現実との狭間

 

  毎年、この時期になるとつくづく苦手だなと思う。

今は梅雨。雨は好きなんだけど、このうっとおしさは嫌だった。

何年か前の今頃、大切な人が失くしてしまった。そばにいた人が突然いなくなる。

 心に大きな穴が開いた気がした。その一瞬で、心は凍りついた。

───今も、心はあの瞬間で留まってるのかもしれない───

このまま死んじゃうんじゃないかなって思った。御飯も食べれなくて、眠れなくなった。

何をするのもつまらなかったし、息するのさえつらかった。

さすがに、体重が30kg台になった時にやばいと感じた。

このままじゃ、死んじゃうって思った。何かを始めたかった。

そんな時期に、インターネットを始めた。

慣れないパソコンを、怖々と立ち上げる。

不眠症の私にはぴったりだった。似合いすぎてた。

人と接するのが怖くなってた私にとって、ここは仮想空間のようで、楽しかった。

いろんな世界に出逢って純粋に楽しいと感じた。

迷路のようなサイバー空間。ここは、人の心に似ているって思った。

その物なのかもしれない。綺麗なだけが人間じゃない、いろんな

心が広がってた。見ているのは楽しかった。

誰も知っている人はいないから、怖くなかった。

それだけ、人と接するのが怖かった。誰かに傷つけられるのも、傷つけるのも

臆病さで心を 囲ってしまった。

でも、ある日、気が付いてしまった。ここにも私の居る場所はないって。

今はここは現実の続きだって事を知ってる。

同じ時間を共有して出来た仮想空間。誰かの手で作られた空間。

みんな、何を探してここにいるのかな?

答えは見つかるの? 見つかったの?そして私は?

   

 

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