松下幸之助翁述 * 江口克彦氏 記)より

        
           巻二  成功は運

                            




  
                  蟻  馬  治

    

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2003.5.10        巻二<成功は運> 21

 何が正しいか、ということに生命を賭すことができないならば、経営者を辞したほうがよい。

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損か得かで物事を考えることなく、安くて性能の良い製品を研究、開発、製造して人々に豊かな生活を提供し、ナショナルは250年かけて、世界中から貧乏を無くするのだ。その為に我社は全員が一丸となって仕事に取り組む。松下さんの社員教育の基本でした。

2003.5.9  巻二<成功は運> 21

 大企業が、売りやすさのために利益を捨てて原価販売をすることは、資本の暴力であり、これは断じてやってはならない。

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 適正利潤を得ずに価格破壊する会社とは取引しない。と某スーパーとは一切取引しなかったのは、ご存知のとおりです。

2003.5.8  巻二<成功は運> 21

 経営は“私”のものではない。私企業であるけれども、その本質は“公”のものである。単に会社あるいは個人の名において運営しているに過ぎない。

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 土地も工場も資金も資材も従業員も、すべて天下国家のものを使わせてもらって経営しているのだから、赤字を出す経営者は許されない。と考えていました。

2003.5.7  巻二<成功は運> 21

 天下の資本を使い、天下の国民を使って事業をしながら、なお利益を上げられなければ、罰せられても当然である。

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松下さんは、地球上に無駄な資源は一つも無い、この世の中に無駄な人間も一人も居ないのだ。天下国家の大切な資源を使い、大事な人を使って事業をするのだから当然適正利益を上げなければならない、赤字は罪悪であると考えていました。

2003.5.6  巻二<成功は運> 21

 国家のために、社会のために、同業者のために、隣人のために、企業は適正な利益を確保しなくてはならない。

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 適正な利益を確保して、国民が適正な税金を納めなければ、日本国が成り立っていかない。松下さんは、税金を納めた後国から呉れる手数料が、自分の所得と考えていました。


2003.5.5  巻二<成功は運> 21

 遅れているから前へ進める。先頭に立っていないから先頭に立てる。

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 悩みがあるということは、成長発展につながる改善の余地がるのだ。松下さんは、考えて考えて考え抜いて、常に前向きに捉え、行動をした人です。

2003.5.4              巻二<成功は運> 21

 儲け方によっては、儲けても叱られる。

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 赤字は社会悪だ。許されない。取引先と共存共栄しながら、暴利を貪るのでなく、適正利益を上げねばならない。だから取引先を泣かしたりしなかった。しかし自分も決して値引きもしませんでした。いずれにしろ儲けねばならない!が松下商法の基本でした。

2003.5.3   巻二<成功は運> 21

 注意すべきことは百ぺん注意しても、死ぬまで注意してもそれで十分ということはない。

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  腹の底まで理解するまで徹底的に注意し続ける・・・という事でしょうか?松下さんに叱られ続けて、その場で卒倒した部下が次の日には、僕を育ててやろうと僕の事を思って真剣に叱ってくれた。有難い事だ!よし 間違いを正して頑張るぞ!とより一層仕事に励んだ。と本で読んだことがあります。縁あって一緒に働いてくれる社員が成長する事を願って、その人の為に注意したり、叱ったりした人でした。

2003.5.2     巻二<成功は運> 210

  経営学は知ることができる。しかし、生きた経営というものは、教えるに教えられない、習うに習えない、自得するしかないものだ。

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1980.4.1
 茅ヶ崎市に松下政経塾を開きましたが、専属の先生は置きませんでした。塾生には自修自得で事の本質を究めなさいと、教えました。教育とか、学ぶという事はやはり本人次第ですね。


2003.5.1     巻二<成功は運> 209

 天を恐れ、地を恐れる謙虚な態度であってこそ、本当の力がつく。恐れを知らない人間は人間に値しない。

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 風薫る5月になりました。爽やかな気分です。何かいい事が有りそうな予感がします。世の中不況の真っ只中ですが、好況時は誰がやっても儲かる。いつも不況が当たり前と思って商売をしなさい。少し良くなれば、すごい利益が出る。不況時こそ経営者の腕を発揮する絶好のチャンス、やり甲斐がある時です。不況またよし!は松下流の考え方です。

2003.4.30                巻二<成功は運> 208

 競争が無理なものでなければ、そこに人類の進歩、世界産業界の発達が生まれる。競争それ自体がわれわれの仕事である。

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 松下さんの共存共栄は、取引先やお得意さんだけでなく、同業他社そして世界中の産業界の発展が最終目標でした。

2003.4.29         巻二<成功は運> 207

 病原が出たときにはまだ健康体である。誰が見ても悪いとも言わないし、自覚症状もない。自覚症状が出て、周りから心配されるころには、すでに相当病気が進行しているのである。これは人体も経営体も同じである。

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 好調なとき、ともすれば心がゆるみ、甘くなり、思わぬ失敗を起こしがちなのが人間だ。常に謙虚に足もとをみつめ、今日一日を反省しながら床に就きなさい。人体も経営体も同じだよ・・・すべてのものからヒント!! 何からでも学ぶという考え方が、松下さんの素晴らしいところです。

2003.4.28  巻二<成功は運> 206

常に仕事の主人公になれ。”人から言われることだけをやればよいというような、安易かつ単純なかんがえではいけない。自分は、社員家業をしているのだ、独立経営体の大将なのだ、という考えに徹すれば、想像もできない大きな力と大きな成果が生まれてくる。

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 若い営業マンの私の話を何時でも真剣に聞いてくれました。一人前のプロとして扱ってくれる喜びと同時に本当に役に立つ情報を提供出来るようによく勉強するようになりました。松下翁は人育ての名人でした。社員だけでなく、出会うすべての人を育てた人でした。

2003.4.27  巻二<成功は運> 205

“相手の人間性を認め、相手を尊敬し、相手の人格を尊ぶ、そういう心が大事である。”

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今日は松下幸之助翁の14回忌です。1971.9.30私が34才で初めて松下さんに逢った時の感動が思い出されます。神様(私はそう思いました)が目の前に!! 緊張で震えている若者に対して、決して偉ぶらずに一蟻馬と一松下の対話でやさしくお話してくれました。本当に偉い人は、他人を見下げたような態度はとらないものだと松下さんが大好きになりました。

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