エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023 要約
内科クリニックにおけるCKD管理の重要ポイント
2023年の改訂では、SGLT2阻害薬や新薬(MRA)の推奨、および専門医への紹介基準の明確化が大きな柱となっています。積極的な腎保護療法の導入が期待されています。
1. 薬物療法の進展(三本柱の確立)
腎保護を目的とした多剤併用療法への移行が明確に示されました。
- SGLT2阻害薬の推奨拡大: 糖尿病の有無を問わず、尿蛋白・蛋白尿を認めるCKD患者に強く推奨(eGFR 20以上で開始可能)。ダパグリフロジン、エンパグリフロジンが適応。
- 非ステロイド型MRA(フィネレノン): 糖尿病合併CKDにおいて、RAAS阻害薬への上乗せによる腎保護効果が明記されました。
- RAAS阻害薬の継続: 高度腎不全(G4~G5)でも、高カリウム血症に留意しつつ可能な限り継続を検討します。
2. 降圧目標
高血圧治療ガイドライン2019と整合性が図られ、蛋白尿の有無で分類されます。
| 対象患者 |
診察室血圧目標 |
備考 |
| 尿蛋白(+)のCKD |
< 130/80 mmHg |
糖尿病合併時も同様 |
| 尿蛋白(-)のCKD |
< 140/90 mmHg |
耐容性があれば 130/80 を目指す |
【注意】高齢者への対応
75歳以上の高齢者では、フレイルや合併症に配慮し、個別に判断する柔軟性が求められます。
3. 生活習慣・栄養指導
- 食塩摂取量: 3.0 g/日 以上 6.0 g/日 未満を推奨。
- たんぱく質制限:
- G1~G3a:過剰摂取を避ける。
- G3b~G5:0.6 ~0.8 g/kg(標準体重)/日 への制限を提案。
- 肥満管理: CKD進行抑制のため、BMI 25 未満を目指す。
4. 糖尿病性腎臓病(DKD)の捉え方
従来の「糖尿病性腎症」の枠組みを超え、蛋白尿を伴わない腎機能低下も含めたDKD(糖尿病性腎臓病)として包括的に管理する方針が強調されています。
5. 専門医への紹介基準(2023年版)
地域連携の最適化のため、以下の基準が設けられています。
- 尿蛋白: 0.5 g/gCr 以上(または尿蛋白 1+ 以上)
- 血尿と蛋白尿: 両者が陽性(尿潜血 ± 以上 かつ 尿蛋白 ± 以上)
- 腎機能(eGFR):
- 40歳未満:eGFR < 60
- 40歳?70歳:eGFR < 50
- 70歳以上:eGFR < 40
- 急速な悪化: 3か月以内に 30% 以上のeGFR低下