百聞か一見か 1999.03.10 徳島新聞 

 

 

 いいかげん離合集散を繰り返し、その名前もコロコロ変わるので、いま日本のすべての政党名をスラスラ言える人は多くないだろう。まして、党首の名前なんてなおさらだ。かくいう私だって、小渕・菅・不破・小沢、ここまではスムーズに浮かぶが、さて他は…という感じだ。その「党の顔」が徳島にやってくるのはマレなこと。3月26日、アスティとくしまの日本共産党演説会に不破委員長が来られるそうだ。あいにく私は参加できないのだが、希少な機会なので県民の皆さんにお勧めしたい。

 

おりしも国政の重大事。共産党は、不況打開の特効薬としての「消費税減税法案」を提出しているし、日米ガイドラインは「戦争法案」だと廃案を主張している。国会論議が白熱中だから、おそらく演説会では、そういった現在危急の諸テーマが詳しく解りやすく話されるだろう。

 

さらに、最近「驚き」をもって報道された、「日の丸・君が代」法制化論議をしようという「新見解」についても語られるのでないかと思う。

 

ことは、広島の高校長が卒業式での「日の丸掲揚・君が代斉唱」での意見対立で自殺したことが発端だ。「反対なら教育委員会に逆らって降格処分を甘んじて受ければよい。何も死ななくても…」と第三者が言うのは簡単だが、渦中の当事者として、よほど追い詰められたのだろう。お気の毒だ。

 

その痛ましい事件をきっかけに、首相が「法制化」検討を指示したことを受けて、共産党は「押しつけ」反対の立場からだが、じっくり論議しようというもの。私も、「論議」は必要と思う。

 

この「国歌・国旗」問題は、卒業・入学シーズンに必ず物議をかもす。私は、何も知らなかった小学生のころには、かすかな違和感を覚えていたものの、歌うことには殆ど抵抗はなかった。その違和感や無関心は、歌詞の意味や経緯が理解できていなかったからだろう。

 

長じて、「君が代」は「天皇陛下のお治めになる時代が千年も万年も続き、お栄えになりますように」ということだと知った。だから、それが仮に「民が代」に変更しても、染みついた違和感がぬぐいきれないように思う。

 

「日の丸」についても同様だ。戦無派の私は、それがアジア太平洋戦争での侵略の旗印に使われた時代を生きてきたわけじゃ、もちろんないのだが、シックリこないのは確か。

 

いずれにしろ、賛否がどうあれ、信条の自由を尊重すること、強要はさけるべきというのが「普通の感覚」ではないだろうか。

 

そんなこんなで共産党演説会が注目されるのだ。フワフワと付和雷同しない不破さんのファンがまた増えるような気がするが、はてさて?(修)