ベストスリー(1)

アルト「アルトよ、32票。陽は抜けたわ」
良夜「浅間良夜、34票……アルトからは逃げ切ったか……後半の追い上げ、凄かったな」
幽霊「こんばんは、幽霊です。圧勝44票。もはや、スーパーマーケット・幽霊にするしかありません」
アルト「むかつくわ……」
幽霊「所詮は縦方向にチャレンジし続ける妖精、女子高生幽霊に敵うはずがないのです。店舗規模も田舎の喫茶店と県下最大規模のスーパーとでは勝負になりません。人気で負けている以上、ここは素直に席を譲るべきだと思います」
アルト「何よ! ちょっと人気があるくらいで勝ち誇って!! 良夜! お塩っ!!!」
良夜「悪い……持ってきてない」
アルト「なんでよ!! 持ってきなさいって言っておいたでしょ!?」
良夜「企画実行委員会に取られた。幽霊がいなくなったら話が進まないからって」
幽霊「当たり前です。今回の企画は優勝者である私が主役なのです。その主役が追い出されて話が進みますか? いえ、進みません。反語です」
アルト「あんたの話はくどいの! なんか、聞いてるとむかつくのよ!!」
幽霊「ふっ……」
アルト「鼻で笑ったわっ!!! 鼻で!!!」
幽霊「やれやれですね。これだから縦方向にチャレンジを続けている方は嫌いです」
アルト「素直にチビって言いなさいよ!!」
幽霊「チビ」
アルト「本当に言ったわ!!! ああ、もう、本当に!!!」
良夜「アルトが負けてる……レアだな」
アルト「死ね!! 良夜ッ!!」
良夜「いってぇぇ!!! てめえ!! 俺をストレス発散の道具にするんじゃねえっ!!」
アルト「ふんっ!」
幽霊「そうです。辞めてあげるべきです。大丈夫ですか? お兄さん……ああ、血が出てます、スリスリしてあげますね」
良夜「……おい」
幽霊「スリスリ……ぬくぬくです。この温もりが心を満たす、至福のひとときです」
良夜「何してやがる?」
幽霊「なんですか? 折角の好意を無にするのは失礼だと思いますが?」
良夜「刺されたのは頭だ。なんで、背中に抱きついてんだよ! 本当に肩が凝るんだ!」
幽霊「すいません、つい、いつもの癖で……いわゆる人向ぼっこです。常に良質な獲物を追い求めてしまうのは、一流人向ぼっかーのサガなのです。許してください」
良夜「肩が凝るから辞めろ!」
幽霊「心の狭い方です。これだから下っ端バイトは……入店以来ずっと目をかけてやっているというのにこの態度です。許せません。呪いを掛けましょう」
アルト「むかつく女でしょ?」
良夜「ああ、むかつくな……」
幽霊「ここまでのお話は特売幽霊及びランチ……タイトル長いですね、以下略です。とは一切関わりがありません。では、コメントへの返事をしてください。この中で一番下の妖精さんから」
アルト「一番下って言わないで!」
良夜「普段挑発している奴がされる側に回ると……もろいな」
アルト「うるさい! また、刺されたいの!? この調子じゃいつまで経っても終わらないわ。サクサク進めるわよ!」
幽霊「いちいち、キャンキャン騒いで、行を無駄に埋めているのはこのおチビさんですが、気付いてないようです。困った物ですね」
良夜「ああ……お前もアルトを挑発して遊んでんじゃねえよ…………面白いけど」
アルト「刺せない相手は調子が狂うわ……『惰性で投票…?』……のっけからこれ? ねえ、今回、私への待遇が非常に悪いと思うの。一応、私、看板娘的立場じゃなかったの? ここの」
幽霊「その立場は既に私の物へと変わっています。クリスマスイブの特別企画も私でしたし、人気投票の司会もしました。何かにつけて変わったことをしているのは私です」
アルト「更新ペース、月一以下にまで落ちた癖にっ!!!」
幽霊「!! アルトさん……ついに触れてはいけないところに触れましたね? 地味に私が気に病んでいることを……ランチの方だって初期の頃に比べて更新ペースが落ちてます。ランチの更新ペースが落ちているので、私の方も更新ペースが落ちてしまうのです。悪いのはランチの方に決まっています。それに単発物も増えてます。ヒロインの魅力が足りないからではないのですか?」
良夜「お互いの急所をえぐり合うのは良いが……あっちで大太りのオッサンがマジ泣きしてるぞ」
アルト「……更新ペースについては触れるべきではなかったわね。悪かったわ」
幽霊「……そうですね、この話題は辞めておいた方が無難です。続き、読んでください」
アルト「『しおらしいアルトも見てみたいかも。でも前編ギャグになりそう…。わっ!わっ!ストローで刺さないデェから!!』しおらしい……って、私だって良夜ほどじゃないけど、色々と酷い目に会ってるじゃない。これ以上、酷い目にあったら本気で死ぬわよ? 体が小さいからHP少なめなのよ」
良夜「そう言えば、企画実行委員会がこの間Wiz8をやるんで、フェアリーバードに『アルト』って名前を付けてやり始めたら死にまくったってぼやいてたな」
幽霊「Wiz8においてフェアリーは忍者以外の職業をするべきではありません。防具が特殊なのでステルスの上がりにくい職業は死に直結します。後衛も囲まれると殴られますし」
良夜「……何でそう言うこと、知ってんだ? 後、それちょっと偏見入ってる」
幽霊「攻略本を読みました。本屋さんに並んでましたから。ゲームは全て攻略本を読んで、やった気分になります。そう言えば、お兄さん、ゲーム沢山持っているそうですね? 使わせてください。爆発したり、データが消えるかも知れませんが」
良夜「誰がそう言うことを言う奴に使わせるか……」
アルト「ちょっと、そう言う話は止めなさいよ。ゲームの中とはいえ、同名のフェアリーが死にまくった、なんて話聞きたくないんだから」
幽霊「別に死ぬのなんて大きな問題ではありません。二度目に死ぬことはないですから、気楽な物です」
良夜「……自分の特殊な事情を一般化するのは止めろ」
アルト「大体、幽霊じゃコーヒーなんて飲めないじゃない」
幽霊「お腹、空きませんから。ただ、人向ぼっこへの欲求が……」
良夜「だからといって、俺の背後に回ろうとするな」
アルト「……続けて良いかしら? ホント、容量がいくらあっても足りないわ」
良夜「続けろ」
幽霊「ダメです」
アルト「続けるわよ! 『やる時はやる!それがアルトのいいところ。』そうよ、見ている人は見ているのね。見る目のない三流大学学生とか、生身の目すら持ってない死に損ないとは違うわ」
幽霊「先ほどから、死に損ない死に損ないと……良いですか、アルトさん、私は死に損ないではなく、百パーセント完璧に死んでいます。非生ものにも非生ものしての矜持という物があります。半乾きの一夜干しのように言わないでくださいませんか?」
アルト「和明なんて生きてるのに半乾きの一夜干しよりも乾いてるわよ。半乾きの一夜干し程度なのは清華よね」
幽霊「いくら若作りしても、目尻の小じわは隠し切れていません」
アルト「この間、里帰りしてきたときなんか、基礎化粧品が凄かったのよ。お風呂上がりに三時間くらい鏡の前にいたもの」
幽霊「私はお風呂すら必要ありません。完璧に若さを保っています」
良夜「……おーい、お前ら、他人の悪口で盛り上がるなー。それとシャボネットで頭を洗う奴が他人のスキンケアに文句を付けるな」
アルト「じゃぁ、続けるわ『面白いです』ありがとう、素直に嬉しいわ。最近、良夜が私の小ネタを拾わないの……困ったものよね。私の小ネタを拾う以外に役に立たない男だというのに……」
良夜「面倒くさい」
幽霊「芸事はピンが基本です。ピンで営業回れない人は芸人失格です。ですから、アルトさんは芸人失格なのです」
アルト「やっぱり、こいつむかつくわ……これで最後よ。『ぜひ幽霊にリべンジを。そして完全勝利を!』……………………嫌なタイミングで嫌なコメントね……」
幽霊「……(ニヤ)」
良夜「こわっ!? なんか、今の笑顔、滅茶苦茶邪悪だったぞ……見てるだけで呪われてしまいそうな勢いだ」
アルト「解りやすく言うと……初代輪っかの人っぽかったわ」
幽霊「そうですか? 自分の表情という物は自分では中々判らないものです。こういう事は日記に書けないので、読者の皆さんに私の新しい魅力を伝えられたと言うことでしょう。結局、このページは私のためにあったようなものとも言えます」
アルト「ほんっとぉーーーーーーーーーーーに、むかつく女!! 次! 良夜よっ!! 勝手にやりなさい! 私はあっちでコーヒー飲んでくる!!」
幽霊「ここで消えると、またもや、私との差が開くことでしょう。前回、ダブルスコア以上で負けた悲哀を次回も味わいたいのでしょうか? 懲りない方ですね」
アルト「はっきり言って、前回のダブルスコアより今回の12票差の方が腹が立ってるわよ!! 大体、何!? このページ、他の連中に比べて、滅茶苦茶に長いじゃないの!! 他の連中のページなんて、このあたりで終わったわよ! なのに、未だに終わったの、私一人じゃないの!!!」
良夜「お前が挑発されるたびにキレてるからだ。いつまで経っても終わらないから、俺の、読むぞ。ああ……『一応主役(?)らしいのに可哀想だから……ガンバレどー○ー! ついでに乙女としては年齢の項目に「秘密」も追加希望ですよ。』、おい、俺のものっけからこれか……それと女がどー○ーとか言うなよ」
アルト「童貞って女に幻想持ってるのよね……哀れだわ」
幽霊「Bは済ませています。私が、一方的に。AとCは許してません。当たり前です。ただの獲物ですから。純潔は守ります。例え、純潔どころか骨すらない非生ものであっても」
良夜「お前ら、下品……『主人公の威厳を取り戻せ!!』、『はぁ…、もっと威厳を持てるといいのにな』、『みんなの力を、この苦労人にちょっとだけ分けてくれ!』……あんたら俺のこと、嫌いだろう? 素直に言え」
アルト「『何だか雰囲気がくたびれたサラリーマンのようになって来たような気がします(『貫禄』ではなくあくまで『くたびれた』)。頑張れ苦労人。その煤けた背中に魅力を感じる人もいるさ、きっと(ただし、燻し銀でも、男前でもない)。』これも中々、同情心に溢れたコメントね。今回、全面子の中で一番の長文コメントよ。良かったわね」
良夜「嬉しくねえ……」
アルト「人気投票と言うよりも『同情投票』って感じかしら? 良夜……私、貴方に負けたこと、全然悔しくないわ」
幽霊「『人は誰しも幸せになる権利をもっているはず…。良夜くんに幸を。』これも同様です。二位がこの調子では私の一位の価値がなくなってしまいます。喜びも半減です。むしろ、この程度の人にダブルスコアを着けられなかった自分がふがいないです」
アルト「『毛根と引き替えに彼が何を得ているのか、とても疑問に思います。』こんなにも多くの同情を得ているわよ」
幽霊「『生物代表として非生物に負けるわけにはいくまい!』結局、非生ものが勝ちました。非生ものは生態系の底辺以下ではなく、生態系の頂点以上ですか? しかし、乾物のお兄さんごときに勝った程度でそのようなおこがましいこと、言えるはずがありません。単にお兄さんが生態系底辺以下の非生もの以下だと言うことだけでしょう。万事控えめないい女ですから、私。今回もツッコミどこを用意します。忘れません」
アルト「『ヘタレの星の下に生まれた漢よ!ここが踏ん張り所だ!魅せろ!雑草根性!』雑草って草はないのよ。良夜だとさしずめ……ぺんぺん草?」
良夜「お前ら……本当に言いたい放題な……本当にこいつら、そのうち、ぶっ殺すかお祓いしてやる」
アルト「私は別にお祓いされても大丈夫よ。妖怪変化の類じゃないもの」
幽霊「私は殺される心配はありません。問題ないです」
良夜「その息の合い方はなんだ!? さっきまでガチで挑発し合ってたんじゃないのか!?」
アルト「……」
幽霊「……」
アルト「お互い……」
幽霊「お兄さんを食い物にして存在してる立場ですから」
良夜「お願いだから、俺の分が終わるまで黙っててくれ……『幽霊と差が開いてる……。』一応、中間発表の時より縮まったかな。でも、素直に喜べないって、このコメント見てると。『打倒幽霊!最後の力を振り絞れ!!』振り絞ったつもりはないが負けたな……ってか、こんな所で『最後』の力を振り絞ってもなぁ……ってこれだけ? ほとんど、幽霊とアルトの奴が答えてたんじゃねえのか!」
アルト「しゃべって良いのね? だって、あのコメント、良夜に答えさせるのはむごいと思ったのよ」
幽霊「そうです。これは優しさと言っても過言ではありません。良かったですね、お兄さん。人生において初めてもてていますよ」
良夜「そうかいそうかい、ありがたくて涙も出やしねーよ」
アルト「ええ、死ぬほどありがたがっていなさい。ほら、幽霊、貴女で終わりよ」
幽霊「そうですね、では……次のページでします。縦に長くなりすぎてますので」
良夜「仕切るなって!」
演劇部の二人  書庫   ベストスリー編(2)