All Alone In The World

     

  生き血を求めてさ迷い歩いた真夜中の街を。

人間達が生活する街から街へと、さ迷い歩く時間の流れの中。

俺の時間は、永遠という単位を持って俺の跡をついてくる。

この世の終りまで、多分独りきりで生きていかなきゃいけないんだ。

誰かがその手で、俺の心臓に楔を打ち込むその時まで。

死体さえ残らず、灰に変わるその瞬間まで。

生きていくために、俺はまた歩いていくだけ。

 

 永遠の命なんて、いらない。歳を取らない体などいらない。

俺の記憶のその中に残った微かな想い出。

まだ人間だった頃の記憶を、俺はまだ抱えているんだ。

俺の事を覚えている人間も、もう生きてはいない。

それだけ時間が流れて、俺の記憶も薄れかけ。

人の血を求めてさ迷う真夜中の時間。

神の子から悪魔へと変化した俺と云う存在。

人間を捨てて、闇の中に生きる存在になって。

そんな風になってまだ生きていたいのか?

自問自答を繰り返し、時間はただ過ぎるだけ。

 

 ──赤い血を唇に一筋  生きる水を飲み干すその瞬間

   人間らしさをまた一つ失って

   白い喉もとに唇を寄せるその瞬間

   ためらう心を失って

   赤い薔薇の花びらのように

   唇からその薔薇をひとひら──

 

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