うどん屋訪問記

このページでは、私が訪れたうどん屋の報告をします。まだまだあるぞ!ディープなうどん屋。


第1回 寒川うどん(木田郡三木町)

 讃岐うどんの基本というべき大型セルフ店。11番札所。ゆったりとした店内は讃岐うどんを堪能するには十分。ちょっとディープ度が低いような気もするが・・・。私の学生時代よく食べにきたうどん屋でもある。私が讃岐うどんを語る上で、すべての基本がここにある。さて味の方だが、とにかく旨い!東讃では入谷に並ぶ実力店だ。麺は、はりやよりこしは少なく、入谷よりもややある。しかし、入谷より粘り度は低いかな。また、麺の寿命が短く、11時~13時に食べることをオススメする。最近「釜玉」がメニューに加わり、「釜玉」の老舗である山越やなかむらにどこまで詰め寄れるか確認したい。ここは、私にとって「讃岐うどんの原点」であるので評点はあえてとする。なお、寒川系のうどん屋としては、綾歌郡飯山町の「木村」があげられる。 (2001.1)


 第2回 増井米穀店(高松市郷東町)

 香川県には、「米穀店」と名の付くうどん屋が多く存在する。もちろん本業は「米」を扱うことだが、製麺所タイプでうどんを販売しているのだ。うどん王国、讃岐ならではの光景である。他県において「米穀店」がうどん屋であることは考えられない。したがって、このタイプの場合、かなりディープ度は高く、一見うどん屋かどうかは分からない場合が多い。また、うどん販売に利益を求めていない店舗が多く、とにかく安く、味も店の個性が強くかなりの独自性を持っている。メニューは少なくトッピングもあまり期待できない。純粋な「讃岐うどん」が堪能できる。
 さて、ここ増井米穀店は40番札所。高松市の香東川沿いに位置する。私は、以前に「はりや」をはしごして訪れたことがある。そのときの時間は13:10。営業時間は13:00までであり、もう片づけに入っていたが無理を言って食べさせてもらった。したがって、残り麺はほとんどなく、最後の麺だった。このときの印象は、「死に麺」であった。すなわち、営業時間外の麺であったため、増井米穀店本来の麺ではなかったのである。これでは評価できない!ということで後日訪れた。
 印象としては、やはりディープ度は高い。製麺所タイプであるが以外とトッピングのあり、テーブルもあった(少ないけど・・・)。味はといえば、やはり1回目の時とは比べものにならないほど旨かった。やはりうどんは生き物であることを実感。出汁は私好み。けどショウガは置いてほしかった。麺は、ほどよいエッジがたっていて口あたり、喉ごしはいい。ただ、もう少しこしがある方が私の好みである。旨いことは旨いのだが、私の好みの麺とはちょっと違ったので評点は。なお、増井米穀店のうどんは、徳島県池田町の人気店「さぬきや」に似ていた印象を受けた。  (2001.1)


 第3回 飯野屋(丸亀市飯野町)

 丸亀市の土器川のあたりにある飯野屋。56番札所。ここはセルフの店ではなく、普通の一般店である。観光マップにはよく「肉うどんのおいしいお店」として紹介されている。讃岐うどんにはめずらしい肉うどんの旨い店ということで、期待して訪れた。果たしてどんな味なのか。
 実際に訪れてみるとやはり「肉うどん」を強調している。店の様子は普通の一般店だ。しかし、よく混んでいる。さっそく「肉うどん」を注文してみた。味の方は、「肉うどん」としては確かに旨いがあくまでも「肉うどん」としてだ。「讃岐うどん」を食べている感じはしない。讃岐うどんとは別物として考えなければいけない。あえて讃岐うどんとして評価すると、すべてにおいて普通であった。こし・粘りもこれといった特徴がなかった。出汁は肉のだしがよくでていて甘くなってしまっている。やっぱり私の考える讃岐うどんとは違っていた。そんなことで、私の評点は。何度もいうが、「肉うどん」としては旨い!
 ちなみに岡製麺所の肉うどんも旨いのでそちらの報告も後日したいと思う。岡製麺所は、期待していいぞ!  (2001.3)


第4回 谷川米穀店(仲多度郡琴南町)


 讃岐うどんの特徴といえば「ディープ度」。これがうどん屋か!というお店がたくさん存在する。私は今までたくさんのうどん屋を訪れてきたが、谷川米穀店のディープ度は最高レベル!おそらくすぺてのうどん屋で見てもかなりのレベルにあるだろう。とにかくわかりにくい!いろいろと情報を集めたがはっきりとした地図は見あたらなかった。それでもやっとの思いでたどり着くことができた。徳島からは以外と近い。しかし、讃岐うどんMapで見てもわかるようにポツンと他の店からは離れている。「讃岐うどんの秘境」とでもいうべきか・・・。
 一見、見た目ではうどん屋かどうかはわからない。たいがいの店はどこかに「うどん」と書いてあるものだが、ここにはうどんの「う」も存在しない。ただ「米」という看板があるだけで米屋に行列ができていつという異様な光景が飛び込んでくる。そう、ここは「米穀店」なのだ!
 そんな谷川米穀店はとにかく行列ができる。恐ろしいほどの人気を誇る。さらに驚くべきことは、営業時間が11:00~13:00の2時間!道に迷ってしまうともう閉店、ってことになりかねない。
 そして、注目すぺき味は旨い!ディープ度が一級品なら味も一級品!さすがである。メニューはいたってシンプル。「ぬくい」と「冷たい」のみ。1玉100円。4玉はいける。麺はしこしこ・つるつる麺だ。こし、粘りもいい感じ。ただもっとエッジがほいしいところ。麺の完成度はかなり高く、バランスは抜群だ!出汁は・・・讃岐うどんらしく「しょう油」これに限る。卵を落とせば「谷川風釜玉」に早変わりする。これが旨い。
 薬味は、ネギ・青トウガラシの佃煮風・酢がある。これらと麺、しょう油が絡み合って最高の味わいが堪能できる。ただ、青トウガラシの佃煮風は激辛で、入れすぎるととんでもないことになります。
 谷川米穀店は、88番札所。「讃岐うどん88番」の最後を飾るにふさわしい、味・ディープ度ともに最高レベルの「うどん屋」である。 
 ちなみに私の評点は。BEST5に入れてもいいくらいの強烈な印象を受けた。  (2001.3)


第5回 松岡(綾歌郡綾南町)

 R32沿いの道の駅「滝宮」の近くにある、「松岡」。ちなみに道の駅「滝宮」には綾南町うどん会館があるが、ここのうどんは・・・。ところで松岡は4番札所。場所自体はわかりやすいのだが、びっくりするのは看板がないこと。あるのは入り口の「手打ちうどん」暖簾のみ。松岡の名前さえ入っていない。ということでディープ度も高いのかな?と思って入ってみると以外にも普通のセルフであった。ただ、料金後払いという珍しいタイプではある。
 松岡は「宮武系」と呼ばれ、山内(仲南)やあたりや(高松)がこれにあたる。私はまだ宮武のうどんを食べたことがないので、宮武系についてはあまり詳しくない。しかし、松岡のうどんを食べてびっくりした。無茶苦茶旨い!旨すぎる!久しぶりにすばらしい讃岐うどんに出会った。ここはかなりお勧めできる。
 今回いただいたのは、松岡自慢の「しっぽくうどん」。いろいろな具が入っていて冬にはもってこいのうどんである。麺はしっかりとしたこしがあり若干縮れている感じがいかにも宮武系である。もちもち度もいい具合だ。出汁は少し薄めであっさりといける。4玉位はすぐいけそうだ。  

 讃岐うどんの中では比較的地味な存在である松岡のうどん。しかし、味は超一級品。隠れた名店といえよう。そんなことで私の評点は10。私の讃岐うどんランキングのBEST5に堂々のエントリーだ。
 隣に座っていた友人が「松岡は宮武より旨いぞ!」といっていたが、果たして松岡は師匠、宮武を超えているのか?ぜひ確認してみたい。その可能性は十分にあるだろう。今回はまいりました。  (2001.4)


第6回 谷川(高松市東植田町)

 惜しくもBEST5から漏れてしまったものの、やっぱり旨い「谷川」。よく谷川米穀店と間違えられるのだが、こちらの谷川も強烈。私の好みとしては東植田の谷川を一押ししたい。10番札所。写真の通り、普通の民家であるため、うどん屋とは想像もつかない。したがって、場所も非常にわかりにくい。青い屋根を目指していってくださいとしか言いようがない・・・。ディープ度はかなりな物といってもいいだろう。
 メニューは1つ、かけ。麺をいただき自分で出汁をかける製麺所タイプである。小120円、大220円と値段も強烈!トッピングはないが、全く問題はない。その理由は出汁にある。
 出汁は鍋にありそこから自分でかけるのだが、お玉ですくってみるとこれまたびっくり!!鍋のそこにはびっくりするくらいの具が埋まっているのだ。ダイコン・ニンジン・タケノコ・シイタケ・ナスetc・・・、自家製の季節の野菜がふんだんに入っている。これらがマッチして最高の出汁を作り上げる。「かけうどん」とはいっているが「しっぽくうどん」に近いだろう。ただ、そこらのしっぽくとはスケールが違い、「スーパーしっぽくうどん谷川風」って感じだ。また、冬にはイノシシの肉が出汁に入っており、これも旨い!おそらく、イノシシも自家製だろう・・・。
 一方、麺は歯ごたえ・喉ごしが抜群だ。私の好みである。他では真似できない麺のバランス。私は谷川の麺を「谷川系」といいたい。旨すぎる!
 季節によって雰囲気の変わる谷川のうどん。おそらく今まで味わったことのない讃岐うどんであることに間違いない。私の評点は。ちょっと厳しいかもしれない・・・。9でもいいかな?と反省している今日この頃です。谷川、行きてぇー。  (2001.8)


第7回 岡製麺所(綾歌郡綾上町)

 近頃では「旨い讃岐うどん」といえば誰もが『巡礼讃岐うどん八十八カ所』という。確かに旨いうどん屋がノミネートされているが、誤解してはいけないのは「旨い讃岐うどん屋八十八カ所」ではないということ。この選定基準はどうやら味だけではなく、店の雰囲気や変わったお店・親父さんetcで選ばれたらしい。従ってこれにもれたうどん屋でも八十八カ所に勝るうどん屋がたくさんあるのだ!そういう意味で岡製麺所は八十八カ所には入っていないが、かなりいい味と人気を誇っている。観光気分で讃岐うどんを食べている人には絶対行き着かないであろう隠れた玄人好みのうどん屋といえる。
 岡製麺所は高松空港の南西部の綾上町の片田舎にある。本当に田舎だ。高松方面から行くとちょっとしたカーブを抜けると、突然路駐している車の行列に出会うはずだ。ある意味危ないけど・・・。
 岡製麺所といえば何といっても「肉うどん」これに限る。おそらく讃岐一の肉うどんではないだろうか。純粋なうどんの味を求める玄人讃岐うどん通にもここの肉うどんだけは認められる。甘辛く味付けされた牛肉と出汁との見事なマッチングが独特の肉うどんを作り出す。牛肉のボリュームのおかげで、見た目は思いっきりこってりだがいざ食べてみると以外にもあっさりなのだ。このあたりが玄人の舌をくすぐる。さらに唐辛子をかけてやるとさらに旨さがUPする。この唐辛子の辛いこと、かけすぎには注意だ。
 麺はまさしく肉うどんのために打たれたような麺である。肉うどん以外食べたことがないのでわからないが、肉うどんにはBEST!私の考えでは肉うどんの麺は、かけうどんの麺よりも表面が若干柔らかめで中にしっかりとしたこしがあるのがいいと思っている。(ちょっと難しいですか?)そして喉ごしよりもむしろもちもち感を重視したい。そういう点からも肉うどんの麺としては100点。
 岡製麺所では、写真の通りうどんの他にそばもある。私は食べたことがないが季節限定の「しっぽくそば」が肉うどんに迫る人気を誇る。かなり旨いらしいので一度挑戦していたい。「しっぽくうどん」より「しっぽくそば」だって。
 寒~い冬には岡製麺所の熱~い肉うどん。最高だ!私の評点は。うどん通だからこそわかる岡製麺所。しぶい!  (2001.11) 


第8回 宮武(仲多度郡琴平町)

 山内、あたりや、松岡は「宮武系」と呼ばれどの店も大変な人気を呼んでいる。そして、今回、琴平・満濃うどんツアーの一発目、その宮武系の生みの親、宮武に行って来た。
 宮武は80番札所。巡礼のラストスパートにもってこいのお店である。よく場所がわからないとの声を聞くが、意外にもすんなり行けた。ところがうどんを食べているときに、電話で場所を説明しているご主人の姿を目にした。やっぱり難しいのかな?
 前評判がよかったのでわくわくしながら暖簾をくぐる。すごい人だ。人気抜群!ところで宮武といえば、注目すべきはメニュー。ごらんの通りシンプル。そのかわり、かなりのこだわりを持って讃岐うどんを食べることができるのだ。特に「ひやあつ」はマニア心をくすぐる涙だもののメニューだ。早速「ひやあつ」をいただく。ちなみに、料金後払いで威勢のいいご主人が暗算で一気に計算していく。すごい!!麺はご存じやや細麺のちぢれ麺。一口食べてびっくり!すごいこしだ。そして、そのこしは単に固いのではない。喉ごし、つやつや感、粘りけを備えたバランスのよい味わい深い麺であった。
 出汁はイリコのきいたさっぱり系。松岡もそうだったし、出汁の方も宮武系。こちらも何玉でも行けそうだ。気に入った。
 前評判通りとても旨い宮武。しかし期待が大きかっただけに松岡に行ったときほどの衝撃がなかった。「松岡の生みの親なんだから・・・」と過剰期待をしてしまったのだ。ということで私の評価は。旨いことは保証いたします。  (2001.12)


第9回 長田(仲多度郡満濃町)

 琴平・満濃うどんツアーの第2弾。こちらも人気店、長田。85番札所。場所は琴平町吉野である。この吉野という場所は別名「うどんの聖域」ともいわれ、讃岐うどんの原点であるといわれている。長田のある吉野交差点は、うどん通通の中では「うどん交差点」と呼ばれ、長田の他、たくさんの有名店が店を構える讃岐うどん激戦区である。
 長田といえばご存じ「釜あげ」釜あげうどんの先駆者として、古くから釜あげ一本で勝負してきた。したがって釜あげにはかなりのこだわりを持っており、他のうどん屋にはない独自の路線を歩んできた。以来、うどん通の中では「釜あげといえば長田」が定着し人気を誇っている。最近では非常に有名になり県外客が長田の釜あげを求め、殺到するようになっている。私が訪れたときも県外ナンバーの車が多かった。一方で地元うどん通からは「観光うどん」になりつつあるとの厳しい声もあがっている。地元が離れつつあるのだ。
 とはいえやはり評判高い長田。とても暑い日であったが、我慢して早速、釜あげを注文してみた。

 出てきた麺にまずびっくり!つやつや感がすごい!一気に食欲をそそられる。香り高いこくのあるつげだしに入れてみる。極上の麺とうまくからみあう。その姿は本当にきれいだった。
 気になる味の方だが、正直なところ少しがっかりした。見た目以上の旨さを感じなかった。とはいえ、口の中につるつると入って行く麺は旨い。口の中にいつまでも旨味を残す。ただ、中途半端なこが私にはあわない。あくまでも私の好みだけど。見た目は最高だっただけに残念で仕方がない。トータルバランスに問題がありそうな印象だった。
 期待が大きかっただけに非常に残念だった長田。たまたまかもしれないが、悔しさが残る。もういちど挑戦してみるべきだろう。ということで私の評価は。人気は抜群なので好みが分かれるのだろう。ちなみに友人は9といってました。  (2002.1)


第10回 小縣家(仲多度郡満濃町)

 宮武・長田と続いた琴平・満濃うどんツアーもクライマックス。長田のすぐそばにある小縣家。「おがたや」と読む。長田についでの86番札所。こちらも一般店で観光うどんとしては一級品。
 入り口の看板に「あっという間に5玉6玉すぐ入る。やっぱりうどんは別腹やな」と書いてあったが、まさしくその通り。うどんツアー3軒目でも問題なし。(ちょっと苦しいが・・・)
 讃岐うどんの象徴のメニューに「しょうゆうどん」がある。これは麺に出汁をかけず、うどん用のしょう油をかけて食べるというものである。普通の人にはびっくりするようなことだが、讃岐うどんでは基本中の基本である。ちなみにこのしょう油、一般のしょう油とは若干異なるのだが、詳しいことは企業秘密となっているため、私も詳しいことはわからない。また、最近では、麺の上に大根おろしをのせてしょう油をかける、「大根うどん」も主流となっている。
 しょう油うどんの魅力は「讃岐うどんの素朴な味を楽しめること」出汁がないぶん、出汁に頼らない麺の本当の味が浮き彫りになる。しょう油うどんの旨い店はどのうどんでも旨い、といわれるのは納得できる。


 小縣家は、このしょう油うどんの先駆者であった。今では結構な店で登場しているしょう油うどんも小縣家が元祖。メニューには「元祖しょう油うどん」を売りにしている。入ってみてまず思ったことは、この雰囲気は私にあわないこと。観光客らしき人が多く、きれいな建物で、普段ディープ度の高いところへいっている私にはちょっと無理がある。何か徳島のうどん屋にきている気にさせられた。とはいえ、ここは小縣家。讃岐きっての有名店なのだ。
 ここにきたらもうしょう油しかない。早速しょう油うどんをいただく。なるほど観光客を意識したうどんだ。いただいてみるとさすがは小縣家、このしょう油うどんに欠点は見あたらない。これならみんなは納得する。さすがは讃岐うどんだと。でも私は納得できなかった。優等生しすぎて讃岐うどんの感じがしない。高級料理を食べているような感じだ。もっと荒々しさが欲しい。インパクトに欠ける。う~ん、旨いけどな・・・。ということで私の評価は。うまいうどん屋なら小縣家。けど、楽しさはここでは味わえないかも。
 (2002.1)