遠くから

 

 

 シードになんてなれなくても良かった。

一緒にずっといられるだけで、私は幸せでいられた。

初めて、サイファーに逢った瞬間、一目で惹かれたあの瞬間。

 

 「サイファー? あんな奴見た事ないよ、死ぬの怖くないのかな、あいつ…

 一緒に組んだ時、もう二度と御免だって思ったよ、俺は」

とサイファーのうわべしか見えない人達は彼を毛嫌いして、近寄りもしない。

私は、生きている今が好き。サイファーの存在しているこの世界が好き。

彼といられるのなら、実戦だってつらくなかった。

 

 ある日の実戦、いつものように遠くから彼を見ていた。

一瞬、彼が可笑しな動きをした時があった。

何かを庇うようなと云えばいいのかな。

戦いを終えて、彼の立っていた場所に近づいてみた。

 「まさか? これを…」

信じられなかった、そこには小さな花が咲いてたから。

…だってこの花は…

じっとその場所に立っている私に気付いたサイファー。

 「行くぞ、風神」

一度聞いてみたかった、あなたの心にいるのは彼だけなの?と。

解っている答えを求めているのは知ってる。

でも、問わずにいられない想いの深さに気付いて。

 
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