松
         ( 松下幸之助翁述 * 江口克彦氏 記)より
          
          巻四
 真の経営

           

 

            馬  治   
            

            今日の言葉(目次)へ

           (次へ)巻五 自分を見つめよ

2003.7.23 <巻四 真の経営>       382

 絶対安心という境地などありえない。心配を持っているのが当たり前。

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 世の中に100%安心なんてまず有りません。慎重に慎重に、信ずる道を全力で歩む事です。人事を尽くして天命を待つ!ということでしょうか。



2003.7.22 <巻四 真の経営>       381

 すべてを善意に考える。すべてを修行と考える。そこから必ず道がひらけてくる。

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 断じて事をなす志さえあれば道は必ずひらける。前向きの発想と地道な努力だ!失敗も成功もすべて自分の責任ですよ。と教えてくれました。

2003.7.21 <巻四 真の経営>         380

 苦しさに動揺せず、志固く、努力を続けていくなかで、ほんとうの魂がつくられる。

コメント

 苦しみから逃げてはならない。苦しみがあるから、喜びがあるのだ!と学びました。

2003.7.20 <巻四 真の経営>          379

 年ごとに体重を測るように、己の実力を測定してみなさい。

コメント

 自分は日々成長しているか?常に反省することを忘れるな!ということでしょうね。

2003.7.19 <巻四 真の経営>         378

 誰が悪い、彼が悪いというより、それぞれが反省するほうが社会はよくなる。

コメント

 他人の所為(せい)にして、言い訳をしたりしても、この世で変えることが出来るのは自分と自分の未来だけです。他人と自分の過去は変えることは不可能です。

2003.7.18 <巻四 真の経営>         377

 竹林の七賢人も七人だったからいいけれど、あなたも賢人、私も賢人では、世の中は成り立っていかない。

コメント

 松下さんは、この世の中に無駄な人は一人もいない、必要のない職業も一つもない。お互いを尊重しながら助け合うから、うまくバランスが取れている。全員が同じ職業・同じ考え方では、世の中が成り立たないはず、みんな必要なものばかりだ。と考えていました。

2003.7.17 <巻四 真の経営>        376

 世界の青年の意識調査をしたら、日本の青年が一番不平不満が多かったという。これほど豊かな国で、なお不平不満を感ずるとは、日本の青年はなんと傲慢(ごうまん)で精神的に貧困なのだろうか。

コメント

 松下さんは、何事にもプラス発想で常に前向きに行動した人です。「役に立つ愚痴はない。愚痴を言い続けてもそこから何も生まれない」と教えてくれました。

2003.7.16 <巻四 真の経営>         375

 進歩が速いのもよし悪しだ。

コメント

 松下さんは、若いころから身体が弱かった為、石橋を叩いて渡るような堅実な経営を心掛けて、決して背伸びをした経営、自分の力以上の一発勝負的な経営はしませんでした。無借金経営を貫き通した経営者です。
2003.7.15 <巻四 真の経営>       373

 愛国者でないもの者は、自分を大事にすることができない者だ。

コメント

朝は希望に起き、昼は努力に生き、夜は感謝に眠る」今日一日これで良かったのか?毎日寝る時に自問自答しなさい、と教わりました。松下さんは、自分に厳しく生きた人でした。

2003.7.14 <巻四 真の経営>       373

自国中心主義者は、真の愛国者とはいえない。

コメント

 松下さんは、自分の行動が周りの人々に悪影響がないかどうかを常に考えていました。日本国だけがよければOKでなく、世界中の事を考えて行動するべきだ、という考え方でした。

2003.7.13 <巻四 真の経営>       372

 本来、愛国心が強ければ強いほど、隣国と仲良くしよう、世界と友好を結んでいこうとするものだ。国を愛する者が、どうして戦争などしようと考えるものか。

コメント

 昭和21年P H P研究所が創設されました。PHPとは“PEACE and HAPPINESS through PROSPERITY ”の頭文字で、「物心両面の調和ある豊かさによって平和と幸福をもたらそう」という意味です。松下さんは、世界平和と世界中の幸福を願い続けました。

2003.7.12 <巻四 真の経営>       371

 核を開発するほどに、人類は精神を開発しなければならない。そうでないと人類は自滅する。

コメント     

 核だけでなく、人類は研究に研究を重ねて技術開発を成し遂げ、文明の利器を作り上げてきました。しかしそれを使いこなす人達が正しい考え方で利用する事、世界平和と繁栄の為に利用をしなければならないと言うことですね。

2003.7.11 <巻四 真の経営>       370

 末座に座っている人が、遠慮なくものを言える空気をつくることが、長たる者の心得である。

コメント

 下の人が遠慮してものが言えないようでは、松下さん提唱の「衆知を集める」ことが出来ません。

2003.7.10 <巻四 真の経営>       369

 使い方が悪いから故障が起こるのだ、ということでは通らない。少々間違った使い方をしても、故障が起こらないようにちゃんと用意をしておく。それではじめていい商品といえる。

コメント

 松下さんは、お客様の立場にたって常に使いやすい商品の開発に心掛けていました。文楽人形師 大江巳之助さんから聞いた言葉「人形遣いが使いやすい木偶(でく)が本当のいい人形です」を思い出しました。

2003.7.9  <巻四 真の経営>       368

 仕事は食うため、ほんとうは趣味に生き、遊びたいという人は、仕事をやめて、趣味や遊びを本業にすべきだ。そのほうが成功するだろう。

コメント

 一流になる為には、まず自分の仕事を好きになる事です。どの業界でも一流といわれる人達は、仕方なしにやっている人や、いやいや取組んでいる人は見当たりません。本業でプロになりたいものです。

2003.7.8  <巻四 真の経営>       367

 困難にとらわれ、執着すると、かえって物事がむずかしくなることが多い。

コメント

 松下さんは、物事を真剣に考えて考えて考え抜いた人ですが、解決策はむずかしくなくて、自然流にこなしました。「雨が降れば、傘をさせばよい」

2003.7.7  <巻四 真の経営>       366

 政府が国民にいつも、「なんとかしましょう、なんとかお助けしましょう、社会保障を増やしましょう」とばかり言う。もっと働いてくださいと言う勇気が欲しい。

コメント

 松下さんは、国民の為を思い50年後100年後の日本の事を考える、本物の政治家の出現を望んでいました。衆議院解散が近いと言われています。国民一人ひとりがもっと政治に関心を持ちたいものです。

2003.7.6  <巻四 真の経営>       365

 明治維新は日本の開花であった。昭和維新は世界の開花に努力すべきである。

コメント

 21世紀まで生きていたかった松下さんは、平成元年4月27日に94歳5ヶ月でご逝去されました。21世紀は世界中が平和で住みやすく、大繁栄する時代になる。我が日本がリーダーシップを発揮するのだ。よく口にされた言葉です。今、悲しい現実がありますが、前に向いて夢と希望を持って頑張るしかないですね。

2003.7.5  <巻四 真の経営>       364

 歴史伝統を無視することは、根無し草に花を咲かそうというのと同じ。

コメント

 歴史から学び、伝統を生かすことが大切です。人生は、地道な目だたない努力が実を結ぶ・・・松下さんから学んだ生き方の基本です。

2003.7.4  <巻四 真の経営>363

 お客様が出ていく後姿に、心底ありがたいと手を合わす。そういう心持がなければ、商売人とはいえない。

コメント

 松下電産本社へ工場見学に来た人達が帰るバスを見送る役員の中で、松下さんは一番最後まで頭を下げて見送りました。

2003.7.3  <巻四 真の経営>       362

 物を買えばお金を払い、物を売れば集金する。この約束ごとをきちっと守っていくのが商人の道。

コメント

 きちんと支払いをしていないと負債が大きくなり、行き詰る事になる。集金をきちんとする事は、自社の経営の為だけでなく、取引先の為でもある。

2003.7.2  <巻四 真の経営>       361

 商売人は利にさとくなければならない。利にうといというのは、武士が剣術を知らないのと同じである。

コメント

 利にさといということは“経営者は常にコスト意識を持たねばならない”という事です。適正利潤を確保出来ないようでは、経営者として失格と考えていました。

2003.7.1  <巻四 真の経営>       360

 無責任な愛情は、かえって相手を損ねることになる。

コメント

 松下さんは、部下を叱ったり、注意したりする時は、必ずその人を成長さす為に、常にその人の為になるように、という気持がありました。自分の為に・・・注意してくれたと理解した部下は決して反発しませんでした。

2003.6.30 <巻四 真の経営>       359

 金属の溶接切断技術を習っても、心が貧弱であると、銀行の金庫破りをしたりする。知識を使いこなす知恵を教えることが大切だ。

コメント

 世に犯罪を起こす人が多い。私は特に詐欺を働く人達が、その頭を正しい道に使えば世の為、人の為になり、その道で成功するだろう・・・と思います。人生は一日一日減っているのに勿体ないですね。人生二度なし!

2003.6.29 <巻四 真の経営>       358

 米一粒の尊さを教えないと、若殿もバカ殿になる。

コメント

松下さんは、人を育てる名人でした。自社の部下だけでなくて縁あって出会うあらゆる人達も、人生の生き方を学ぶことが出来ました。私は物を大切にする事を、むめの夫人から特に教えて貰いました。素晴らしいご夫妻でした。

2003.6.28 <巻四 真の経営>       357

 他人の社会的責任を追及する人は多いが、自分の社会的責任を追及する人は少ない。

コメント

 私は他人の欠点に気が付きやすい動物です。自己改革するには自分に厳しくならなければ・・・・今朝は特に自己反省しながら書いています。

2003.6.27 <巻四 真の経営>       356

 徳川時代に江戸の町に北と南の奉行をおき、一ヶ月交代で町政を執行させて善政を競わせた。国にも二つの政府をつくり、交代で政治を行わせたら、お互い善政を競い合って、いい政治がうまれてくるかもしれない。

コメント

 自分を成長さすために松下さんは、森羅万象見るもの、聞くもの総てのものから学びました。特に晩年は、日本をいい国にする為にはどうすればよいかを24時間中考えていました。

2003.6.26 <巻四 真の経営>       355

 本業を通じて正しい利益を上げ、正しい税金を納めて社会に貢献することこそ、企業の社会的責任である。

コメント

 蟻馬君、企業が利益を上げて税金を納めること。国民も一人ひとりが納税をしなければ、日本の国は成り立っていかないだろう。赤字企業は、社会的責任を果たしてないことになる。

2003.6.25 <巻四 真の経営>       354

 働くことをバカにしてはいけない。労働は神聖である。

コメント

 この世の中にムダな職業は一つも無い。自分の仕事に誇りを持って力を尽くす事です。主役だけでは芝居はできない。

2003.6.24 <巻四 真の経営>       353

 何が正しいかを考え、信念を持ってなすべきをなす。平凡といえば平凡だが、それをするかしないかが、成否の分かれ道である。

コメント

 損か得かでなく、正か偽かで物事を判断し、常に正しい事を信念を持って地道に実行する。商売に奇策は無い!人生に近道なし!松下さんは、成功するまでやり続けることだ。と教えてくれました。

2003.6.23 <巻四 真の経営>       352

 万物ことごとく不要なものはない。今は捨てられているフグの毒も、人知が進めばやがて人間生活に役立つような方法が見つかるだろう。

コメント

 この世の中に不要なものは何もない。ただ人間がその価値に気が付いてないだけだ。部下が駄目と言う上司には、部下の長所に気付かない、君に人を見る目が無いだけだ!と指導しています。

2003.6.22 <巻四 真の経営>       351

 自分で自分に弁解しなければならないような、みっともないことはすべきでない。

コメント

 松下さんは、何事も考えて考えて考え抜いて、今考えられる中で一番良いと思われる事を実行に移しました。決して単なる思い付きでは、行動しませんでした。

2003.6.21 <巻四 真の経営>       350

 平和は当たり前ではない。努力なしで平和は守れない。当然と考えないで平和の価値を確認したい。そして国民一人ひとりが何をなすべきかを考え合いたい。

コメント

 松下さんの提唱し続けたPHP活動は、物心両面のバランスのとれた豊かさを自修自得し、真の平和幸福を得る知恵と実行力を国民一人ひとりが心掛けましょう!という事です。

2003.6.20 <巻四 真の経営>       349

 態度物腰に丁重さを欠くようでは、指導者としての資格はない。

コメント

 肩肘を張ったり、背伸びをして偉そうな態度をとると、人は心から動かないし次第に寄り付かなくなると思います。松下さんに接して学んだことの一つです。

2003.6.19 <巻四 真の経営>       348

誰の意見にも感心し、なんのためらいもなく他人に尋ねることができる人には、他人が集まり、知恵が集まり、人望が集まる。

コメント

 松下さんは、36才の私如き者の話でも熱心に聞いて下さいました。「そんな事知っているよ」と言われた事は一度もありませんでした。又何か役に立つ情報をお知らせしなければと常に考えていました。誰の意見も感心して聞くというのは、心掛けてはいますが、なかなか難しい事です。

2003.6.18 <巻四 真の経営>       347

 「天は二物を与えず」と言うが逆に考えれば、一物は与えてくれるということになる。

コメント

 部下を持つ幹部社員には、常に自分の部下の長所を見付けて指導するように教えました。人間は他人の欠点はすぐ目に付く動物です。

2003.6.17 <巻四 真の経営>       345

 愚人の経営もいけないが、賢人の経営もいけない。衆知による経営でなければならないということだ。

コメント

 一個人の独断と偏見で物事を決めてはいけない。多くの人の知恵を集めて経営しなければならない。衆知を集める松下さんの大好きな言葉です。

2003.6.16 <巻四 真の経営>345

 きみは自分で自分を教育しているか。

コメント

 自分が停滞しているのは退化と同じだ。昨日より今日、今日より明日と進歩しなければいけない。よく聞かされたことですが、松下さんに出会って30年経過した今、衝撃が大きく私には一番心にひびく言葉です。

2003.6.15 <巻四 真の経営>       344

 いい上司とは部下の話に耳を傾ける上司であり、悪い上司とは部下の話を聞かない上司だ。

コメント

 松下さん程、他人の話を真剣に聞いた人は無いでしょう。部下は勿論、出会うすべての人々から意見・考え方を聞き、自分の参考にしました。だから人も情報もよく集まりました。松下さんの素晴らしい耳は、他人の話をよく聞いたから大きくなったと言う人もある位です。部下の話を真剣に聞く事は、人育ての最大のポイントです。

2003.6.14 <巻四 真の経営>       343

 売れているのに、値段を下げる努力をしないのは許されないことだ。

コメント

 松下さんの企業経営の基本は、暴利を貪るのでなく、赤字でもなく、適正利潤をあげる事でした。企業努力で常に顧客の買いやすい価格を設定しました。適正価格だから値引きもしませんでした。

2003.6.13 <巻四 真の経営>       342

 大将は、私憤で事を決してはいけない。

コメント

 黄檗山満福寺緑樹院で座禅した時、村瀬玄妙老師から学んだ事が頭に浮かびました。“忍の徳たるや持戒苦行も及ばず”一家の主人、企業では社長、とにかくトップに忍の心があれば、そのグループは皆いきいきとしている。リーダーには忍の心が一番大切だ。厳しい戒律を守るとか、難行苦行の修行をするよりも徳が大きい・・・の意。松下さんは、私憤は特にいけない。と教えています。

2003.6.12 <巻四 真の経営>       341

 緩慢なインフレに注意せよ。つい油断してムダなことをやる。

コメント

 売り上げが伸びたと安心するな!単価が上がったからで数量が伸びてない場合がある。儲かっていると油断をしないことだ。松下さんは、成功の中に失敗の芽が潜んでいる。うまくいっている時こそ気を引き締め、このままでいいのか?自問自答しなさい。と教えて呉れました。

2003.6.11 <巻四 真の経営>       340

 社会の発展に寄与するために何をなすべきかを、お互い経営者は考えねばならない。わが業界、わが企業という考えだけをすることは許されない。

コメント

 地球上から貧乏を無くする為に全社員が頑張る。その業界がよいとか、わが企業だけ利益が出るとか、社長だけが儲かるなんて松下さんは、考えていませんでした。会社は私の物でなく公器であり、世界の平和と繁栄の為に寄与しなければ・・・と言い続けました。

2003.6.10 <巻四 真の経営>       339

 経営には、勇気が必要である。その勇気は、何が正しいかというところから生まれてくる。

コメント

 勇気とは、ものを恐れない強い心。松下さんは、自分が儲ける為に暴利を貪るのでなく、お客様が喜んでくれる安くて(買いやすい値段)値打ちのある商品を作る為に、新商品の開発に情熱をかたむけました。

2003.6.9 <巻四 真の経営>       338

 会社の首脳者は立派でなければならないが、完璧(かんぺき)な人であるとかえって人が使えない。

コメント

 経営の神様、人使いの名人といわれた松下さんに接して学んだことは、トップがいわゆる切れ者よりか温か味のある人(人間性のある人)の方が、部下は生き生きと働くという事でした。

2003.6.8 <巻四 真の経営>       337

 会社が発展するためには、社長はういうことを考えているのか、会社はどういう方向に向かっていこうとしているのかということが、大部分の社員に理解されていることが必要である。

コメント

 社長の考え方、会社の目指す方向が、世の中の為になる正しい道である事を一人一人の社員に理解させた時、社員の数以上の力が出る。社長はカリスマ性のある正しい教祖であるべきだと思います。

2003.6.7 <巻四 真の経営>       336

 千両役者が(ひのき)舞台で熱演しているにもかかわらず、観衆がそのほうを見ないで雑談をしているならば、千両役者も立派な演技をやる気にはならない。今の日本の政治家を千両役者にたとえるなら、観衆である国民は、その舞台を見つめていないのではないか。これでは政治が弛緩(しかん)する。

コメント

 どんな職業の人にもその道のプロとして対応しました。取引先の人でも、社員でも誰の話にも真剣に聞く人でした。蟻馬君、今徳島の景気は?徳島は商売はやりやすいですか?私の話にも真剣に耳を傾けて呉れました。松下さんに逢った者は、感動してもっと自分を磨かなければ・・・と心から思いました。人を育てる名人でした。

2003.6.6 <巻四 真の経営>335

 水の流れも(よど)めば腐る。経営も日に日に新しい流れがなくてはいけない。そうでないと、衰え、進歩が止まってしまう。

コメント

 蟻馬君、僕が今言った事が3分後に正しいかどうか解からないよ。(とど)まっているのは、退化しているのと同じ事だ。世の中は常に進歩している。山の中にある大きな岩でも変わっていく・・・強烈に頭に残っています。

2003.6.5 <巻四 真の経営>       334

 消費者は王様である。しかし、王様が名君でなければ名君たるべく、家来が王様を尊重しつつも、諫言(かんげん)をしなくてはならない。諫言(かんげん)をしないことは不忠となる。

コメント

 松下さんの夢は、世界中から貧乏を無くする事でした。世界中の人々が豊かで幸せな生活が送れるように、松下電産は便利な電器製品を提案し続けました。

2003.6.4 <巻四 真の経営>       333

 好景気よし、不景気よし、ということで、自在に動けないようでは、経営の適格者とはいえない。

コメント

 好景気の時は利益が出たが、不景気になると赤字は仕方がないのでは、経営者は必要ない。不景気な時ほど経営者の腕の見せ所、実力を発揮する絶好のチャンス。松下さんの考え方は、常に不景気と思って経営しなさい。好景気になれば大きな利益が出る。いつも好景気と思って経営しているから、少し不景気になると慌てるのだ。

2003.6.3 <巻四 真の経営>       332

 不景気はわれわれを休養させてくれる。ものを考えさせてくれる。

コメント

 好況の時は、何事もうまくいっているし忙しくて、反省したり、このままで良いのか?と自問自答する事を忘れがちになる。不景気になると、何とかしなければいけない!今までのやり方を改革しなければ・・と真剣に考える様になる。自己改革のチャンス到来だ。不況は神様が与え呉れた最大の贈り物。

2003.6.2 <巻四 真の経営>       331

 無理をして安く売る必要はない。しかし、高く売る必要はさらにない。適正利潤を頂ければそれでいい。それでもついてくるお得意はついてくる。どんなに“勉強”しても縁のない人はやっぱり離れていく。

コメント

 適正利潤を頂くことは、お得意先にも社員にも企業にもすべてに良いことで、価格(かかく)破壊(はかい)はどこかに破綻(はたん)が来ると考えていました。常に経済全体、社会全体の事が頭にありました。

2003.6.1 <巻四 真の経営>       330

 いろいろ問題のあることがむしろ望ましい。経営者としては瞬時も休めるときがないという時代こそ、生きがい感じるときである。

コメント

 辛いと感じて現状から逃げるか、今こそ自分の腕を発揮する絶好のチャンス到来と思うか。やり甲斐のある時代が来ました。

2003.5.31 <巻四 真の経営>       329

 経営者は、自分の商売から、業界、産業界、さらには、社会、政治、国家、世界まで広げて、一連の責任を自覚することが要望されている。

コメント

 松下さんは、世界の平和と繁栄を常に願っていました。各国に進出して工場を作ったのは、その国の雇用増と世界中に安い電気製品を普及さす為でしたが、現地で働く従業員に松下イズムを浸透さした事も、大きな貢献だったと私は思います。

2003.5.30 <巻四 真の経営>       328

 日本の産業界全体がつながって繁栄していくことを、つねに考えつつ、自分の商売を守り抜いていく、それが今日の産業人としての責任、経営態度というものである。

コメント

 松下さんは、自分だけ儲けるとか、一企業だけが発展すればよい。のでなく、日本の産業界全体が繁栄する事を考えた経営を常に心掛けていました。

2003.5.29 <巻四 真の経営>       327

 経営というものは、非常に躍動的な、しかも生きた総合芸術である。経営には真理が()かされ、善も美も活かされている。そして国家社会のために大きな貢献をするのが、経営である。こう考えると、経営というものは、ほんとうに崇高な総合芸術である。

コメント

 松下さんほど物事を真剣に考えた人はいないし、日本一の苦労人と思っていましたが、経営も、人生も苦労を乗り越えて楽しんでいた超人だったのですね。私は今日から苦労していますと言うのは止めます。

2003.5.28 <巻四 真の経営>       326

 今日の好景気、不景気というものは天然現象ではない。人為的に、お互いの考えによって、好景気を持続したり、不景気を招いたりする。

コメント

 不況だからと(あきら)めるのでなく、与えられた境遇の中で自分ならどうするか!自分にしか出来ない事を全力でやる。これが仕事の醍醐味(だいごみ)。不景気を嘆いて言い訳ばかりして、何も努力しない人が多いと、なおさら不況になる。松下さんは、かってない困難は、かってない発展の基礎になる。と教えています。

2003.5.27 <巻四 真の経営>       325

 人事問題は、経営を左右する。

コメント

 松下さんは、世の中に無駄な人間は一人もいない。駄目な社員も一人もいない。と考えていました。良いところを見付けて伸ばすのが、上司の役目だと教育しました。部下の悪口を言う上司には、君が人を見る目が無い!彼にもええとこがあるで!もっとええとこを見てやれ!と、自分は運が強いと思っている、前向きの人を役付きに抜擢(ばってき)しました。

2003.5.26 <巻四 真の経営>       324

 物価を安定させよう、抑えようとする努力は尊い。が、抑えられないものを抑えるための努力と費用のことを考えれば、むしろ何パーセントか上がっていくことを承認して、それ以上に国民全体の所得を増やすためにはどうすべきかを考えるほうが、結果は成功に終わるのではないか。

コメント

 自在に物の見方を変えることが大切だ。方法はいくらでもある。信念は固いが、頭は柔軟な人でした。常に世界中の人々が幸せになることを考えていました。

2003.5.25 <巻四 真の経営>       323

 経営者というものは、平時にあっては後方で采配を振るっていればよい。しかし、非常時には、みずから難局にあたって率先垂範するべきである。

コメント

普段の仕事は部下に任して、各人が責任を持って職務に当りました。失敗した時は、君に任してあるのにどうして失敗したのだ!部下育ての名人でしたが、最終の責任はトップにあるというのが松下さんの経営の基本理念でした。

はのらきはあるきであ2003.5.24 <巻四 真の経営>       322

 お得意先に部下を出向させたら、その瞬間からその部下はお得意先の番頭さんになる。一緒に食事をするときには、上座に部下を据え、自分は下座に座って話をせよ。それができるかどうか。

コメント

 お得意先を非常に大切にした松下さんの考え方です。取引先の意見を素直な気持ちで聴く為の姿勢だったと思います。

2003.5.23 <巻四 真の経営>       321

 中小企業の犠牲によって大企業が成り立っているというようなことは、大企業として恥ずべきことである。

コメント

 共存共栄を企業発展の基本として経営した松下さんは、取引先にも適正利益が上がるように考えて、無茶な条件を押し付ける事はしませんでした。“いかに大をなそうとも一商人の心構えを忘れるな”自分への(いまし)めの言葉だったと思われます。

2003.5.22 <巻四 真の経営>       320

 正しい競争は善、限界を超した競争は悪。

コメント

 お互いに技術開発や研究を重ね、より安くて良い商品を作る為に切磋琢磨(せっさたくま)するのが、正しい競争。相手の欠点を吹聴(ふいちょう)したり、原価を切って価格競争をするのが、限界を越した競争だと思います。

2003.5.21 <巻四 真の経営>       319

 今日、生産者ならざる消費者は一人もなく、同時に消費者ならざる生産者も一人もない。生産者即消費者、これが根本原則である。

コメント

 新製品は第一号が必ず松下さんの本宅に届けられました。この商品は、お客様に喜んで頂けるだろうか?満足して頂けるだろうか?まず自分で使ってみました。

2003.5.20 <巻四 真の経営>       318

 自分で今の自分の力を冷静に判断して行動しなければならない。三段目の人は三段目の土俵で相撲をとること、幕内で相撲をとれば負けるに決まっている。

コメント

 決して背伸びをした商売はしませんでした。投機的な相場には一切手を出さない人でした。相場を予想して儲けるなんて考えた事ありません。蟻馬君そんな非生産的なことが旨くいくはずが無い!よく聞かされました。土地や絵画も投機目的では決して買いませんでした。堅実な経営姿勢を貫いた人です。

2003.5.19 <巻四 真の経営>       317

 世界を相手に一品だけに専念し、徹してやれば、総合メーカーが片手間にやっている仕事よりよい仕事ができる。

コメント

 後発メーカーでゼロからスタートした松下さんの信念です。人事異動で新任の社員に、最初は誰でも素人だ。最初からプロはいない!この職場に就くのは君しかいないのだ。頑張ってプロになって欲しい!と辞令を手渡しました。

2003.5.18 <巻四 真の経営>       316

 いい労使関係を築くための、責任の60パーセントは経営者にある。

コメント

 従業員を大切にした人でした。松下電産がここまでなったのは、蟻馬君うちの社員は皆がよう働いて呉れたからなあ・・・松下さんの口癖でした。うちの社員がダメだ。とか働きが悪い。など一度も聞いたことが有りませんでした。社員が陰日向(かげひなた)なしに働くのは、トップの人徳・部下への思い()り・労働条件のすがせんでした等、色々考えられますが、とにかく社員の働きの良し悪しは、経営者の責任だと思います。

2003.5.17 <巻四 真の経営>       315

 思案に尽きたら休めばよい。商売にも休みが必要である。

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頭を冷やして、別の方法を考えなさいという事だと思います。道は無限にある!富士山は東からでも、西からでも登れる。松下さんの有名な言葉です。

2003.5.16 <巻四 真の経営>       314

カンは尊ぶべきものである。しかし、単なるカンではいけない。直感で真実がわかるようなカンでなくてはいけない。

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 考えて考えて考え抜いての(ひらめ)きが、天の声であり正解であり、単なるカンでない。とにかく真剣に自分の頭で、考えて考えて考え抜く人でした。

2003.5.15 <巻四 真の経営>       313

 経営者に欠くことのできない条件は、体験、カン、判断の速さ、実行力、勇気の五つである。

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 松下さんは何事にも、真剣でした。この真剣さに人が動いたと思います。出来るまで やり抜いた人です。

2003.5.14 <巻四 真の経営>       312

 真の適正価格は、神に許された価格である。動かしてはならない価格である。

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 松下さんが販売に回っていた時の話です。商品説明が終わって「良い商品だが値引きしてくれたら買います」と言われ、わが社は社員が全力で働いて呉れています。夜も寝ずに働く社員もおります。その社員達が家族を養う為に支払う給料を計算して、適正な価格が決められたのがこの値段です。社長といえども、私の一存で値引きすることは出来ません。

2003.5.13 <巻四 真の経営>       311

 「むずかしいことだけれども、やろうじゃないか」ということを言い続け、そしてじっさいにやる努力を続けていけば、必ず事は成る。「もうできないだろう」と(さじ)を投げたら、永遠にできない。

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 どんな時でも、断じて事をなす志さえあれば道は必ずひらけてくる。出来なかったのは、やらなかっただけだ!出来ないだろうなんて考えるな!

2003.5.12 <巻四 真の経営>       310

 発展途上国に企業が進出する場合には、たとえ日本の本社に反することがあっても、その国を立派な国にするために、という考え方に徹しなければならない。

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 常に相手の立場に立って物事を判断する松下さんの考え方がここまで徹底していたのですね。

2003.5.11 <巻四 真の経営>       309

 真の経営は、その日その日の積み重ねである。

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 私は、子供の時から身体が弱かったから決して背伸びをした経営、一発勝負的な経営はしなかった。コツコツと石橋を叩いて渡るような、地道な経営しか出来なかった。これが良かったと思う!よく聴かされました。


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