香は仏教と共に伝来したと考えられています。平安時代に大陸から伝来した六種の薫物が貴族達を
刺激し,独自性と美意識が刷り込まれ文学と融合していきます。そして雅やかに香を楽しむ ”翫香”
という香文化が形成されました。鎌倉時代になると武士達が 自然で混じり気の無い”沈水香木” を
好むようになります。各種の香を独自の製法で混ぜ合わせた薫物からのパラダイムシフトが起きます。
室町時代になると闘香が盛んとなります。やがて沈水香木そのものに価値を見い出し、時の将軍を
中心に香木の鑑賞方法を試行錯誤します。やがて志野宗信らによって日本の伝統的文化のひとつとして
香道の祖が誕生することになります。そして安土・桃山時代にはより洗練され,磨きが掛かると共に
体系化されます。江戸時代には隆盛を極め、家元制度が確立されます。
閑院流は享保年間
(1700年代)、香問屋を営みで聞香に精通していた初代が宮中御用達として閑院宮家
から出入りを許され、香事を与った事に由来します。
明治時代,文明開化の波により一旦は全てのが文化が衰退します。後に
(著)新渡戸稲造の”武士道”が
世界から注目を集めたのを機に日本文化が盛り返えします。
前の大戦では空襲により当家家屋が消失するも第九代
(1989年没)が兵庫県芦屋市で香料商を営み
ながら再起に取り組みました。また、小林一三
(阪急創業)、白井松次郎(松竹創業)、食満南北(歌舞伎作者)
花柳章太郎
(役者)、菅楯彦(日本画家)、鍋井克之(洋画家)、岸本水府(川柳作家)ほか関西経済界の重鎮
や文化人たちの賛同を得て風雅倶楽部を結成し戦後復興を盛り上げるお手伝いもしました。
そして”香事は全て奉仕に限る”と定め、香道そのものを生活の糧とせぬよう後代に戒めました。
 "聞香文化"は かおりを鑑賞することに始まりました。そして”香道” は自然界からの奇跡の恵み”沈香”
と向き合い,”道” という強い精神性を求め成立しています。雑念を払い香気一点に集中をし、やがて
”無の境地”に達する事が究極とされています。香道に於ける組香はその鍛錬や享受するための一つの
場であります。また”獻燻”は最高の品格とされ、香の歴史からそれまで寺院が中心だったものを昭和2年
に我が国で初めて”大阪天満宮 余香祭”として神社での"獻燻の儀"を斎行しました。
第九代は世界平和を祈願し全国由緒ある百
社寺(伊勢神宮,明治神宮,北野天満宮,大宰府天満宮, 東大寺
春日大社 等々)
を行脚、さらには海外にも目を向けアメリカ、ヨーロッパ等の各地を歴訪し
”獻燻の儀” を斎行しました。第十代
(2007年没)がこの志を継ぎ,大阪住吉大社の卯之葉神事, 大阪天満宮
の余香祭・秋思祭,京都下鴨神社 葵祭り, 大麻比古神社の献香祭など 恒例祭事 として斎行。
現在は第十一代が志を継いでご奉仕しております。




家元嗣 福井 洞玄
1992年に11代家元の長男として生まれる。
大学院を卒業後, TV局勤務を経て独立起業。
2023年, 家元嗣として宗匠に師事。

第11代家元 福井 北勝洞
1959年に10代家元の次男として生まれる。
大手航空会社勤務を経て独立起業。
1998に家元嗣, 2008年から11代家元を継承。

 

■ 香道の歴史と閑院流について
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