A Facetious Fellow

  

 僕のこの手の中にある物が見えるかな?

指が奏でるシンフォニー。世界に流れる音源の始まり。

宇宙が始まった時から、僕はここに座ってる。

宇宙は何もない所から、不意に生まれた神の気まぐれ。

僕の生まれたのが先なのか?宇宙の誕生が始まりなのか?

 

 誰に問う訳でもなく、僕は音を奏で続けている。

煌く星の瞬く音、流れ星が燃え尽きる瞬間のつぶやき、

春を告げる芽吹き、蓮の花が開く音、海に打ち寄せる波の音、

風が樹木をかき鳴らす、白い雪が舞い落ちる音さえ…。

 

 世界はこんなに、音に溢れているから、

僕が存在しているのを気付かない。

この宇宙には、何億もの生命の宿る星がたくさんあるから。

僕は休む間もなく、音楽を奏でる。僕の命の続く限り…。

人はそれを、永遠と呼ぶけれど…。

      

 

BACK