2005年6月15日


経済

[えひめ経済をよむ]

城下楽市


経済や文化は交流から生まれる!
えひめ地域政策研究センター研究員
清水 和繁氏


  歴史上有名な「楽市楽座」 を昨年11月3日、松山市のロープウェイ街に再現した。その名も「城下楽市(しろしたらくいち) 」。 愛媛の産品を、県中央に位置する松山の、しかも、その中心の松山城の真下に集め、交流拠点にするのが目的。えひめ地域政策研究センターは、コーディネーター役を務めた。

  相次ぐ台風で農産物が被害を受け、開催が危ぶまれたが、直売所や地域の産直施設、生産者グループが積極的に参加。歩行者天国となったロープウェイ街は約3万人の人出でにぎわった。

  楽市で工夫したのは、音楽が聞こえ、くつろげる空間を演出したこと。アコースティックにこだわったストリートライブとヨーロッパ風のオープンカフェを併設。買って楽しい、会話が楽しい、音楽を聴いて楽しい空間を創造した。

  「市(いち) 」 が立てば人が集まり、にぎわいが生まれ、そこここで交流が始まる。楽市の光景は私に、欧州とアジアを結んだ名高いシルクロードを彷彿(ほうふつ) とさせた。

  参加者からも、訪れた方からも、ここでの互いの触れあいが楽しかったと定期開催を望む声が多く聞かれた。楽市の定期開催にむけた模索も始まった。資金やスタッフを広く募り、地域通貨も導入しようかと、夢が広がっている。

  交流から文化や経済は生まれ、発展する。市を立てるという意味はここにある。地域の自立はまず、経済の自立だ。次は隊商(キャラバン) を全国各地に出す「えひめシルクロード」 を企画中だ。

  愛媛の各地の特産品のネットワークを構築し、集まった品を隊商が全国の街角に市を立てて売り歩く。PRと販売を兼ね備えた移動アンテナショップだ。「楽市楽座」 は、その第一歩でもあった。




  しみず・かずしげ 近畿大学農学部を76年3月に卒業し、県経済農業協同組合連合会に入会。95年9月、県内初の気象予報士になり、NHK松山放送局の「えひめイブニングニュース」 で週末気象情報を担当。フルーツで朝食をとる「朝フル健康運動」 の普及のために「えひめ朝フルの会」 を結成。