引き返す決断2004・1・29徳島新聞夕刊掲載

 

 

 自衛隊がイラクへ乗り込めば、いくら「人道・復興支援」だと強調しても、占領軍の一部とみなされ攻撃されるのは目に見えている。殺されて一億円というが、半身不随とか、東京テロなんかにはどう対処するのか。そういうのが国民一般の素朴な心配ではないか。

 

ただ国民といっても、もちろん一色ではない。自民・公明内閣の支持率がけっこう高いところをみると、私にはとうてい理解できないのだが、海外派兵や消費税増税、憲法第九条破棄に賛成する人も多いということなのか。こんなに国民の間に亀裂が深まっていくのは憂慮すべきことだ。

 

いつだってどこだって人間関係にヒビが入るのは悲しいし、どうにか修復しなければならないと思うが、こちらの「亀裂」も重大な問題だ。日本エアシステム(JAS)の二機種搭載のエンジン内部に多数、というよりほとんどの同型機で異常が見つかった。

 

徳之島空港で主脚が折れたこの月初めがケチの付き始め。一週間後には、鹿児島発の大阪行きが離陸後に左エンジンに異常な振動が起こって、引き返した。念のために同型機の緊急点検をしてみたら出るわ出るわ。

 

この降って湧いたエンジン・トラブルのために欠航したのが、最高時には全四百便中、百二十便にも上ったそうだ。二機分の正常なエンジンを一機にまとめたり、他会社から借りたり、メーカーから在庫を取り寄せたりと苦心惨憺しつつ、その後も連日数十便が欠航している。徳島発着便には同型機が無く影響も無いけど、全国各地でかなり多くの乗客に不安と不満を広げた。

 

技術的なことは私にはチンプンカンプンだが、今回破損したのは空気の流れをコントロールする重要な部品のようだ。それが機能しないと圧縮空気の逃げ場がなくなり「爆発」の恐れさえあると聞いてゾッとした。この際ぜひとも構造的欠陥?を徹底的に究明してほしい。欠航も結構。

 

世界では、ここ五十年あまりで昨年が最も航空機事故が少なかったと聞く。警報システムの向上は喜ばしいこと。今回も最初の異常に気づいた機長の機転や会社の機敏な処置には拍手を送ろう。私もしょっちゅうお世話になっているJASだけに、数十億円の減収にもめげず、安全第一を念頭にダイヤ正常化に向けてがんばってほしいと思う。

 

異常や亀裂を少しでも感じたならば、「引き返す」勇気ある決断が必要なのだ。小泉さんも、どうにかならない?

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