G・F召喚

 

 初めて、召喚魔法を使った時の事覚えてるか?

頭の奥が変に痺れて、心臓がドクドク疼いて苦しかったんだ。

あれは、召喚獣の傷みなのか?

 初めて、出会った召喚獣は、氷の女王シヴァだった。

あんまり綺麗だったから、後で見惚れてたって事はここだけの話(笑)

俺に召喚獣なんて、呼びだせるのか不安だった。

炎の洞窟最後の試練。ここで逃げ出す奴が多いって云うのは聞いてはいた。

まさか、あんな奴(イフリート)が出てくるなんてルール違反だと思った。

こっちは、ガンブレートだけなんだぜ。

初めての召喚。俺の周りをシヴァの冷気が包み、何かが俺の中に入ってくる。

(やめろーっ!!入ってくるな)

頭の中で拒否しても、そいつは俺と同化していった。

自分の中に、別の思考が(それも人間ではない存在)入ってくるって云うのは

はっきり云って、あまり気持ちのいいものではなかった。

でも、そいつは何かとてつもない寂寥感も連れて、俺の中に入ってきたんだ。

イフリートと戦いながら、シヴァの心の叫びが聞こえた気がしたんだ。

誰も、望んで召喚されている訳ではないのだと。

彼女には彼女なりの、存在理由があるはずだった。

なのに、何故?その考えはそれから俺の中にこびりついた。

 

 それから、沢山のガーディアンと出会って仲間になっていった。

そして気付いたんだ。それぞれの想いを抱えて召喚獣になっていた事が。

人々の手にゆだねられた召喚獣の未来。

みんながみんな、戦うのが好きって云う訳じゃないはずだ。

人間も召喚獣達だって、平和な生活を手に入れたがって

各々の、個人主義が交差しあって世界は回っている。

統一される事のない世界。平和と云う象徴を掲げてみんな、戦っているって事。

愛する者と一緒に暮らす生活のためには、目の前にいる敵を倒さないと進めない。

敵って誰だ?本当の敵なんかいるのか?

俺達は、一体何に向かって戦いを続けているのか。

魔女を倒すまで?封印された魔女はいつかまた蘇る日が来る。

そしたらまた繰り返される戦いの日々。

いつになったら、本当の平和が訪れるんだろう。

 

 俺に黙って寄り添ってくれるガーディアン達。

召喚の鎖を解かれる日を夢見て、幾度も夢で見る夜を繰り返す。

 その翼で自由に飛び回る姿を、俺は見てみたいんだ。

遠い昔、まだ人間のいない地球の海で泳いでいる君の姿を想像したら泣けてきた。

大海原を雄祐と闊歩する君をね。

 好きな時に、自由に歌っている君の姿。

 雪の降り注ぐ城に住んでいた美しい姿。

君達本来の姿に返してやりたいと願うのは、僕のエゴなのかもしれない。

弱い、たかが人間の俺だけど、君の心に触れた時、心が痛んだ。

その傷みと引き換えに、僕達の記憶は消えていった。

でも、そんな事は大した事じゃないんだ、失くした思い出はまた思い出せば

いいだけなんだから。君の本当の心は氷に封印されたまま。

その冷たい微笑が、本当の微笑に変わる日を夢見て、

明日もまた君と一緒に、戦いの中に立つ。

 

 戦う事には意味なんてないんだと、世界が気付くその日まで、

俺達、シードは戦い続けなければいけないんだ。

でも、お前となら、どこまでも堕ちていけるよ、サイファー。

 みんなで行こう。お前も一緒に最後の戦いの中に。 

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