野外学習(7)

 お風呂から出たら部屋に戻って楽しいパジャマパーティ……とは言っても、残念な事に着ているのは学校指定の短パンにインナーシャツだ。カラフルな下着やタンクトップが透けて見えてる子もいるが、全体的に地味な色合いになってるのは否めない。
 お気に入りの薄桃色のパジャマが良かったとは思うが学校行事なので仕方がない。
 アルトもTシャツと短パン姿。去年海に行ったときに日焼けで服が着られなくなったときに着てた奴。
 毎日これで寝てれば良いのにと思うのだが、多分寝るときには脱ぐのだろう。
 そのアルトを頭に乗せて部屋に帰ったら、クラスメイト達と持ってきたゲームの確認をし合う。
 クラス二十名でトランプが八組、UNOが三セット、オセロ三セット、将棋二セット、花札と囲碁が一セットずつに、人生ゲームが一組……って、|彼《か》の瑠璃姫すら諦めた人生ゲームがあることに怜奈は驚いた。
 しかし、瑠璃姫こと桑原瑠依子が持ってこようとしたのはフルサイズの大きな人生ゲームだ。それに対して穂香が持って来たのはポケットに収まる小型版。
「大きいのを小脇に抱えて行こうとしてこそ姫よ。そんなポケットに入るゲーム、オセロと何が変わるの?」
 ――とは、その話を聞いた瑠依子が言ったお言葉。
 さすが瑠璃姫である。
「トランプばっかり八組はちょっと多いかな?」
「トランプは色々遊べるから飽きないよ、きっと」
 穂香の言葉に美紅が肩をすくめて応える。
 一方、伶奈が自分の持って来たオセロを用意し始めると早速蓮がその向かいに座った。
「じゃん、けん……ポン」
 蓮のローテンションな言葉に誘われるようにパーを出したら、相手はチョキ。
「……蓮から」
 勝者はさっさと黒面を上にしてパチン♪ と最初の一手を打った。
 そうなると、伶奈だって黙っていられないのでパチン♪ と白面を表に反撃の一手。
「――って……いきなり始めちゃってるし……」
 頭の上でアルトが言うがそれはひとまずスルー。
 パチン……パチン……と交互にオセロのコマを置いていく。
「――と、なると……こっちはひとまず三人でトランプかな? 人生ゲームでも良いけど……」
 穂香が言うと、応えたのは愛生衣だった。
「トランプで七並べは?」
「私は良いよ。穂香ちゃんは?」
「私も! じゃあ、三人で! あっ! 人生ゲーム、使いたい班があったら勝手に使って良いよ」
 愛生衣、美紅、穂香の話し合いであちらでは七並べが開始され、穂香の人生ゲームは八重子達隣の班が使うことになった。
 そんな様子を耳にしながら、怜奈は連と交互にオセロの駒を並べていた。
 パチン……パチン……と序盤戦。まだまだ、どちらが有利という話にはなっていない盤上、蓮が打つ手を止めずに尋ねた。
「にしちゃん……こんなの、持ってた?」
「ジェリドに借りた……――蓮、オセロ得意?」
「ジェリドさんと仲が良いね……――うん……時々、家族でするよ……」
「……お隣さんだからねぇ……――私は昨日、久しぶりにやっただけなんだよね……」
「感謝……してるって……前に言ってたよね?」
「うん……私を可哀相な子扱いしなかったの……あの時はジェリドだけだから……」
「……良い人だね……」
 それまでパチパチとテンポよく駒を置いていた怜奈の手が止まり、顔が上がった。
 そして、あからさまに眉をひそめて彼女は言う。
「……デリカシーがないだけだよ……二月に喫茶店で家庭教師の先生と二人きりで勉強してる小学生に不登校か? って聞いたんだよ?」
 そう言って新しい駒をパチンと置く。
 連が置いた駒をひっくり返して白に返った。
 その駒がひっくり返る音に合いの手を入れるかの様に連が新しい黒を置いて言う。
「……それはだめ……だね」
「……でも、可哀相な子供扱いしてくる人には怒れないし、自分が惨めになるだけだけど……デリカシーのない人には怒れるから……思いっきり怒ったら、すっきり出来たんだよね……あの時……」
 パチンパチンと小さな白黒の駒を盤上に並べながら、怜奈は連とゆっくりと言葉を重ねていく。
 今のところは盤上互角と言ったところか? 心持ち連の方が有利かも知れない。
「だから……好きなんだ?」
 連の言葉に怜奈は顔を上げ、少しだけ頬を膨らませた。
「前も言ったけど、そういうのを恋バナに持って行くの、嫌い……大体ね、大学生が中学生を相手にするわけないじゃん……」
 そう言ってパチンと駒を置く。
 間髪入れずに連の一手。
「あっ!?」
 気づかなかった一手でパタパタと怜奈の駒がひっくり返っていく。
「いぇーい」
 形勢は一気に連の方へと傾き、連は愛らしい顔の横でピースサインを作って見せた。
「ああ……」
 頭の上で勝負と会話を見守っていた妖精が嘆息するのが聞こえた。
「……まだ、解らないもん」
 膨らんでは見るものの、頭の片隅ではだめかな? の予感がよぎる。
「相手にされてないの?」
 そう言った連の声は耳にこそ届いたが、次の一手を考えていた怜奈の脳みそにまでは届いていなかった。
「えっ?」
 思わず顔を上げると連はもう一度先ほどとほぼ同じ質問を怜奈に投げた。
「……だから、ジェリドさんに相手にされてないの?」
「……喧嘩相手だよ……恋愛対象には絶対にされてない自信がある。それに――」
 考えはまとまらないがとりあえず打てるところにパチンと駒を置くと、やっぱり即座に連が駒を置き返す。
 形勢は打てば打つだけ悪くなってるようだ。
 そして、連が小さな声で尋ねた。
「それに?」
「うぐっ……ああ……もう、だめっぽい――ああ、それにね、うちの周りって美人のお姉さんがたくさん居るの、大学生の」
「じぇいでぃー?」
「いわゆるそれ。ジェリドの居る二四研にも女子大生の綺麗なお姉さんが居るのに、私みたいなお子ちゃまと付き合うなんて、特殊趣味かただの妥協だとしか思えないよ……」
「お子ちゃま?」
「お子ちゃまだよ……鏡の前で精一杯あっちこっち整えてフロアに出ても、まずアルトのスタッフのみんなに打ちのめされるの。凪歩お姉ちゃんは最近は薄化粧して出社してきてるし、翼さんや美月お姉ちゃんはほぼすっぴんなのにすごく綺麗だし……さらにお客さんの女子大生に追い打ちかけられて、部屋に帰って鏡を見たときに『わっ?! 子供が居る!』って愕然とする感じ」
 また、怜奈はパチンとオセロの駒を置いた。もはや、勝負は半分投げているが最後までやるのが礼儀だ。
 ――が、連はその追撃の手を緩めない。
 ペチンとまた厳しい手を彼女が打つ。
 怜奈の白が減り、連の黒が増える。もはや、白が何枚残るか? がこの勝負の争点となっている感じ。
 そして、また連が尋ねる。
「ふぅん……じゃあ、そういう|JD《じぇいでぃ》のお姉さんとジェリドさんが付き合ったら、西ちゃんは祝福するんだ?」
「えっ?」
 連の言葉にポトリと怜奈の握っていたオセロの駒が落ちた。
 そこに頭の上の妖精が追い打ちをかける。
「具体的に言うと天城夏瑞と祐介が付き合いましたと言われたら心から祝福するのか? って事よ」
 天城夏瑞、通称あまなつは怜奈の部屋から見て祐介とは逆隣に住んでる女子大生だ。
 化粧はせずにほぼすっぴん、服は毎日薄汚れたつなぎ、髪は駅前の千円散髪屋の童顔さん……なのに、隠しきれない巨乳が隠れた人気の源。一部ではロリ巨乳とか立体化された二次元とか言われているらしい。
 それと同時に全く男っ気のない女性としても有名だ。
 今のところ、お付き合いをしている男性はおらず、逆に玉砕した男の話は怜奈も今までに数回耳にした。
 その女子大生が彼とお付き合い……
 かーっと顔が熱くなり、逆に背中に何か冷たい汗が流れていくのを少女は感じた。
 されど口調だけは努めて冷静に……を心がけてたつもりだが、全く功を奏していない事が自分自身でも理解できるほど。
 うわずってるのが自分でも解るほどにうわずった口調で少女は言う。
「もっ!もちろん、祝福するに決まってんじゃん! じぇっ、ジェリドに彼女とか、絶対に、あれだよ、うん、二度と出来ないだろうから? 大事にしろって言うよ!」
 早口にまくし立て追えたら、少女は改めてあたりをきょろり。
 そして、彼女は自分が注目されていることに気づいた。
「あっ……いや……その……ほんとだよ? ほんとに祝福するよ?」
 とってつけたような言葉を吐いたら、連が怜奈の肩をぽんと一つ叩いた。
「……諦めたら試合終了だよ……?」
「別に好きじゃないもん!」
 思わず声を荒らげてしまったことにかーっと顔が赤くなるも、連は――そして周りを囲む友人達も何も言わない。
 広い和室にシーンと耳と胸が痛くなる様な沈黙が訪れる。
 薄い壁の向こう側から隣の教室の女子達が大騒ぎしてるのが聞こえた。
 そして、一つの声が聞こえた。
「人間なんて|二十歳《ハタチ》を過ぎたら成長の仕方が変わるのよ」
 そう言ったのはアルト……かと思ったら、その台詞の主は二年三組担当教諭御影文子女史だった。
「わっ!? せっ!? 先生?!」
 怜奈が素っ頓狂な声を上げると、彼女はいつの間にか出来上がっていた人垣に割り込み、怜奈の隣にぺたんと座った。
 どうやら、見回りに来たらしい。
「成長しないの?」
 物怖じしないとの評判の穂香がトランプ片手に尋ねると、文子は軽く首を左右に振って見せた。
「成長の仕方が変わってくるのよ。お酒がゆっくりと熟成していくみたいに少しずつ味わい深くなっていくのが大人。でも、あなたたちはお日様の光や地面の養分でどんどん実っていく稲穂みたいに、知識や考え方をどんどん吸収していく世代なの。それは今だけで、二十歳を過ぎればなくなる物よ。だから、今のうちにたっぷりといろんな勉強をしなさい。そしたら、二十二−三の頃には六つ差位、気にならない様になる。なにより、相手より良い学校出てたら見返せるわよ」
「これって要するに今は黙って勉強してろってことよね……きれい事の固まりみたいなコメントだわ」
 文子の言葉に頭の上のアルトが的確な解説を付け加える。
 されどその言葉は怜奈の耳にこそ届いていたが、心にまで全く届いていなかった。
(そっか……ジェリドより良い学校に行ったらジャリって呼ばれなくなるんだ……)
 後で考えてみれば“ジャリ”呼ばわりは年齢と身長差が主な原因なんだから、多少偏差値が上の学校に行ったからってどうだという話なのだ。
 しかし、このときの怜奈はそのことに気づいてなかった。
「旧市内にある国立大学なら私大よりもずーっと学費が安いし、今の家から電車で通えるわね。工学部はないけどほぼ全ての学部で偏差値は上よ」
 頭の上から振ってくる妖精の言葉はまるで天啓のよう。
(これならジェリドを見返せる!!)
 幸い怜奈は勉強が苦痛ではない。
 ゲームも少しはするし、アルトでのアルバイトも楽しい。友達と会うのは何よりの楽しみだ。
 それと同時に勉強を苦痛だと思ったこともない。
 一生懸命勉強して成績が伸びても、毎回蓮に負けて悔しい思いをしているが、成績は自慢できる程度に良い。
 何がしたいというか、どこの学部に入りたいというのは今のところ全くない。しかし『旧市街にある公立大学に入る』をひとまずの目標としても良いのではないか?
 ――と言うことを考えていたら、注目を浴びていた。
 気づけば、怜奈と連と教師とオセロ盤を囲む様にクラスメイトが車座。
 ひそひそ話で聞こえてくるのは――
「絶対、今、どこの大学に行けば相手を見返せるかって事を計算してたんだよ……」
「西部さん、頭いいもんね……」
「つーか、やっぱり好きなんだ……そのジャミドフって人……」
 そんな声が聞こえてくる有様。
「――って、ジャミドフって誰だよ!? 知ってて言ってるよね!?」
 と、キレておく。
 キレる怜奈をほったらかしにして穂香がいけしゃあしゃあと言葉を発する。
「先生! もし、二十二−三歳になるまでに相手が他の人に取られちゃったらどうするの?」
「その時はそうね……先生のところに連絡していらっしゃい、一緒に美味しいものでも食べに行きましょう」
 文子はそう言うと、視線を穂香から怜奈の方屁と移した。
 そして、にニコッと微笑みかけ、彼女は言った。
「ごちそうするわよ、西部さん」
「私じゃないもん!」
 思わず怜奈が叫ぶ。
 それに文子はしれっとした顔で言った。
「『私ではありません』でしょ? 感情的になると口調が悪くなるのは良くないわよ」
「うっ……はい……」
 クシュンとうなだれる怜奈にかけられる声。
「やーい、怒られた」
 それは四方会自称リーダーの穂香の物。
 その言葉に文子がぴしゃりと言う。
「東雲さんは年中無休で口調が悪いでしょ」
「引火した!?」
 文子と穂香のやりとりに少女達が「あはは」と大きめの声を上げて笑い、その声が広い和室の中に広がった。
「まっ、私なんて旦那との年の差七つだもの、意外とどうとでもなるのよ。それじゃ、あまり夜更かしをすると明日が辛いわよ。それから、花札やポーカーをやってる子もいるみたいだけど、賭けないようにね」
 そう言ったら文子はヨッコイショとおばさん臭い声を上げて、畳の上から立ち上がった。
 部屋から出て行く文子を見送り、怜奈はため息交じりに呟く。
「いつ来てたの?」
「少し前だよ。のぞき込んでちょっと話をしてって感じのことを繰り返して、最後が怜奈チと蓮チのところ」
 穂香が答えると、怜奈はもう一度ため息。
「教えてくれれば良いのに……」
「そんな面白いこと、私が教えるわけないじゃん」
 開き直ると言う言葉すらもったいない態度で胸を張る友人にがっかり。
 肩を落として怜奈はまたもやため息を吐いた。
 そんな怜奈を無視するかの様に穂香はニコニコと笑顔を浮かべて、身を乗り出した。
「それでさ、どーなの? 実際のところ」
 その穂香の隣には美紅、その隣には愛生衣や理沙、八重子をはじめとするクラスメイトたちがずらりと雁首を並べている。
 もちろん、正面には連がどーんと鎮座ましましていた。
「お得意のキレ芸でごまかすのも、冷静に言い逃れるのももう無理だと思うわよ」
 頭の上でアルトがうそぶく。
「あっ……いや……その、正直ね……正直に言うよ」
「うんうん!」
 怜奈の言葉に穂香が応え、それに合わせるかの様にクラスメイトたちもずいっ!とそのみを乗り出す。
 その様子に若干引きつつも、背後にもすでにクラスメイトが並んでいて、逃げ場はどこにもない。
 もはやここまで……
 少女は覚悟を決めて言った。
「わかんない」
「――ってなにっ!?それっ!?」
 大きな声を上げたのは美紅、その背後では同じような言葉で批判をしてる少女たちもいた。
「だって、本当のことなんだもん! ジェリドのバカが他の女の人と付き合うのはなんかヤなんだけど、あのバカと顔を合わせたら顔も声も言動も座り方からキセルの持ち方、吸い方、灰の落とし方まで、何もかもが気に入らないんだもん! むしろ、死ねとか思うし!」
「……そんなんなら、別の女の人に引き受けて貰った方が良いじゃん」
 そう言ったのは話を聞いていた美紅だ。
 その美紅を怜奈はじーっと数秒見つめた後、ぷいっとそっぽを向いて答えた。
「……それはなんとなくヤだ……一生うちの隣に住んで部屋の前でうんこ座りしてタバコ吸ってれば良いのに」
「西ちゃんは面倒くさい子」
「……ふんっ! どーせ、面倒くさい女だもん、ジャリだもん、ガキだもん」
 連がぽつりとこぼした言葉に、怜奈が一息でまくし立てた。
 言い終わってちょっとぶすっと膨れたほっぺに穂香の視線が容赦なく突き刺さる。
 そして、数秒の沈黙が広い和室の中に舞い降りた後、穂香が言った。
「要するに、怜奈チはジェリドさんに子供扱いされるのが嫌なだけなんじゃないの? 顔を合わせたらいつも子供扱いされてるみたいだし」
「あっ……うぐっ……うん……まあ、それはあるかも……」
 ごにょごにょと煮え切らぬ態度で呟けば、今度は愛生衣が言った。
「じゃあ、やっぱり、先生が言ったとおり、勉強して良い大学行って見返すのが一番?」
「――かなぁ? その後のことは見返した後に考える」
 薄らぼんやりと今後の日程表を怜奈は考える。
「結局、煮え切らない……」
「つまんないなぁ〜ずばーっ! 好きって言えば面白かったのに……」
「むしろ、抱いて! と、せま――痛っ!? 南風野さん、四方会以外にも容赦ない!」
 と、クラスメイトからはあまり評判の良くない結論ではあるが、結局、これが怜奈の結論だった。
 ――が、話はそう簡単には収まらない。
「……立派な計画立ててるのは良いけど、貴女が十八になる頃には相手二十四で社会人二年目よ、順調にいけば。他県で就職してなきゃ良いわね。地元とか」
 頭の上でアルトが言った。
「えっ?」
 その声に思わず声を上げるも、聞こえてるのは怜奈ただ一人。
「どうしたの?」
 美紅が尋ねる。
「あっ……もしかして?」
 そういった穂香はちょいちょいと自分の頭の上を指さしてみせた。おそらくはアルトのことを意味しているのだろうと言うことは理解できた。
 それに軽く頷いた後、怜奈はぼそぼそっと小さめの声をあげた。
「あっ……よく考えると……私が高校卒業する前にジェリド、大学卒業しちゃうなぁ……って……気づいた。今」
「私が教えてあげたんじゃないの」
 頭の上でアルトがそう言うけど知らん顔。
 その言葉に一気に盛り上がるクラスメイトたち。
 今すぐ攻勢をかけろとか、諦めろとか、やっぱり、抱いてと迫れとか好き放題。
 やいのやいのと盛り上がり、少女たちはおにぎりをつまみに麦茶を飲んで、恋バナに花を咲かせるのだった。
 徹夜で。

 そして、翌日……
 ほぼ完徹でグランドに集められた少女たちを見つめてクラス担任文子が呟く。
「例年のごとく死屍累々」
 そして、寝不足少女たちによるハイキングという名の山岳行軍が始まるのだった。
 なお、これは――
「これがないと英明の子たちが来たって感じがしませんね」
 職員たちがこういう程度には例年の名物らしい。

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