元気な共産党 1997.11.19 徳島新聞 

 

 

 創立75周年を迎えた日本共産党(1922年創立)の意気が軒昂だ。昨今の選挙では全国各地で連戦連勝とはいかないまでも、善戦を続けている。無党派層といわれる人たちの支持をかなり集めているのだ。ちょっと前の東京都議選で第二党に躍進したのも印象深い。

 

 ずいぶん前から日本共産党の地方議員数はダントツ。もちろん保守系無所属議員は「本籍・自民党」が大多数なので、実質は第二党だが、これらの伸長ぶりはどこから生まれているのか?

 

 一つには、地道でキメ細かい日常活動の蓄積が「共産党」を身近な存在にし、暗い恐イメージをかなり払拭してきたことや、旧ソ連など他国共産党と同列視しての「アレルギー」が漸減してきたこと、があると思う。

 

 そして何よりも、近頃の混迷した政党状況の中で、同党の性格や主張が際立ってきたからではないか。土井「たか」子さんの社民党がタカ派でなければ、「鳩」山さんの民主党が必ずしもハト派でないように、諸党の旗印は不鮮明だ。そんな中で、軍事費削減などの主張は野党色鮮明だし、「頑固」なまでに、ひとり企業献金や政党助成金を拒否する「潔さ」は、孤高にさえ見える。

 自民党幹部も「自共対決の時代」と、よく口にするようになった。それに呼応するかのように、当の共産党は、百人の衆院議員や二十一世紀の早い時期での「民主連合政府」を目指すと言っている。徳島ではまだまだ実感できないが、各地の上げ潮ぶりを見ていると、それが夢まぼろしではない気さえしてくる。

 戦前の党員作家・小林多喜二の死を悼んで、かの志賀直哉が「彼らの意図ものになるべしといふ気がする」と日記に書いたことが、時代を超えてダブってくるようだ。

 今月初めの「赤旗まつり」にも23万人もの人が集まった、とのことだ。その徳島版「市民の集い」(後援会主催)が、23日に徳島市助任川公園で開かれる。日本共産党のナマの姿に触れる好機だし「元気の素」を確認する意味でも、バザーや模擬店に家族サービスを兼ねて参加してみたいと思う。

 カラオケ大会はないかもしれないが、思い入れたっぷりに党支持者の歌う声が聞こえてくるようだ。(世の中の)曇りガラスを手でふいて〜あなた、明日が見えますか〜

 いつか聞いた高知の叶岡哲さんの講演を、今ふと思い出した。明日の展望がつかめない生き方は「精神的その日暮らし」というんだって。

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