名は体を表す 1998.10.14 徳島新聞
赤ちゃんが生まれるとき、どういう名前をつけようかと、親は思い悩む。昔ながらの姓名判断というのもあるようだが、要は愛情がこもり、聞こえや意味が奇異に過ぎなければよいと思う。
以前に、面白い発想ではあるが、息子の名を「悪魔」にしたがったり、「今太閤」にあやかって「角栄」とつけたものの後年に改名を裁判所に訴えたりというケースがあった。こういう騒動も「名は体を表す」という諺がなければ起こらないのかもしれない。
やはり「しずか」さんにはシャイな人が多い気がするが、団体名などは必ずしも実体どおりではないようだ。ましてコロコロ名前が変わる政党などは「名は体を表す」間もなかろう。その点、国民から総スカンをくらっている「消費税」というのは、けっこういい名称なのだ。「体」は最悪だが「名」は分かりやすい。詐欺まがいの「福祉目的税」とかでないのがいい。朝から晩まで、揺りかごから墓場まで「消費」行為のたびに5%がプラス…。でも、ちょっと長くなるが「軍事・工事・金融支援税」とした方がよけい分かりやすいし、現代風かもしれない。
その消費税、世論調査ではいつでもどこでも「廃止・引き下げ」を求める声が、80%前後だ。未曾有の経済不況を脱出するにはそれしかない、というのが、政党支持をこえての多数の意見だ。しかし、何しろ1%アップで2兆5千億円の増税ができるのだから、為政者にとってのこの打ち出の小渕、いや小づちは、なかなか手放せないだろう。
ところで、これも分かりやすい名前だが「消費税をなくす会」というのがあるのをご存知だろうか。会の目的が、そのものズバリで気持ちがいい。消費税を無くしてほしい、せめて当面は3%に引き下げてほしいと、全国で地道な運動を繰り広げている。入会金も会費もいらない誰でも参加できる会で、会員数はすでに全国で100万人を超えたと聞く。
消費税引き下げ運動でいえば、先の参院選で躍進して「予算を伴う法律の提案権」を獲得した日本共産党が、二院クラブや自由連合の議員と共同で、参院に「消費税減税法案」を提出した。画期的で、選挙公約どおりの迅速な行動は、共感を呼んでいる。
近ごろの日本共産党は、戦前の弾圧や外国党との混同で持たれていた悪イメージがほとんど無くなっている。実体が理解され名前に親しみを感じるようになる、こういうケースでは「体は名を表す」というのだろうか。
※03年6月、政府税制調査会が「消費税2ケタ」を答申。どこまで続くぬかるみぞ、って感じ。いいかげんにしろ、って感じ。