報 告
 乳がん講演会 12月7日(土)
山は雪かなと思うようなどんより曇った寒い日の12月7日(土)あけぼの徳島の乳がん講演会を徳島大学の青藍会館で開らきました。年に1度だけの勉強会は今回で32回。定員70名の会場に、会員33名、一般55名の参加者があり、会場は満席になりました。
第1部の講演はリムズ徳島クリニックの小川先生による「リンパ浮腫に対する圧迫療法~どのような圧迫方法が有効か~の話から始まりました。去年の講演会のリンパドレナージの方法や実演に続く話です。
リンパ浮腫は一度発症すると完治は望めないものの、セルフケアすることで悪化することを防ぐことができることがわかり、たくさんの弾性着衣も見せてくれました。
徳島大学先端酵素学研究所の片桐先生はゲノムという言葉も知らなかった10年前から難しい内容をかみ砕いて毎回ご指導くださっています。今回は「治療抵抗性乳がんに対する治療薬の開発」というテーマでお話しくださいました。
抵抗性になる仕組みやブレーキ機能を活性化することによる、新しい乳がんの治療薬の開発についての話でした。HER2陽性、ハーセプチン耐性乳がんにも効果あるそうです。まだ研究段階ですが、もしこの新薬ができたら予防薬にもなるそうです。実現が待ち遠しいです。
徳島大学の川中先生は「乳がんの放射線治療」というテーマで話されました。放射線治療はがんの治療や、緩和的放射線治療として大きな役割を果たしています。
徳島大学病院では体の外から放射線を当てる「外部照射」と、体の内側から、がんやその周辺に放射線をあてる「内部照射」が行われているそうです。
4月からはトモセラピーも導入され、複数の方向からの放射線に強弱をつけて、がんの形態に合わせて集中的に照射する強度変調放射線治療が可能になるといううれしいニュースも聞かれました。
第2部は、術後4年、7年、16年のあけぼの徳島の会員がそれぞれの体験を語りました。
主治医の先生から「泰然自若としていなさい」と言うひとことで積極的に治療に臨めたという話。「運命と思うありのまま受け止める そしてこれからなんくるないさ」と詠みのりこえてきた話。
また、体表面積を確認するためにトイレットペーパーを体に巻いて測ったという話には、体験者ならではの必死さが伝わってきました。納得して治療を受けることで辛い副作用ものり越えられたと話されました。
乳がんになったあと、一歩ずつ歩んで自分自身を取り戻してきたそれぞれの体験は共感の時間でした。
毎年講演会を開き感じることは医学の進歩はもちろんですが、患者の病気に対する知識が高くなっていることです。知識は生きていく希望の灯という言葉を信じてこれからも学びを大切にしていきたいと思います。
 あけぼの徳島 30年記念の集い 4月7日(日)
4月7日、<あけぼの徳島30年記念の集い 笑って長生き>が、徳島大学医学部青藍会館において約60人の参加のもとに行われました。
Part1として講演。ワット隆子さん(前あけぼの会会長)による「再び誇り高く美しく」、森本忠興先生(徳島大学名誉教授)による「乳がんに対する考え方の変化~乳がんに携わって40年間の中で~」。
Part2として、宮城慶(あけぼの徳島代表)による「あけぼの徳島30年の歩み」と題したスライドショウ。
Part3として、「これからのがん医療~ともによりそうために」パネルディスカッション。ワット隆子さん、森本先生、宮城代表、徳島大学医学部長の丹黒章先生の4人のパネラーとフロアからの発言で進行。
あけぼの徳島が発足して30年の機会に、ワット前会長やお世話になった先生方をお招きして「記念の集い」を催しました。
発足時より、前会長にはたびたび心をかけていただいていますが、今回も遠方よりご足労くださり、頼もしい言葉をいただきました。
特に、「困っている人を救ってこそ患者会、ただの仲良しサークルでは意味がない」、という叱咤激励、また、「人生の主導権は自分が持つ」という言葉も印象的でした。
30年の歩みについては、宮城代表が力作したスライドショーによって紹介されました。
がんと診断されて不安と孤独を抱えていた宮城代表が、お母様のアドバイスと森本先生の御助力を得て、あけぼの徳島が発足したいきさつや、この30年間の講演会や社会的な啓発活動、また時には楽しい催しの内容を、懐かしく新鮮にふりかえることができました。
30年の間に、がん研究も治療も、著しく変化と進歩と続けていることを、森本先生が具体的に説明してくださいました。丹黒先生からは、医療機関の現実的な問題などの指摘もありました。皆様のご尽力に感謝いたします。
あけぼの徳島はこれからも、患者たちの不安を少しでも減らして、明るく賢く長生きできるように活動を続けていこうと思いました。
<参加者からの感想>
・ワットさんの「がんのあと潔く生きる10か条」に書いてあることはどれも大切だな、と思いました。
・宮城代表と、あけぼの徳島誕生の大切なきっかけになったお母さまにも感謝します。
・あけぼの徳島にはたくさんの会員や先生方、たくさんの方々の思いや願いが込められていると知った。みんなで育ててきた会と思った。今まで続けてくれてありがとう。
・家族の立場から:患者会に参加するたび、元気を取り戻していった妻をみて、患者会には家族にも癒すことができない大きな力があると感じた。
・緩和ケアや支援センターが抱える問題など今後の課題まで出てきて、よい記念の会でした
・あけぼの徳島の数え歌には感激しました。亡くなった方の思いを引き継ぎ、30年続いてきた訳がわかったような気がしました。