新党滅却するか 2003・1・4 徳島新聞夕刊 

 

 

 上板町議会が「政党助成金の廃止を求める意見書」を採択した!? 全国の地方議会で初めてというから「上板」もやるわい、と思ったら儚い初夢…。よく見ると奈良の「上牧」町だった。うっかり読み違えたが、まあ、是は是だ。惜しみない拍手を送ろう。

 

 全文を読んでみた。多くが納得できる意見書だといえる。八年前に政党助成制度が開始された時、自立すべき政党へ税金をつぎ込むことに強い批判があったものの、その前提に「企業・団体献金の全面禁止があるものと理解した」とある。私も当時そう受け取り、このコラムにも「抜本塞源」=臭いニオイは元から絶つべし、と書き期待した。だから今は、だまされたような思いで不明を恥じている。

 

 その後の経過はご存知のとおりだ。いまだに団体・企業献金は禁止されていない。そして「毎年三百億円を超える税金が日本共産党以外の各政党に配分され、その合計額は八年間で約二千四百億円にも上る」のだ。

 

 同意見書はこう結んでいる。「その財源を経済不況に苦しんでいる国民の生活に役立つ施策への財源とすることを強く求める」と。立派な見識ではないか。

 

 支持もしていない政党へは一円たりとも寄付したくないのは当然で、その意味でも政党助成制度は、大げさなようだが思想信条を侵害する憲法違反だと、私は思っている。それに留まらず、この制度は政党そのものを堕落させる。交付金額が元日時点での所属議員数などで算出されるため、算術にたけた新政党を次々生んできた。歳末大売出しのような新政党「駆け込み結成」や離合集散を繰り返してきた。

 

 その最新版が「保守新党」。ついこの前まで最大野党の幹部として小泉内閣を強く批判攻撃していた議員らが、政権与党のうまみ目当てか保守党主要メンバーと手を結んだものだ。かつての日本新党と違い、マスコミも厳しい論評のオンパレード。徳島新聞の社説にもあったように、新党結成の大義名分を欠いているし理念や政策に新鮮味も力強さもない。

 

 船出の記者会見で「自己保身や自己栄達の世界であってはならない」といくら強調しても、白けるばかりだ。民主党に投票した人は「怒り心頭」だろうが、その他の国民の多くも冷めた目で「あ〜シンドー」という気分だろう。

 

 だから、この新党をわかりやすく覚えやすくするために、私は、保守新党でなくちょっと省略して「ほしん」党と呼ぼう。漢字ではもちろん保身。

 

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※予想より早く新党滅却。小選挙区制のせいでもあるが、03年総選挙で惨敗した保守新党は解散。自民党に吸収合併。これもホシンのためだろうが、悔しいだろうなあと、ちょっと同情。 

 

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