徳島新報連載 ★談合の海 2003年7月20日掲載 

海のそばで育ったから私は海が大好きだ。今でも夏休みに毎日朝から泳いだ透明に近い海を思い出す。もっとも二十歳を過ぎたころの海は、製紙会社の廃液によるヘドロで汚染されていた。同じようにドロドロしていても太古のそれは生命の故郷として、大いなるロマンを感じる。海にもいろいろあるのだ。

わが徳島では最近「談合の海」が有名になった。難産の末に発足した「汚職問題調査団」の報告と提案がスポットを浴びている。県発注の公共工事で「広く談合が行われている」との指摘だ。それは周知の事実として誰も驚きこそしなかったが、今回の調査団の活動はやはり画期的で有意義なものと思う。

圓藤元知事の汚職事件裁判で物を言った東京地検の調書が原資だから、かなり信ぴょう性が高い。それによると、大手ゼネコン八社の徳島支社幹部が「受注の輪番制」があることを認めたし、そして複数の中小業者が「工事地域に本店がある社優先=地域割り」を供述していたそうだ。

こういう不正を一掃するために、県幹部や県議に耳が痛い提言でも知事の言どおり「最大限尊重」して、早急な条例制定に向かわねばならない。抵抗や妨害を続けていたら、今度は県民から「万代町はヘドロの海」とのそしりを受ける。                     

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