困った三文字200052掲載 徳島新聞 

 

 

 

「ATMで預金を引き出し、JACで大阪に飛び、ATCホールのコンサートに参加」などという文章が作れそうだ。

 

どの日の新聞もそうだが、アルファベット三文字の単語がよく目につく。NPT(核不拡散条約)再検討会議に反核NGOが核廃絶を訴えたと、NHKでもJRT(四国放送)でも報道される。オリンピックに絡むJOCでのごたごたが落ち着いたと思っていたら、先日はよく似た名前のJCOで臨界事故による二人目の被曝死…。痛ましい。

 

ところで昨今、とみに有名になったものに「PCB」がある。ポリ塩化ビフェニールというのが本名で、日常機器に幅広く使われており、奇形やガンをもたらすという。ごみ処理の時に発生するダイオキシン同様、地球汚染にもつながる環境ホルモンの一種だ。困った三文字といえる。

 

この恐いPCBは、日本でも30年近く前に製造も使用も禁止されている。でも問題なのは、今まで使われていた分。化学的な処分方法がまだ確立できていないため、用無しになったPCB製品はどこかで管理するしかない。漏れないように、コンクリート製の床と屋根つき倉庫での保管が義務づけられているそうだ。

 

「そうか、それで…」と思ったのが、つい最近のあのできごとだった。全国各地の米軍基地から集められたPCB汚染の廃棄物約100トンを、日本国外で処理するために太平洋を渡った貨物船が、(当然ながら)カナダ政府に搬入を拒否された。アメリカのシアトル港でもしかり。でもこちらは「当然ながら」じゃないだろう。米軍の責任として適切に処理すべきなのだ。本国で陸揚げを断られた物を「はい、そうですか」と日本に持ち帰るなんていうのは、とうてい納得できない。

 

日米安保条約があり、基地経費を税金で負担するのが定着しているとはいえ、日本国民が出したのではない有毒ごみなのだ。どくろマーク付き?貨物船のUターン先横浜や、まだ数十トンものPCB汚染物が残っている相模原市などで「米軍のゴミ捨て場か」と、怒りや不安が広がっているのもむべなるかな。米側は、横浜ノースドックでの「一時保管」後、一ヶ月以内に搬出するらしい。しばらくは目が離せないだろう。

 

PCBだけでなく、NLP(夜間発着訓練)も迷惑な三文字だ。ついでながら「自自公」に続く「自公保」。これは漢字だが、どの世論調査でも「イヤな感じ」…。ここらでどうにかしないと環境も生活も、タイタニックのようにSOSとなりかねない。

 

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