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俺の好きなあいつは、誰よりも強くて負けず嫌いで、そして優しいんだ。 誰といるよりも、俺を安心させてくれる。 どんな不安からも、俺を守っていてくれるんだ。 世界で一番愛してるし、愛されているって、笑えるけど自信あるよ、俺さ。 俺の髪の毛にあいつの左手が、そっと 伸びてくる。 俺はされるままに、その指の感触を楽しんでる。 次の瞬間に、そっと頬に手が伸ばされるのを知ってる。 ベッドに寝転がって、あいつは目を閉じたまま、慣れた手つきで 俺の身体をそっと抱き寄せる。その鼓動が、静かに心地よく俺の音と重なる。 今は、二人だけだから、本当に優しい音に聞こえる。 誰も、よせつけずに生きてきた、のをずっと見てきたから、 こんな時間を、どんなに大切にしてるか、知ってるよ、俺。
ここは、あいつの部屋の中、使いなれた少しの家具だけが、あいつとの 時間を共有してきた。 ここには、誰も入れやしなかった、あいつの心に似てる。 居心地のいい腕の中に包まれているような感覚が続く。 あいつの匂いが、部屋の中で漂う。記憶の中に、刻み込む。 一人の夜がいつか来るかもしれない。そしたら、俺、どうするのかな? こんなに、あいつに夢中なのに、こんなに、二人でいる事に馴らされて。 生きていけるのかな、あいつのいない世界で。 優しく笑うその瞳に、俺が映らない瞬間が来たら。 それは、あいつとの別れかもしれない、俺の死ぬ時かもしれない。 あいつを好きなままで、ここから消えれたなら。 あいつの心の中から、消えてしまわない内に。
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