特別企画展(2001年秋号)
PRADO PORTO(プラド・ポルト)もおかげさまで11月1日をもちまして1周年を迎えます。予想以上に好評をいただいている?特別企画展も無事1年を迎えることができました。この特別企画展は、私の地元徳島の四季を感じてもらうべく、年4回の発行を目指してまいりました。これからも「旬」をテーマにお届けできればと思っています。
2001年秋号は、「食欲の秋」ということで「徳島の麺」をテーマにお届けいたします。日本人の心、やっぱり麺でしょう。
麺を語る
皆さんは、「麺」といえば何を思い出すでしょうか?ラーメン、うどん、そーめん、焼きそばetcといろいろなものが浮かんできます。これらは全国各地にその土地独自のものが存在する。「食は文化」とよく言われるが、そういう意味で「麺」はまさしく文化である。麺を語ればその土地が見えてくるといっても過言ではないだろう。数ある中で私が魅せられた麺は、「讃岐うどん」であったが、ふと地元・徳島の麺はどうなのだろうと思い、この企画に至ったわけである。短期間で独自の調査のため、情報量が少なく、麺を語るには少々気がひけるが、あくまでも個人の見解ということでお許しを。
徳島の麺
日本人は麺が大好き!といわれる。我々の生活の中で麺は欠かせない。麺のない食生活など考えられないのだ。ふと気がつくと麺を食べている。本格的な麺料理からカップラーメンまで麺は何か不思議な魅力を我々に与えてくれる。そんな中、地元徳島でも地元民、観光客を虜にする麺を発見することができた。そこで「徳島の麺」と題し、徳島に存在する麺の紹介と、その不思議な魅力に迫る。
徳島の麺(1) ~徳島ラーメン~
ここ数年で全国的に大ブレーク?したのが徳島ラーメン。ラーメンといえば全国各地に不動のラーメンが存在しているが、ご当地ラーメンブームのあおりを受け、和歌山ラーメンについで注目を集めることとなった。それまでラーメン文化に後れを取っていた徳島にとって、この徳島ラーメンの出現は、大きな革命となったのである。
徳島ラーメンの特徴は、①スープは基本的に醤油のみ ②トッピングは基本的にもやし、メンマ、ネギ、チャーシューのかわりに甘辛く煮込んだ豚バラ肉、そして生卵となっている。
気になる味は、しょうゆ味でありながら非常に濃いスープである。見た目も濃いが味もかなり濃いのである。思わずライスも食べたくなる。実はこの濃い味がミソ(味噌ではない)で、濃いスープとライスを一緒にいただく、これが徳島ラーメンの食べ方なのだ。そしてそんな徳島ラーメンにマッチするのが、豚バラ肉と生卵。他にはないものすごい印象と旨味を引き出している。
昔から徳島ラーメンといえば、豚骨・鶏ガラベースの薄口醤油スープに細麺の支那そばであった。今でも伝統を持ち続け、人気を集めている店舗も多くある。ラーメン通にいわせれば、支那そばこそ本当の徳島ラーメンという人もいうが、今ではすっかりこちらの徳島ラーメンが主流になりつつある。どちらが本当の徳島ラーメンかどうかは、ぜひ食べ比べていただき、各自で判断されることをオススメする。
店舗名 いのたに(本店) 住 所 徳島市西大工町4丁目25 コメント 横浜ラーメン博物館に出店している徳島ラーメンを代表する店で 徳島ラーメンブームの火付け役となった。 よって人気も大変なもので、常連客と県外客が列を並べる。 味もさすがは元祖徳島ラーメンで、伝統の味をかわらず持ち続けている。 徳島ラーメンを味わうためには、さけてはならない「いのたに」ぜひどーぞ。 注文は食券制。 |
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店舗名 よあけ 住 所 徳島市二軒屋町2丁目46 コメント 名前は「よあけ」ながら営業時間は深夜0時まで。何度涙をのんだことか・・・。 徳島ラーメンというより、支那そばの名店。 あっさり味のスープは、飽きのこない見事な味。 通常は「大」を注文しよう。「小」はホントに少ないぞ! |
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店舗名 ふく利 住 所 徳島市吉野本町5丁目20 コメント 支那そばと徳島ラーメンの中間的存在。 意外にあっさりのスープ。深夜まで営業しているので、 飲んだ後に旨いラーメンを食べたいときに最高!! |
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店舗名 春陽軒 住 所 徳島市南田宮4丁目4 コメント 徳島ラーメンの見本のような春陽軒のラーメン。 個人的には、もっとも旨かった徳島ラーメンだった。 とにかく旨い!何度食べても飽きないこの味。やみつきです。 |
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店舗名 金剛 住 所 徳島市佐古2番町16-9 コメント まるでディープな讃岐うどん屋をおもわせる店構え。 ディープな徳島ラーメン屋があったのだ。いや~うれしい。 そしてこの金剛、見た目通り旨い。残念なことに徳島ラーメンではないが、 徳島の旨いラーメン屋としては、No1に匹敵する。 営業時間が短いので要注意だが、食べる価値は十分。 |
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店舗名 王将 住 所 麻植郡鴨島町喜来323-183 コメント まずはこのチャーシューの量を見てほしい。 チャーシューが表面を覆い、麺がなかなか見えない。 さらにこのチャーシューからの脂と濃厚スープがからみあい、 こってりラーメンになっている。 とにかくチャーシューだけでもお腹いっぱいの王将のチャーシューメン。 お腹をすかして挑戦しよう。もちろん味も◎。旨い! |
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徳島の麺(2) ~祖谷そば~
日本最後の秘境として有名なのが県西部の三好郡西祖谷山村と東祖谷山村。剣山に面し、そこはまさに秘境。21世紀を迎えた現代社会において、ここだけは時間が止まっていつ感じさえする。観光客でにぎわう「祖谷のかずら橋」や祖谷渓谷、吉野川源流付近ではラフティングも人気を集めている。 剣山系のかなりの高度に位置しているので、冬の寒さは想像以上。とても南国・徳島とは思えないほど過酷な環境である。したがって昔からこの地域での農耕も難しいとされてきた。まず農業用水がない。よって水稲栽培はできないのだ。当然、野菜や果樹の栽培も非常に困難を極める。こんな田舎で水がないとは・・・。普通に考えたら信じられないことだが、これが祖谷の現実である。さらに、飲料水も信用できない。何せ殺菌されていない水なのだから・・・。○○名水というのも存在するが、毎日の生活の水には使えない。そんな中で、地元住民が考え出した産業が、「そば」栽培である。実はこの「そば栽培」は、祖谷地方に見事マッチした環境だったのだ。以来、観光アピールと過疎化防止に努め、今では徳島の特産物にまで上り詰めることができた。遠路より祖谷のそばを求めてやってくる人が後を絶たない。 そして「そば栽培」からうまれたのが「祖谷そば」。祖谷在来種のそばは、味と香りが良いので有名で、そば粉だけでつなぎ粉を一切使わない「祖谷そば」は、素朴なそばの味を演出する。その結果、めんが切れやすいのが特徴で、ゆでる際に切れて10センチ程度になることもある。 この祖谷そばをどう判断するかは、人それぞれであるが、秘境だからこそ表現できるこの味。大自然をバックに、自然色いっぱいの祖谷そばをいただいてみましょう。 |
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徳島の麺(3) ~半田そうめん~
徳島県の吉野川中流に位置する半田町。目の前には讃岐山脈と四国山地が広がる。そして、讃岐山脈の向こうには、うどんの名所讃岐平野が広がる。そのためか、麺に対するこだわりも、その細さや繊細さを高級とする価値観よりも、麺の喉ごしとこしを重視しているように感じる。その麺は普通より太い。そして美味い。他地区なら冷麦と呼ばれかねない骨太の半田そうめんは、麺食文化の地域性がよく出たそうめん文化の多様性を感じさせる。半田町では現在、そうめんの魅力を町づくりに生かすために、新しい交流拠点として「そうめんの里」づくり構想を進めている。そうめんを始めとする半田町の特産品の生産、販売、体験の複合的観光施設で、町内産業振興の中核的施設づくりを目指している。 極太半田そうめんを一気にのどに流し込んでみよう。今までのそうめんとは一味も二味も違うことに気づくはずである。 |
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徳島の麺(4) ~御所のたらいうどん~
そもそも、たらいうどんとは、かつて林業が盛んだった土成町宮川内地方で、人夫たちをもてなすために生まれたうどんである。かつてはゆでた釜を囲んで食べていたのが、釜から木製の飯盆に移して食べるようになり、昭和6年、当時の県知事・土井通次氏が土成町を訪れた時、この飯盆に盛られたうどんを食べて帰り、「たらいのような器に入ったうどんを食べてうまかった」と語ったことから、いつしか「御所のたらいうどん」と呼ばれるようになった。 ごらんの通り、讃岐うどんでいう釜あげ風である。そして、うどんの味も讃岐うどんに劣らないくらいがんばっている。しかし観光うどんのイメージはぬぐえない。最近ではずいぶん味もよくなってきたが、讃岐うどんの尺度では評価してはいけないと思う。御所のたらいうどんは、讃岐うどんではなく、あくまでも御所のたらいうどんなのだから。これがたらいうどん。 ところで、御所のたらいうどんの魅力はうどん以外にもたくさんある。まずは、山の幸をふんだんに使った釜飯。さらに豊富な川魚を使った塩焼き、そして旨い旨い焼き肉などなどどれをとっても満足できるに違いない。川の流れと自然の中で御所のたらいうどんを堪能してみてはいかがでしょうか。 |
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