改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
施行マニュアル:教示文と採点上の注意点

患者さんの緊張を和らげつつ不必要なヒントを与えないよう、以下の標準教示文と採点基準に沿って実施します。

【全体的な施行上の注意】

  • 環境と配慮: 静かな環境を整え、患者さんが羞恥心や不安を感じないよう柔らかいトーンで接します。
  • 教示の聞き直し: 聴力低下等がある場合は明確に発音します。ただし、検査の途中で不要なヒントとなる繰り返しは避けます。
  • フィードバック: 誤答であっても否定せず、「分かりました、では次に行きますね」と自然に進めます。

各項目の教示文および採点基準(全9項目 / 30点満点)

1 年齢 配点: 1点
教示文

「お歳はいくつですか?」

採点ルール
  • 正解(1点): 満年齢、または和暦・西暦から計算して正確な場合。
  • 誤差の容認: 前後2歳までの誤差(例: 80歳に対し78~82歳と回答)は正解(1点)とします。
2 日時の見当識 配点: 4点
教示文

順に質問します:
①「今日は何年ですか?」 ②「何月ですか?」 ③「何日ですか?」 ④「何曜日ですか?」

採点ルール
  • 年・月・日・曜日、各1点(計4点)。
  • 年は西暦・元号(令和など)のどちらでも正解。
3 場所の見当識 配点: 2点
教示文

まず自発的な回答を促します:「ここは何処ですか?」
※5秒ほど待っても出ない場合、または誤答の場合は3択を出します:
「ここは病院ですか、家ですか、それとも〇〇(適当な施設名)ですか?」

採点ルール
  • 自発的に正解(2点): 「〇〇クリニック」「病院」など、概ね正しい認識ができていれば正解。
  • 選択肢から正解(1点): 3択提示後に正しく選べたら1点。
4 3つの言葉の即時記憶 配点: 3点
教示文

「これから私が言う3つの言葉を覚えてください。後でまた聞きますので、私が言った後でそのまま言ってください。」
言葉の系列(例: 「桜」「猫」「電車」)を1秒間に1語のペースで言います。

採点ルール
  • 3つの言葉が正しく復唱できたら各1点(計3点・順不同)。
  • 注意: 言えなかった場合は正しく言えるまで繰り返し教示します(最大3回まで)。ただし、2回目以降に言えた場合の配点は、1回目の応答に基づきます(項目7の遅延再生の前提とするため)。
5 計算(注意・集中) 配点: 2点
教示文

1問目:「100から7を引くといくつですか?」
2問目(1問目正解時):「そこからまた7を引くといくつですか?」

採点ルール
  • 各1点(計2点)。
  • 注意: 1問目を間違えた場合は2問目は行いません(0点)。また、2問目の際「93から7を引くと…」と前の答えを言い直すヒントを出してはいけません
6 数字の逆唱 配点: 2点
教示文

「私が言う数字を後ろから逆に言ってください。」
3桁:「6 - 8 - 2」(正解: 2-8-6)
4桁(3桁成功時のみ):「3 - 5 - 2 - 9」(正解: 9-2-5-3)

採点ルール
  • 3桁正解で1点、さらに4桁正解で+1点(計2点)。
  • 数字は1秒に1桁のペースで平坦に発音します。3桁で失敗した場合は4桁は行いません。
7 3つの言葉の遅延再生 配点: 6点
教示文

「先ほど覚えてもらった3つの言葉は何でしたか?」
※自発的に出ない場合のみヒントを出します(例: 「植物」「動物」「乗り物」)。

採点ルール
  • 自発的に正解: 1語につき 2点
  • ヒントで正解: 1語につき 1点
  • 注意: ヒントを与える際は、すでに出た言葉を含めず、出ていない言葉のカテゴリーだけを伝えます。
8 5つの物品記憶 配点: 5点
教示文

「これから5つの品物をお見せします。名前を言って覚えてください。」(1つずつ見せる)
「これを隠しますので、何があったか言ってください。」(手拭い等で隠す)

採点ルール
  • 正しく言えた物品1つにつき1点(計5点・順不同)。
  • 提示する物品は、関係のない身近な物(鍵、時計、ペン、眼鏡、スプーンなど)を5つ用意します。
9 言語の流暢性(野菜の名前) 配点: 5点
教示文

「知っている野菜の名前を思いつく限り言ってください。」
※途中で詰まっても約2分間(または完全に諦めるまで)待ちます。

採点ルール
  • 採点基準: 5個=1点、6個=2点、7個=3点、8個=4点、10個以上=5点(※9個は4点)。
  • 注意点: 途中で同じ野菜を繰り返した場合は重複してカウントしません。果物(例: リンゴ)などが混ざった場合は 「野菜を教えてください」と1回だけ修正可能。