ソファー

 

 今日もまた、何もない1日が過ぎて行くのをぼんやりと見てる。

窓のそばのソファーに寝転がって、流れて行く雲を数える。

時間って云うものは、何をしていなくても、過ぎて行くものなんだなと感じた。

今頃、君は何をしているのかなとか時々、思い出したりもするけど。

でも、それは唯の感傷、君には何も想いは残してないから。

 

 悲しい気持ちが、不意に心の中を占める時がある。

ぼんやりと、何気なく手に取った本の中に挟んであった写真。

誰も悪い訳でもないから、君と過ごしてた透明な時間は色褪せない時間。

生きているって事は、何かを選び取っていかなきゃいけないから。

選択を迫られる瞬間、でもそれが当たり前の生き方。

 

 わがままを通せるのは、子供の内だけ、分別のある大人のふりも出来るから。

泣きたくなる夜も時々あるけど、いつものようにここに座って空を見ている。

部屋の中のソファーに座って、心の居場所を捜している。

心の中にソファーを置いて、いつまでも誰かを捜してる。

優しい眠りが訪れる瞬間、子供のように小さく丸くなって瞳を閉じる。

夢の中でなら、逢えるかもしれない。

 

 誰もが、心の中に自分だけのソファーを置いてる。

誰か唯一人のためだけに、心のソファーを空けておく。

優しい空間、静かな時間、一緒に過ごしたい人のために。

  

 

BACK