)をしていきたい。
中学校とは、保護者対象の小集団学習で中学校の先生を講師によぶなど
本年度の活動について
就学前部会での子育てアンケートなどに引き継ぎ、「学力」についてのとらえ方を部会で話し合い、実態をデータ化するなどの活動していき、取り組みや課題について二つの小学校で話し合っていきたい。
・中学校部会
人権学習参観授業での公開、人権学習の授業研究会の公開
加同協協賛で、加茂名小・加茂名南小学校の児童・保護者・地域の方々との連携をとって人権コンサートを行った。学校が1校なので、事務局での連携はあるが、職員全体というと連携にまだまだ課題がありこれからの問題でもある。
・高校部会
主に今年度は、校内に 「そよかぜ」 という農産物の販売所を作るなど、多くの方に本校を知ってもらう努力があった。加同協の学校に協力いただいた。農園で田植えや稲刈りなども加茂名南小学校とも連携があり、加茂名小学校も学校への見学などの交流があった。その他草花の栽培なども小学校といっしょに行った。
6月には、地域の流学習会に、19名の参加があり意義深いものになった。 これから、連携をさらに密にしていきたい。
高校へ入学してきた生徒への、進路の保障がおこなわれるのが中心の課題であり、学校全職員をあげてがんばっているが生徒の遅刻や早退などがある。生徒の自立支援を行う上で、保護者との連携も大切であるが、地域の学校との連携も大きな意義がある。
②会計報告
③2003年度のあゆみと今後の課題 (事務局長)
1997年発足した加同協であるが、多くの先生にとっては、加茂名にきたら加同協があったという状態ではないだろうか。結成当時の人はほとんどいなくなった。
加同協発足は、順風満帆にできたものではなく、いろいろな問題も乗り越えて現在にいたってる。法が切れたので同和教育はもういいという風潮もあり、国連の 「人権教育10年」 という中で、加同協の進むべき道をもう一度考えていく時期にきている。
結成趣旨というのがあるが、最初は保幼小中高の連携という趣旨であった。結成の前年の96年の5月に (加茂名小と加茂名南小が分離して6年たった年であったが) 「ブロック同和」 を契機として取り組みがなされた。
それまでの学校での取り組みは、当たり障りのない同和教育という感があった。学習会の手紙は、ひそかに配られていた。育成会としてはもっとオープンにしてほしいと学校にお願いしていたが、学校としても問題があってはと懸念しなかなかその方向には動いていなかった。
そんな中で、ブロック同和が加茂名小学校で行われた。当時、鮎喰では地域の歴史を掘り起こす資料作りをしていたが、それらをもとに学校の方でも地域教材の開発に力を入れた。学校から地域へ足を運んでくれた教育がなされた。
加茂名南小学校は、どうだったか。正直言うと保護者に不安があった。南小学校でも同和教育が進んでいないと、中学校へ行ってつらい思いをする子どもがでるのではないかという不安があった。
96年春、中学校で 「学習会は悪い子が行くところ」 とか、地域の子が部活を切り上げて学習会に行こうとすると 「学習会と部活とはどちらが大事か」 と責められることがあった。その部活では、加茂名小学校と加茂名南小学校の人数の割合が1対5であった。
このようなこともあり、保護者の中には加茂名小学校と加茂名南小学校での同和教育の取り組みを一貫性のあるものにして欲しいという声があがった。実は 「学習会へ行くのは悪い子だ」 と言った子どもも自身も被差別部落出身の子であった。
自分の顔につばする行為であったわけであるが、このようなことがないようにして欲しいという願いもあった。
教育委員会に加同協のような組織を作ってほしいという要求を出したが、帰ってきた答えは 「趣旨は賛成であるが、現場から作った方がよいのではないか」 というものであった。それではと、下から積み上げていこうという話になり各学校に手分けをして話をしたが、担当の先生方や管理職の方々は二つ返事で了解してくれた。
 教師と保護者とも 「フィールドワーク資料を作る会」 での関係もあり、加同協の結成は同和教育に関係していた多くの先生がたの 「思い」 でもあった。そして、加同協の準備会ができあがったわけである。まず会則作りになったが、会則そのものは簡単なものにし補足を詳しくするようにした。
会則の審議では、公開授業・保育という言葉に関して会則から削って欲しいという要望が小学校から出ていた。補足説明に入れることになっていたが、結成総会では加同協結成そのものに反対ではないが、やはり公開授業に関する議論があった。
議論が出たという意味ではいいことではあったが、個人的には公開授業・保育に対しては加同協を作るにあたってはどうしていけないのかという思いもあった。
年度がかわり、実質的なスタートであった5月の総会では、全く問題なく議事が運び、いろいろな意見がでて加同協はスタートした。が、このように出発にあたっては波風がなかったわけではない。
また、現在までにいろいろな取り組みをしてきた。就学前部会もそうであったが、同じ就学前部会と言っても、話し合ってみてわかったことだが、各園所の状況には様々な違いがあった。最初の一年は、お互いが他の種別の学校を知るという活動に終始した。
加茂名南小学校の先生方も様々な機会に、加同協の会に積極的に参加してくださることになった。同和教育も二つの小学校での違いは少なくなってきたと思う。それは、中学校の先生も感じてくださっているのではないだろうか?
98年度にはいって、学力についてどう考えるかという問題が、加同協のもう一つのテーマとして考えられるようになった。学習会をやってきながらも、地域と地域外との学力格差が厳然と存在している中で、学力ももう一度考えなければならなくなってきた。
自由保育を「ほったらかし」の保育ととらえた中学校の先生もいたという話もあったが、上の学校の先生の中に「自由保育のせいで、こうなった」という方もいた。「ほったらかし」の保育と勘違いされている方も実際にはいたのではないだろうか。しかし自由保育は、理念は自由であるが形態としてほったらかしということではない。そのことを確認しましょうという話になった。
事務局長として話をまとめる立場にあるが、いいたいこともある。波風もたつという不安から対立が起こることをさけてきた。しかし、意見の対立がなければ話が進んでいかないこともあるのではないか。実際に、自由保育の問題は就学前と中学校との間でいい理解ができたのではないだろうか?
2000年の加同協総会あたりでは、結成総会にきた先生が少なくなってきた。加同協として蓄積してきたことを、よそから来られた方にもわかりやすくしなければならない。これまでの歩みを文章化しようと考え、また事務局会で学力について議論したがなかなかうまくいかなかった。
そのために、大阪から鍋島先生におこしいただき講演をうかがった。部落史については、奈良の吉田先生の講演をうかがった。しかし、その講演ももちろん聞いておられない先生もおられるはずである。
加同協での連携はまだまだ部分的だが、ない時にくらべたら連携はずいぶん進んだといえる。これからは、学年同士の連携など小規模な連携も進んでいかないものかというのが、外から見ているものの感想である。各部会での様々な活動は進んでいるが、同学年同士の連帯など進めて欲しい部分もある。
同和教育を中心に加同協は進んできたが、法切れに際して加同協はどうするのかというところにきている。各学校の同和教育推進委員会は,多くは人権教育推進委員会に変更した。市PTAとしても人権教育推進委員会に変更になった。
時代として、同和問題だけをするのではなく、人権問題の中でやっていく時代になってきたのではないか。同和教育がなくなるというのではなく、人権教育の中で同和教育を進めていく時代になってきている。
しかし、同和教育だけでさえも完全に進んでいるわけではないのに、これ以上課題を広げていって大丈夫なのだろうか?という不安も当然ある。12の課題を全て網羅することは無理だろう。おそらく年間で、性差別、障害者差別、部落問題など2~3つぐらいしか取り上げることができないだろう。
名称に関しては、「加同協」 (同和教育)  にこだわるというのも一つの選択肢。または 「同和」 を 「人権」 又は 「人権・同和」 などに変えたり、まったく違ったものに変更するという選択肢もある。名称の問題は、ただ名前をかえるということではなく、会の内容、進むべき道の問題だ。
しかし、今までできたところを考えると、積み残しもたくさんある。どんどん先生方も代わられるし、くりかえし一からやり直してきたようなところもある。加同協がいったいどちらに進むべきかは、もう少し活発に話し合っていく必要性がある。
事業計画案にしても例年と大きくはかわらないが、その方向性については、様々な角度から話し合いがなされる必要があるのではないか。
質疑応答・・・省略
このあと、提案資料を承認し、新たな役員を選出し、また事務局員を確認し総会を終えました。今後の加同協の方向を探ると言うには、意見があまりでませんでした。総会を受けて、各職場などでの議論を期待します。
03/6/9