愛するラグナへ 

 

1月3日、今日は大好きなラグナの誕生日だから。

帰っては来ないラグナの為に、

ワイングラスを一人で写真に向かって傾けてみる部屋の中。

…エルオーネを無事に見つけて… 

笑ったラグナの写真は、ずっと私を守ってくれてるから

一人で暮らすのも心細くはなかった。

…それに、私にはこの子が・・・

あの日言えなかった一言。世界一大切な存在。

ラグナの心残りになるのが嫌だったから、言えなかった言葉。

些細な事が命取りになるかもしれない、そんな時期だった。

帰ってきたラグナはきっと、喜んであなたを抱き上げてくれる。

そして私は、笑ってこの椅子に座っているはず。

 

 あの日遠ざかっていく、あなたを見ているのがつらかった。

なんだかもう二度と会えないのじゃないかと、そんな予感が私の中で

ふと浮かんできたから。でもそれは言えなかった。

エルオーネの少しの手掛かりだけがあなたを導いていく糸。

不安なのは私だけじゃないから。せめてあなたには、笑った私を覚えて

いて欲しかったから。あなたと出会えて私は幸せだったから。

スコール…大切な私の息子。あなたがこれから歩いていく先に

私はいられないかもしれない、無邪気に笑うあなたは父親を知らない。

 

 魔女なんて私にとってはどうでもいい存在だった。

私からラグナを遠ざけた存在。何かを憎まなきゃつらかった。

何故、平和なままじゃ暮せないの?

 私の書いた何通の手紙が、あなたの元に届くの?

でも、スコールの事だけは帰ってからのお楽しみ(笑)だから。

 


 『 エルオーネを見つけた 』

ある日、1通の手紙が届けられた。

あなたのために、新しい珈琲豆を引かなきゃね。 

 …もうじき、あなたが帰ってくる…

 

     

END

back