日本の超高齢社会において、高齢者糖尿病患者は急増しています。高齢者は、若年者と比べて低血糖を起こしやすく、また「健康長寿」の妨げとなる認知症やフレイル(虚弱)、サルコペニア(筋肉量減少)を合併しやすいという特徴があります。
本ガイドラインは、画一的な血糖管理ではなく、患者一人ひとりの「生活機能」「認知機能」「余命・健康状態」を総合的に評価(高齢者総合機能評価:CGA)し、個別に治療目標を設定するという理念に基づいています。
今回の2023年版では、最新の臨床エビデンス(Mindsの作成マニュアルに準拠)を基に、以下の点が新たに盛り込まれました。
2016年版で導入された、患者の健康状態を「カテゴリーI(認知機能・ADL正常)」「カテゴリーII(軽度認知障害・手段的ADL低下)」「カテゴリーIII(認知症・基本的ADL低下など)」の3つに分類する仕組みが堅持されています。
特に、インスリンやSU薬などの低血糖リスクのある薬剤を使用している場合は、重症低血糖を回避するために「目標下限値(例:HbA1c 7.0%や7.5%など)」を設定することが改めて強調されました。
新章として「高齢者糖尿病をサポートする制度」などが加わりました。デイケア、通いの場、訪問看護、訪問栄養指導、訪問薬剤指導などの多職種連携・介護保険サービスの積極的活用が盛り込まれ、医療と介護の連携が強化されました。