がんばれ地球人 2002・9・2徳島新聞 

 

 

銀河系に我らの太陽のような星は、2000億個以上あるという。その銀河そのものがまた2000億以上あるのだから、どう考えても地球のように生物が棲む星は、いいかげんな言い方だが、まさに「星の数」ほどあるはず。生命が生まれ進化し、進んだ文明を持つに至る星の数を量る計算式があるが、改めて探すのは面倒なので省略。

 

ただ、いくら多くの宇宙人がいても、120億光年とも150億光年とも言われる無限に近い広がりをもつ宇宙の中では、彼らと出くわす可能性はほとんど無いだろう。宇宙のいたるところでどんどん文明が生まれ、次々と滅びていてもそれを目撃したり、まして交流することは叶わないと私は思っている。今の物理学では、光より速い乗り物は造れないことが理論的に証明されているのだが、たとえ光速ロケットができても最寄りの星へさえ片道何万年もかかりそうなのだから。

 

でも、「コンタクト」の夢は持ち続けたい。もし奇跡的な科学を手にしたどこかの宇宙人が地球を観測していたら、とも考えたい。だとすると、彼らはきっと、環境を破壊し互いに傷つけあう地球人の愚かな姿を見ては苦笑いし、「触らぬ神にたたりなし」と姿を見せないだろうけど…。

 

日常生活でも他人の眼を意識し、衿をただし姿勢を正すのは素敵なこと。宇宙人の眼を意識するのも、だから人類にはいいことだろう。それをいえば、最近嬉しい会議が開かれている。南アフリカでの「環境・開発サミット」だ。正式名称の「持続可能な開発に関する世界首脳会議」というのは、わかりにくい。しかし、中身はとてもわかりやすい。地球という星の環境維持能力を超えない開発、資源を枯渇させずに生活向上を図る開発を共にめざそうというものだ。「人類と地球とその繁栄のために」という議長挨拶もなかなか崇高で気に入った。すでにいま、地球上の五人に一人が安全な水を使えないし、八人に一人が飢餓に直面しているそうだから、環境保全と貧困撲滅の課題は待った無しだ。

 

掌か鳥に乗った地球を描いたシンボルマークのもと、国連史上最多の180か国4万人もが集った。「会して議せず、議して決せず、決して行わない」ことはないだろうけど、決議に実効力を持たせるためには、先進国の実行力が特に求められる。500人もの代表団を送った日本の優柔不断や、大統領が欠席した米国の独善は繰り返すべきでない。

 

地球人もすてたもんじゃないナ、宇宙人にそう思わせたいもんだ。

 

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