優良運転者宣言2004・1・15掲載徳島新聞

 

 

 

白バイが私を追い越し、直後に停止を指示した。 もう20年も前のことだ。 若い警察官が言った。 「スピードメーター、動いてないですね」。 数日前から故障しているのに気がついてはいたが、目の前の車検まで待つつもりだったのだ。 怠慢を悔いた。だがその時は、捕まって損した、運が悪かったなどと思う前に、「プロはすごいなぁ」と心底感心したものだ。 なんでも、追い越した車のメーター類はよく見るそうだ。 整備不良車運転。その時の道路交通法違反名だ。 めずらしい体験として記憶に残る。

 

その他、恥をさらすようだが、思い出すところでは駐車違反を数回、指定方向外侵入(右折違反)とシートベルト不着用を各一回、スピード違反と一時停止違反、信号無視は各二度あった。 そして若気の至りを反省し今は絶対にしなくなった、 酒酔い運転と酒気帯び運転で捕まったこともある。 この時は、免許停止90日と45日だった。 講習に行き半減されたものの、言語道断の違反だった。

 

これらの反則金や罰金は、もちろん警察の「捜査報償費」になったりはしない。 国庫金として納められた後に「交通安全対策特別交付金」となって各都道府県と市町村に渡されるそうだ。 そして、信号機や標識、歩道橋、道路照明、カーブミラーなどの施設費に当てられるとか。 すると、二度あった免許証不携帯など軽微なものも含めて、私もずいぶん「交通安全のための施設拡充費」を払ってきたことになる。…これは軽口。

 

早口言葉で「飲んだら乗るな乗るなら飲むな」を言えないほど酔って運転する者は、まだ後を絶たないが、それでも一昨年の厳罰化が功を奏して、かなり減少したという。 罰金を30万円も取られるのが、運転者だけでなく同乗者まで、というのも相乗効果。おかげで交通事故による死亡数が昨年は、前年より7.5%も減り七千七百人ほど。 八千人を下回ったのはなんと46年ぶりで、1970年の半分だそう。 さほどめでたくもない正月での希少な朗報といえる。

 

そして今度は、運転中の携帯電話使用を全面禁止にする道路交通法改正試案が出された。 徳島県内でも昨年は通話中の死亡事故があったし、禁止は当然だろう。 常識的な運転をしていれば違反にならないような、誰もが納得できる立法と合理的な運用を望みたい。

 

違反や事故の減少は喜ばしいのだが、欲を言えばモラルやマナーの向上でそうなればいいのに、と願う。 道交法でどうこうするのではなくて常識と良心で。 私は、それで優良運転者になった。…と思う。

 

 

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