鮎釣り日記 

2010終盤の四万十川本流編



9月29日、自己最長寸の29cmの大鮎をキャッチしました。

終盤の四万十川本流編


 思えばこの鮎釣り日記のコーナーも本年は一度も書いていなかった。ブログにはちょこちょこと結果くらいは載せていたのだが、詳しい釣行記なるものは更新できずにいたのだ。何故ならば今年の四万十川は解禁後の冷水病や増水続き、また7月後半からは記録的な猛暑による高水温と、絶不調が長々と続き、日記を更新するような釣果に恵まれなかったからだ。(T_T)

 そうこうするうちに釣り期間も残すところあと僅かになってしまった。絵手紙同様、鮎釣りコンテンツも更新が長い間滞っている。せめて一回くらいは釣行記なるものを書いておかないと、当ホームページのタイトルに申し訳が立たない。ということで、今年の四万十川の総括的なまとめとして書いてみた。


 9月29日。四万十川の鮎シーズンも残すところあと半月。相変わらず川の状況は芳しくないが、たとえ釣れなくても出撃しなくてはならないのが友釣り師の悲しき性なのだ。先週はバラシの繰り返しでパーフェクトノックアウトを食らっていたので、普段の出撃よりも多少は気合いがかかっていた。 8月、9月と火曜日の夜は何故か店が忙しくてお客さんと深夜まで飲んで、翌日は二日酔いでの寝坊出撃が多かったが、今回前夜は意外と静かで早や終いして、この日は6時半に起床して弁当のオニギリを作りはじめた。

 道具をチェックして車に積み込み発進。四万十川を目指す。自宅からポイントまでは一番近い四万十市江川崎宮地の瀬まで車で18分。やや遠い三島まで40分の距離だ。今回は先週コテンパンにやられた四万十町昭和上流部の通称「四手崎」。 トロ場、深瀬、瀬肩、急瀬、とバリエーション豊かな広大なポイント。入川道も4WDだったら、釣り場のすぐ岸まで付けられる楽な釣り場だ。支流目黒川のようにポイント移動するたびに重たいオトリ缶を担いで崖を上り下りしなくてもよい。それだけに人気も高くひっきりなしに釣り人が入るいわば「四万十鮎銀座」ともいえる場所なのだ。


  


 道中で養殖のオトリ鮎を仕入れて川原に下りるとまだ誰も来ていない。水温を計ると岸際で23℃まで下がっている。一昨日の雨で結構水温が下がっている。オトリのスタミナ維持にはいい感じ・・。d(^_^o) オトリ屋さんのイケスの水温が21℃だったので、水合わせもしなくてもいいくらいだ。念のためにオトリ缶に川の水を同量くらいまで混ぜてしばらく川を眺める。相変わらずの渇水だが、ここは平水だと竿が入り辛い水量なので渇水気味のほうが釣りやすい。引船にオトリを移し、始めのポイントへと向かう。本来は入川道正面の深いトロ場も本命ポイントなのだが、ここはとっておいて午後に攻めることにする。300mほど下流の3段目の瀬の下のトロ場で先週痛い目にあっているので、まずそこを攻略することにした。


  


 今年の四万十川は数はめっぽう少ないが、来たらデカイ・・・。とは誰もが口にする言葉だった。自分もそのことは理解していたつもりだ。それなりのタックルで臨んではいた。しかし、先週その過信は木っ端微塵に打ち砕かれた。かかってくる大鮎のパワーと重量に仕掛けが持たないのである。よって今回はタックルパワーをワンランクアップして望んだ。


●当日のタックル

〇竿       ダイワ銀影マキシム急瀬抜き90SJ (古い安物竿です)
〇天井糸    PE1.5号1m遊動、自作極小サルカン+リリアン。フロロカーボン0.8号4m
〇水中糸    バリバススーパーメタル0.2号4m。 ダイニーマの付け糸と八の字結び+瞬間、4cm
〇ツマミ糸    トヨフロンスーパーL0.8号40cm、トリプル8の字チチワ
〇ハナカン周り ワンタッチハナカン7mm,PE0.6号プールジック結び遊動、中ハリスシーガー鮎ブラック1.5号。がまかつばっちりサカサ3号、
〇針、       和製平打ち軸太地キツネ型8.5号、カツイチ大鮎8.5号。ガマカツ大鮎9号。
〇ハリス     バリバスハードフロロ1.5号、サンラインVハード1.75号




 今日の朝イチのターゲットポイントはトロ場の頭にある絞り込みの大岩際の縦岩盤。ここで先週読みどおりの痛快なアタリがあったんだが、0.6号のツマミ糸を飛ばされてバラシたので、もう一度復習の狙い場所ってわけ。竿を伸ばして仕掛けをセット。泳がせ釣り主体と踏んでいたのでフロロの水中糸も用意していたが、水深が結構あるポイントが多いので、メタル0.2号の仕掛けに。 ポイントとの間の岩を挟んで下流からオトリを送り出す。しばらくタンク生活してた養殖君は朝イチの天然の川デビューはいつも固まってなかなか仕事に行かないんだなこれが・・・。 でも、静岡の苦楽研人師匠のお言葉によれば、「たとえ養殖鮎でも、鼻を引っ張らずに気長に待っていれば、そのうち水と流れに馴染んで、流れのルートを自分で見つけて泳いでくれるもんだよ。」 ・・・の教えを思い出して気長に待っていたら、本当に泳ぎだした・・・・・・岸に向かって・・・・・・・。(・_;☆\(-_-) コリャコリャ、そっちじゃないぞと少し引き戻すが、同じコースを行ったり来たりの繰り返し。とうとう業を煮やして、水面を沖向きに滑らせて誘導。やっぱしイラレな性格・・・・。(^^ゞ)

 底に入るとやっと狙いのコースの下流をゆっくりと上り始めた。数回狙いの大岩との水道を通過したが追いはなし。もう一度トレースしなおすと今度は岩の裏で一端止まってから岩肌を舐めるように水道を登っていった。スピードを調節しようと若干糸を張り、立て気味にして4つの目印が縦一列に黒い岩肌をバックにクッキリと程よい速さで進んでいくのが見える。次の瞬間、ドキュン!!と目印が吹っ飛んで、竿に衝撃。かかった!「やっぱしそこや!!」と小さく叫んだ。流れは緩いので、竿をすぐに立て完全にフッキングさせる。右に左に、上に下に元気に走り回る。まあまあの重量感とスピード。先週は焦って早く竿を寝かせ、早いうちに寄せすぎてこの最初のフッキングが甘くてバラしたのでじっくりと寄せる。慎重に取り込んだのは25cmくらいのよく肥えたまあまあサイズ。

 
 


 予想外に早くオトリが天然に替わり、上機嫌で送り出すと、コイツがたまげたように上流へグングンダッシュ。約50mほど登ってやっと止まった。水深1.8mほどの瀬尻の開きまで登った。そしたらほど無くブルン!とアタリ。これは推定20cmほどの軽い泳ぎ。ナメて気持が緩んだのか水面でバラシ!(T_T)
ほらほら、だから循環の釣りがいつまでたってもできんのじゃ〜〜!(・_;☆\(-_-) と自分を罵る。

 しばらくその開きでは音沙汰無しなので、再度下流の水道へ戻る。やや下流の岩盤の際でまっ黄ッキをゲットして水道に戻る。中州のシモリに立ち、先ほどの岩盤の斜め下の深みにオトリが入ると、サッと下流に逃げた。追われたかな?と思ったらまた同じところで逃げた。三回目、また逃げた。ひょっとしてここにはおるぞ・・と感じたその4回目。逃げようとしたところを糸を引っ張って強制的に誘導。その瞬間、ドスン!! と乗ってきた。ヤッパシ!!とまた小さく叫んで竿を絞る。・・・が動かない。ありゃあ〜〜??根がかりしたか??と思ったら、今度は上流に向けてオトリをかついで猛ダッシュ!!ヒエ〜〜!なんじゃこりゃ〜〜!!何とか最初の走りを止めたら、今度は左右に重いターンを繰り返す。「何のこれしき荻野式!」って呻いたかどうかはさだかではないが、いままで味わったことのない磯の尾長のような引き。ブラックバスか?鯉か?ってな重量感。磯のグレ釣りを彷彿とするような下へ下への突っ込みを何回か耐えてやっと寄ってきた。オトリが水面を切った。やっとツマミ糸に手が届き、竿を担いでヒイヒイ言いながらタモに吊るしこんだ。


 


オオオオ!デカイ!なんか尺サイズっぽいぞ!\(◎o◎)/。背中がモッコリいかって、まるで潜水艦のようなボデイじゃ。精悍な顔つきの四万十重戦車にしばし見とれる。帰ってから検寸すると29cm、重量248g の立派な大鮎でした。ヽ(^◇^*)/ 夢の尺鮎には残念ながら1cm足りませんでしたが・・。もちろん自己最長寸です。けど食味はあまり美味しくないのかもしれませんけど・・・。


 



 それから上流の開きで2匹追加したが、後が続かなくて昼休み。オニギリを取りに車へ戻ろうと上流へ向かうと三人の釣り人が・・・・。(T_T) 近づくと何と知り合いの宇和島のF氏たちのグループではありませんか。もっと上流部に行かれると聞いていたのでちょっとビックリ。弁当を食べながらしばしF氏と談笑。その間にF氏はポツリポツリと良型をかけている。午後に狙っていたトロ場だったが、同じエリアに4人はさすがに・・・と遠慮して釣り場を移動。三島へ向かったが、先行者がいて断念。引き返して、再び四手崎の上流域へ。道から見ると誰も居なかったので川の上空を渡っている水道パイプ下へ入る。

 すでに時間は午後3時半。そろそろ涼しく・・いや寒くなってきた。対岸よりに流芯があって、岩盤の手前に惚れ惚れするような大石が連続しているが一向に魚の気配が無い。一段下流の二筋瀬にも居ない。おまけにかかってくるのはドンコの連続でオトリがただ消耗するだけ。再生した養殖に替えて、その下流のトロ場で丹念に立て竿の泳がせで辛抱してたら、バヒュ〜〜ン!と目印が吹っ飛んで、最近見ないような痛快なアタリ!そしていきなりオトリを担いで上流に走りだした。 やっとここでの一匹目じゃ〜〜!と喜んで取り込み体制に。結構元気で二回ほど流心に走られたが寄ってきた。そろそろフィニッシュだと思い、竿を担ごうとしたら、竿の4番と6番・・くらいのところからプシュ〜〜!!シュルシュル〜〜〜〜!と竿が抜けて、全長3mくらいに・・・!!\(◎o◎)/  アワワワワ〜〜!!大変だ〜〜。これじゃ取り込めんやんけ〜〜!!(T_T) 掛かり鮎は当然また沖に逃走。ε=ε=ε=ε=ε=ヘ(; - -)ノ 仕方なく糸を手繰るハメに・・・・。水中糸よ切れるな〜〜と祈りながら、引いては戻しを繰り返して、やっとタモに。ヌルヌルでキンキンのまっ黄色の良型をゲット。ヤレヤレ〜〜。 一番大事なとこで抜けるか〜〜フツー!怒、怒、怒!!(・_;☆\(-_-)


 

 ところがやっとオトリが替わったのでチェンジ・・・・・・・・・・・・・にならない。ハナカンが通らない。ボクみたいにアレルギー性鼻炎持ちなのか、非常に鼻の穴が小さく狭くて何回やっても通らない。(T_T) 左からやっても通らない・・・。(T_T) ゆっくり落ち着いてやっと通ったああ〜〜と思いきや鼻血ブ〜〜
(+_+)  まったく何やってんだか・・・・・・(・_;☆\(-_-) 何とか泳いでくれたものの、ドンコの入れがかりでこの子もダウン寸前。


 この日は深場を対岸まで2回ほど泳いで渡ったのと。深場のシモリで脚を滑らせて、3回ほど水中に沈没したせいで、全身びしょ濡れ。日が山の尾根に沈んでからは寒さで震えて無意識バイブレーション釣法になってきたので、午後5時前に納竿しました。

 終盤の四万十川はとにかくオトリを丹念に上流へ泳がせないと追ってきませんでした。瀬で引き釣りをすることが多かったのですが、改めて泳がせ釣りの威力を痛切に感じたシーズンでした。やっぱりなにをやっても基本の大切さを学ぶことが重要ですね。

 釣り人のメンタル面が特に顕著に現れるのがこの鮎の友釣りだと思います。焦ったり、急いだり、変な理屈で固まったり、こだわり過ぎたり、移り気になったり、腹を立てたり、諦めたり・・・などとマイナス志向になればなるほど野鮎さんからそっぽを向かれます。精神を落ち着けて、じっくりと取り組めば、少しだけ微笑んでくれるような気がします。なんだかすごく高尚でハイクラスな紳士の釣りに思えてきました・・・・(^^ゞ)。

 今年の四万十川はシーズンを通して魚影が薄かったです。春の天然溯上はかなりの量の稚鮎が確認されて期待されたのですが、冷水病、増水続き、高水温、渇水・・・と悪条件の時期が長かったようです。特に本流は釣り人がとにかく居ませんでした。こうなると漁協としても鑑札が売れない・・・。オトリが売れない・・・。収入が減る・・・。来年度の放流量が減る・・・。といった悪循環になってしまうのでは・・・・と心配です。鮎の種類もナワバリ意識が弱く、いつまでも群れていて、いい瀬のいい石に付かない・・・、ハミ跡が見えない・・・、追いが弱い・・・と感じている釣り人が多かったのではないでしょうか?

 かつては、急瀬でガツ〜〜〜ン!!と竿と体ごとひったくっていく、シャープでワイルドなハイパワー鮎こそが四万十川鮎の醍醐味だったのに、今はそんなアタリも少なくなりました。友釣り師サイドからの一方的な要求かもしれませんが、せめて禁漁日を半月だけでいいから延ばしてほしいです。漁協のご理解を求めます。どうか来年は元気な四万十鮎が復活してくれる事を願ってやみません。


                             おわり
 

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