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あなたとクリスマスの夜を
今年のイブは嫌い。だって、あなたは遠い街に転勤して行ったから。
街は、クリスマスが近づいてきて、華やいで見え、少し心淋しくさせられる。
だって、外国は遠すぎるよ。私が今見ているのは月なのに、
あなたが見ているのは新しい一日の始まりの太陽だから。
電話のタイミングもずれていく。心もそうなっていくのかな。
もうすぐ、クリスマスなんだよ。わかってるのかな、あなたは?
去年のクリスマスは2人でワインを開けて、ろうそくを吹き消して、
遠い神様の誕生日をお祝いしてあげた。
「他人の誕生日なのにね」って2人で笑ってたんだ。
そして、12月24日の夜、一人で過ごす部屋のポストに小包が届けられていた。
開くと、それは銀色の小ぶりの腕時計。メッセージは、
「この時間が僕のいる国の時間なんだ。
今は離れてるけど、その時計を見て同じ時間を過ごしていこう。
愛を込めて メリー・クリスマス」
私の贈った腕時計もあなたの元に届いた頃かな。
あなたも同じ気持ちでいてくれるのが嬉しかった。
右手にそっと、腕時計をはめてみる。
早くあなたの仕事が終わる時間になればいいのに。
来年のクリスマスは、あなたとまた2人でいられますように。
――遠く離れて暮らしている恋人同士をつなぐもの。
それは同じ瞬間に見る共有する時間の大切さ――
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