病原体が体に侵入した際の反応は、ウイルスと細菌で大きく異なります。以下にその経過と検査値の特徴をまとめます。
1. 臨床経過の比較
ウイルス感染症(全身性・段階的)
- 初期: 鼻汁、喉の痛み、咳、倦怠感など、「複数の臓器にまたがる症状」が同時に現れるのが特徴です。
- 発症期: 多くの場合は自己限定的で、数日のピークを経て自然に改善に向かいます。
細菌感染症(局所性・急進的)
- 初期: 「特定の場所」(扁桃、肺、腹部など)に強い症状や痛みが出ます。
- 発症期: 放置すると急速に悪化しやすく、膿(うみ)を伴う分泌物が見られることが一般的です。
2. 血液検査データの変動
| 検査項目 |
細菌感染症 |
ウイルス感染症 |
| 白血球総数 (WBC) |
増加 (10,000/μL以上) |
正常、または減少 |
| 好中球 |
著明に増加(左方移動あり) |
減少、または不変 |
| リンパ球 |
相対的に減少 |
増加(特に後半) |
| CRP (炎症反応) |
急激・高度に上昇 |
上昇は軽微(低値) |
| プロカルシトニン |
上昇(特異性が高い) |
上昇しないことが多い |
3. 鑑別ポイントのまとめ
| 項目 |
細菌性(Bacterial) |
ウイルス性(Viral) |
| 症状の広がり |
局所的(1ヶ所がひどい) |
広範(あちこち症状がある) |
| 分泌物(痰・鼻水) |
黄色?緑色の膿状 |
水様・透明 |
| 発症スピード |
急激 |
比較的緩やか?段階的 |
【注意点】
- アデノウイルスやEBウイルスなど、一部のウイルス感染ではCRPが10mg/dLを超える高値を示すことがあります。
- ウイルス感染の後に細菌が入り込む「二次感染」のパターンも多いため、経過観察が不可欠です。
- 高齢者では典型的な反応(発熱や白血球増多)が出にくい場合があります。